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ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者

作者:黒神
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第六十八話 罠


「そろそろ時間ね」

決戦当日、闇慈達はオカルト研究部の部室に集まっていた。アーシアはシスター服、ゼノヴィアは黒いボンテージ風の戦闘服、他の皆は駒王学園の夏服だった。闇慈もソーナの時同様に遊撃手としてディオドラとのゲームに参加するみたいだった。

(ディオドラ・アスタロト!!僕は貴様を絶対に許さない!!デスサイズ・ヘルの錆にするか・・・アグニとルドラで斬り刻んで、灰燼にしてやる!!)

アグニ&ルドラは何時でも取り出せるように黒羽に頼んで光子状態にして貰っていた。闇慈は怒りを心の中に宿し、ゲームの始まりを待っていた。そして中央の魔方陣に集まり、ゲーム会場へ飛んだ。

~~~~~~~~~~~~

そして部員たちが目を開けて見たものはギリシャ神話に登場しそうな神殿がありそうな石造りの様な場所で、背後には神殿の入り口があった。

「ここが今回のゲームのステージ?でもそれにしては広すぎじゃないですか?」

「確かにそうね。それに・・・おかしいわね」

闇慈の疑問にリアスが答え、さらに怪訝そうな表情を浮べる。他のメンバーも怪しげに思っていると魔法陣が現れるが・・・1つだけではなく、部員たちを囲うように無数の数が出現した。

「・・・アスタロトの紋様じゃない!」

祐斗が剣を構え、朱乃も手に雷を走らせる。

「魔方陣全て共通性はありませんわ。ただ!!」

「全部、悪魔。しかも記憶が確かなら、カオス・ブリゲードの旧魔王派に傾倒した者達よ!!」

魔方陣から大勢の悪魔が現れ、リアス達を激しく睨みつける。数は1000人は居るだろう。

「忌々しき偽りの魔王の血縁者、グレモリー。ここで散ってもらおう」

悪魔の1人がリアスに挑戦的な物言いをした瞬間、突然アーシアの悲鳴が聞こえた。闇慈が慌てて振り向いても、そこにアーシアはいないかった・・・

「イッセーさん!」

アーシアの声が聞こえた空の方を見るとアーシアを捕らえたディオドラがいた。

「やあ、リアス・グレモリー。そして赤龍帝。アーシア・アルジェントはいただくよ」

「アーシアを放せ!このクソ野郎!卑怯だぞ!つーか、どういうこった!ゲームをするんじゃないのかよ!?」

一誠の叫びにディオドラは醜悪な笑みを見せる。

「バカじゃないの?ゲームなんてしないさ。キミ達はここで彼ら・・・カオス・ブリゲードのエージェント達に殺されるんだよ」

「ディオドラ。あなた、カオス・ブリゲードに通じていたと言うの?最低だわ。しかもゲームまで汚すなんて万死に値する!何よりも私の可愛いアーシアを奪い去ろうとするなんて・・・!!」

ディオドラの言動にリアスは殺気とオーラを纏い始める。

「彼らと行動した方が、僕の好きな事を好きなだけ出来そうだと思ったものだからね。ま、最期の足掻きをしていてくれ。僕はその間にアーシアと契る。意味は分かるかな?赤龍帝、僕はアーシアを自分のものにするよ。追ってきたかったら、神殿の奥まで来てごらん。素敵なものが見られる筈だよ」

「なるほど。今までの言動で一つだけ分かったことがありますよ、ディオドラさん。まず一つは貴方が異様なパワーアップを見せてしましたがそれはカオス・ブリゲードと内通していたため。そしてもう一つは・・・」

闇慈はセイクリッド・ギアを発動させ、真紅の魔眼でディオドラに睨みながら殺気を篭めた言葉を発する。

「貴様は欲望の塊で、生きて行くに値しない俗物だ・・・!!イッセー!アスカロンをゼノヴィアに渡すんだ!!」

「おう!」

一誠はブーステッド・ギアを出し、先端から聖剣アスカロンを取り出してゼノヴィアに渡した。

「アーシアは私の友達だ!お前達の好きにはさせん!」

ゼノヴィアはアスカロンを手に持ち、アーシアを助けに行こうとしたがディオドラが魔力弾を放ち体勢を崩されてしまう。ゼノヴィアは聖なるオーラを弾き飛ばすがディオドラは意とも簡単に避けてしまう。今度は闇慈が翼を具現させ、アーシアを助けに行こうとするが、カオス・ブリゲードの連中がそれを拒む。

「退けぇぇぇ!!貴様等!!!」

闇慈はデスサイズ・ヘルで斬り裂いて行ったがディオドラに届く気配はなかった。

「イッセーさん!ゼノヴィアさん!アンジさん!イッ・・・」

助けを請うアーシアだったが無情にも空間が歪み、次第にアーシア、ディオドラはその中へと消えて行った。

「アーシアァァァ!!」

「イッセー!今は目の前の敵を倒す方が先だ!」

闇慈はアーシアを追おうしている一誠を引き止め、促す。一誠も頷いて囲っている悪魔との軍勢と対峙する。

(流石に数が多いな・・・デスサイズ・ヘルは多数相手には不向きだ。少し早いがアグニ&ルドラを出すか?)

デスサイズ・ヘルは大鎌なため、攻撃力は高いが大振りになってしまうため隙が大きい。つまり大人数を相手にするには少し不利があった。
闇慈はアグニ&ルドラを呼び出そうとすると・・・

「キャッ!」

「朱乃さん!?」

朱乃の声が聞こえ、その方を向くと隻眼の老人が朱乃のスカートを捲り、パンツを覗いていた。闇慈は老人に近づき・・・

「何をやっているだ!?」

と老人を朱乃から引き離すとその老人は以前ソーナとの戦いの後で会った・・・

「って・・・貴方は、オーディンさん!!」

北欧神話の最高神オーディンだった。

「オーディン様!どうしてここへ?」

「簡潔に言うなら、ゲームをカオス・ブリゲードに乗っ取られたんじゃよ。今、運営側と各勢力の面々が協力態勢で迎え撃っとる。ま、ディオドラ・アスタロトが裏で旧魔王派の手を引いていたのまでは判明しとる。先日の試合での急激なパワー向上もオーフィスに『蛇』でも貰い受けたのじゃろう。だがの、このままじゃとお主らが危険じゃろう?救援が必要だった訳じゃ。しかしの、このゲームフィールドごと強力な結界に覆われていてのぅ、そんじょそこらの力の持ち主では突破も破壊も難しい。特に破壊は厳しいのぅ。内部で結界を張っているものを停止させんとどうにもならんのじゃよ」

「じゃあオーディンさんはどうやってこの中に?」

「ミーミルの泉に片方の目を差し出した時、わしはこの手の魔術、魔力、その他の術式に関して詳しくなってのぅ。結界に関しても同様じゃ」

オーディンが左の隻眼を見せると、そこには水晶が埋め込まれ、目の奥に輝く魔術文字は神秘的な物でもあると同時に部員たちに寒気を与えた。

「相手は北欧の主神だ!討ち取れば名が揚がるぞ!」

旧魔王派の悪魔達が一斉に魔力の弾を撃ってきた。オーディンは杖を一度だけトンと地に突くと向かってきた無数の魔力弾が全て消滅した。

「本来ならば、わしの力があれば結界も打ち破れる筈なんじゃがここにいるだけで精一杯とは・・。はてさて、相手はどれ程の使い手か。ま、これをとりあえず渡すようアザゼルの小僧から言われてのぅ。まったく年寄りを使いに出すとは、あの若造はどうしてくれるものか・・・」

オーディンは部員達人数分の小型通信機を渡した。

「ほれ、ここはこのジジイに任せて神殿の方まで走れ。ジジイが戦場に立ってお主らを援護すると言っておるのじゃ。めっけもんだと思え」

オーディンが杖を闇慈達に向けると、薄く輝くオーラが闇慈達を纏った。

「それが神殿までお主らを守ってくれる。ほれほれ、走れ」

「でも、爺さん!一人で大丈夫なのかよ!」

一誠が心配を口にするが、オーディンは愉快そうに笑っていた。

「まだ十数年しか生きていない赤ん坊が、わしを心配するなぞ・・・」

オーディンの左手に槍が出現し・・・

「・・・グングニル」

悪魔達に向かって槍から極大のオーラが放出され、襲い掛かった。それによって数十人位が一気に吹き飛んでいた。一誠はその威力に我が目を疑っているようだった。

「なーに、ジジイもたまには運動しないと体が鈍るんでな。さーて、テロリストの悪魔ども。全力でかかってくるんじゃな。この老いぼれは想像を絶する程強いぞい」

オーディンが余裕をかましていると一体の悪魔が不意をついてオーディンに魔力弾を撃ってきた。

「危ねえ!じいさん!!」

一誠が声を張り上げるが、その魔力弾はオーディンに届かなかった。突然オーディンを守るかのように大きな火柱がたった。そしてそれが収まるとデスサイズ・ヘルを消して両手にアグニ&ルドラを持った闇慈が守護していたオーラから出て、オーディンの前に立っていた。

「油断していると神であろうと怪我をしますよ?」

「余計な事せずともわしは分かっておったわい」

「なら良かったです。部長、僕がオーディンさんに付き添います。すぐに片付けて戻りますから」

「大丈夫なの?アンジ」

「ええ。それにこの剣の試し斬りにもなりますしね」

そう言うと闇慈はアグニ&ルドラをリアスに見せた。

「それって・・・魔剣?」

「ええ。でもただの魔剣じゃないです。魔具、アグニとルドラです」

「アグニとルドラですって!?」

リアスが驚愕の声を上げる。一誠がリアスに尋ねる。

「この魔剣ってそんなに凄いんですか?」

それを祐斗が代わり説明する。

「魔具って言うのは太古の昔に封印された悪魔が恐れたと言われている武器だよ。この二本の剣は魔剣だけど、僕のソード・バースでも作る事の出来ない強力な剣だよ」

「説明ありがとう、祐斗。僕は大丈夫ですから行って下さい!!早くしないとアーシアの身も危ないです!!」

「・・・分かったわ!オーディン様!アンジ!ここをお願いします!」

リアス達は神殿の方へ走り出した。闇慈は再びアグニ&ルドラを構え、悪魔達と向き合った。

「わしの心配なぞしなくとも良かったものを・・・」

「年長者は敬え・・・貴方一人にこの人数を戦わせるのは僕の心が許さなかったみたいです」

「・・・ふっ。そこまで言うなら、わしは何も言わん。ならば始めるとするかのぅ!」

「はい!!」

オーディンは再び先ほどの槍を取り出した。

「この魔剣は、貴様等にとって悪夢そのもの。この力・・・その身で味わえ!!いくぞ!アグニ!ルドラ!」

【【御意!!】】
 
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