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ソードアートオンライン VIRUS

作者:暗黒少年
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休日2

 
前書き
今のところケットシーに1票入りました~ 

 
 ニシダからの連絡が来たあとユキは、地味な服装にスカーフを目深くかぶって湖のところまで来た。連絡によるとギャラリーが三十人ほど来ると書いてあったため、ユキには申し訳ないがこのような格好をしてもらっている。

「なんか、この格好のほうが恥ずかしい」

 ユキは俯きながら言った。

「仕方ないだろ。お前はSAO内の五指に入る、美人または可愛いの一人なんだから。しかも、ニシダさんが呼んだ中にお前のファンクラブがいたりしたらもっと困るだろ」

「そうだけど……」

「まあ、そんなに心配すんな。もしものことがあったらアスナと一緒に逃げろ。俺とキリトが何とかしておくから」

 ゲツガは笑いながら言うと、後ろから声をかけられた。

「わ、は、は、晴れてよかったですな!」

「ああ、絶好の釣り日和だな。それとこんにちは、ニシダさん」

 そう言って頭を下げる。周りの集団も年齢にはバラつきがあるが、ニシダの釣り仲間みたいだ。挨拶に回った時にユキに気付いたものがいなくて内心ホッとした。挨拶が終えたとちょうどにキリトとアスナも来た。アスナはユキと同じように地味な服装にスカーフを着けてばれないようにしている。

「よう、ゲツガ。調子はどうだ?」

「大丈夫だ。問題ない」

「ん?なんかどっかで聞いたような死亡フラグ?」

「そんなことはどうでもいいだろ。それよりも、アスナもそんな格好か」

「うん。キリト君がこれを着て行ってくれってうるさくてね」

「アスナもなんだ。私もゲツガ君がこれ着てけって」

「「当たり前だろ。ばれたらいろいろとやばいんだから」」

 ゲツガとキリトがハモって言う。それにアスナとユキがくすくすと笑う。

「ああ、キリトさんたちもようやく来ましたか」

 ニシダがキリトたちに気付いて近づいてくる。

「あ、ニシダさん。こんにちは」

「こんにちは、ニシダさん」

 キリトとアスナもニシダに挨拶をする。そして、しばらく他愛もない会話をした後、ニシダが大きな声で宣言した。

「さて、全員そろったところで今から本日のメイン・エベントを決行します!!」

 そう言うと、ギャラリーが大いに沸いた。そして、ゲツガはニシダの後についていく時、不意にニシダの持つ釣り竿の太い糸をの先を見て少し驚く。先についてたのは大人の二の腕くらいある毒々しい模様のついたトカゲだった。

「「ひえぇー……」」

 それに気付いたアスナとユキは顔を強張らせ、二、三歩後ずさる。

 そして、湖の前に来たニシダは気合の入ったフォームで巨大なトカゲが先に付きいた糸が少し離れたところで大きな水しぶきを上げて湖に沈んでいった。キリトが言っていたがSAOには釣りなどの特定なものには待ち時間がないという。仕掛けてから数秒で獲物がつれるか、餌が消滅して失敗するかのどっちからしい。固唾を呑んで、沈んだ糸の先を注目する。

 しばらくして、釣り竿の先がぴくんと振るえた。だがニシダはその反応がきても微動だにしない。

「きたぜ!ニシダさん!」

「なんの、まだまだ!!」

 メガネの奥の、普段は好々爺然とした目を爛々と輝かせたニシダは、細かく震える竿の先端が一気に引き込まれると同時に声を上げた。

「いまだッ!」

 ニシダは釣り竿を引いてゲツガを呼ぶ。

「掛かりました!!ゲツガさん!!あとは頼みます!!」

 そういわれた瞬間、待機していたゲツガが竿を片手で持つ。それをみたニシダはパッと手を離した。

「おっと、なかなか引いてくるな……」

 片手で持ったゲツガは微妙に引っぱられる感じがするだけでそこまで重いと感じない。

「これ、思いっきり引っ張っても折れたりしないか?」

「最高級品です!思いっきりやっちゃってください!!」

「それじゃあ遠慮なく」

 ゲツガは竿を両手で持ち、すう、と大きく息を吸い込む。そして思いっきり竿を引っ張る。
先端が相当しなるが折れる気配がまったくない、さすが高級品。そして湖を見ると大きな影が水の中に見える。

「あ、見えた!!」

「大きいよ!!」

 ユキとアスナが身を乗り出して水中の影を指す。見物人はその影を見て、大きくどよめく。
そしてゲツガは筋力値最大にして引っ張ると、水面が持ち上がる。そして、ドパー、と水の中から何か飛び出した。それと同時に支えを失ったゲツガはその場に倒れこむ。

「いてっ」

 そして身体を起こすとギャラリーが上を見ながら二、三歩後ず去っていた。

「どうしたん……」

 そういい終わる前に自分のところだけ影で日が当たらないことに気付く。そして、ギャラリーは一斉に走り出した。そんなことよりもこの影の正体は何だと思い上を向くと大きな口みたいなものが落ちてきてゲツガはその中に飲み込まれた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ゲツガ君が一気に釣り上げた魚は高く空に飛ばされた。

「高く飛んだね」

「そうだね」

「しかし、ゲツガの筋力値ってほんと、規格外だよな。多分俺だったら結構引かれると思うのに片手で若干震えるくらいって……」

「まあ、仕方ないよ。それが極振りの人の特徴だから」

 ユキとアスナとキリトは、上に釣り上げられた魚が姿が見えないくらい高く上げられて落ちてくるのを上を見て待っていた。

「しかし、どんだけ飛んだんだよ。姿がまだ豆粒みたいに小さいぞ」

「ホントだよ。もしかしたら上の層の床に当たったんじゃないの?」

そう言っていると、ようやく魚の身体が視認できるところまで見えた。

「「「……」」」

 アスナとキリトとユキはその姿を見て固まり、その後二、三歩後ずさる。ゲツガの方を見ると身体を起こしあたりを見回していた。

「取り合えず、離れよっか」

 アスナの言葉に頷いて一斉に岸から離れた。

 そして、ある程度はなれるとちょうどゲツガの上に魚が落ちて、食べられたところだった。

「食べられたな」

「食べられたね」

「食べられちゃったね」

 キリトとアスナとユキがそれぞれ同じようなことを言った。

「そうですね、食べられま、ってそんなこと言ってる場合ですか!!ゲツガさん食べられちゃいましたよ!!助けなくていいんですか!!」

 ニシダがキリトにそう叫び訴える。

「大丈夫ですよ、ニシダさん。あいつ、あれくらいでくたばるような奴じゃないし。それより、早く俺らが避難しなきゃなりません。そろそろ、怪獣バトルが始まります」

「怪獣バトル?」

 ニシダがそう言うと同時にシーラカンスのような生物の口を見る。するとその口の間でゲツガが口を強引に開いて物凄い怒ってますよという雰囲気を出していた。

「持ち上げて飛ばしたのは悪いと思ってる。だから、落ちてくることも分かってたんだが、何で口のほうから落ちてきた?喧嘩売ってんのか?売ってんなら買うぞ、クソモンスター!!」

 そう言って手をどかして口から勢いよく飛び出る。そして地面に足を付いたと同時にジャンプして顎を思いっきり蹴り上げた。

「「……始まった……」」

 キリトとユキがため息を吐きながら言った。

「ゲツガさん、ですよね?ちょっとキャラ変わってませんか?」

「あいつ怒るとたまにキャラが変わるんですよ。絶対にあれが倒されるまでしばらく近づかないほうがいいですよ」

「は、はあ」

 ニシダはそう返し、もう一度シーラカンスのようなモンスターを見る。数秒見ていないうちにゲツガはシーラカンスのようなモンスターの尻尾を持って大きな身体を何度も交互に叩きつけていた。そのせいでこっちに物凄い振動が襲う。

「ゲツガさん、ハンパないですな。こりゃ怒らせんほうが得策ですな」

「まあ、多分結構なことがなきゃ、怒らないでしょうね。あいつ、ああ見えてあんま怒んないし」

「え?そうなんですか?じゃあ、何であんなにキレてるんですか?」

「う~ん、たぶんですね。ゲツガ君は、魚の口臭で怒ったんだと思いますよ。ゲツガ君、臭いのが嫌いとかいってたし」

「そうですか……」

 ニシダはそう言って再びゲツガのほうを見る。何度も叩きつけられる魚をみて思う。

(口臭が臭くなきゃあそこまでならなかったものを……)

 そしてようやくポリゴン片になるとようやくゲツガの怒りがようやく収まったのか、いつもの雰囲気に戻っていた。

「おーい、倒し終えたぞ」

「ゲツガ君、お疲れ様」

 ユキは手を振った後、ゲツガのところに行った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ゲツガ、お疲れ」

「お疲れ様」

 キリトとアスナもそう言ってゲツガとハイタッチする。

「いやー、ゲツガさん、お強いですねー。それに、すごい豹変ぶりでしたな!」

 は、は、は、と笑いながら背中を叩かれる。

「まあ、そこはあんま気にしないで。それよりもこれ」

 そう言ってゲツガは先ほど手に入れた白銀の釣り竿をニシダに渡す。たぶん、このイベントのクリアした後、手に入る、非売品のレアアイテムだろう。

「おお、これは!!」

 ニシダは目を輝かせてそれを手に取る。ニシダは喜んで使い心地を試しているとギャラリーからは別のどよめきがあった。

「あ、あなたたち、血盟騎士団のユキさんとアスナさん?」

 一人の男が二、三歩出てユキたちの顔を覗き込んだ。

「やっぱり、どこかで聞いたような声だと思ったらお二方でしたか!!」

「ばれちゃった……」

 ユキがそう呟く。

「ほ、本当か、俺、二人のファンクラブの会員なんです!!あ、握手してください!もしくはサインを!!」

 その声で一気にギャラリーが沸き、アスナとユキの周りに群がる。しかし、ある一人の男が、何かに気付いたように聞いてくる。

「……ちょっと、まてよ……さっきから親しげにしてる二人の男って……彼氏」

「すみません。私はそこにいるシャツを着た男の人と結婚していて、アスナのほうはそこの黒の服を着ている人と結婚していますんで」

 そうユキが言うと一瞬で場の雰囲気が凍りつき、男たちの悲嘆の叫びが響き渡った。ニシダはというと、何のことかさっぱりという顔をしていた。

 そして、ゲツガたちの蜜月は、わずか二週間という短い時間で終わりを迎えることになった。だが、最後にこんな楽しいイベントに参加できたのは幸運だったのかもしれない。その日の夜、俺たちの元にある一通のメッセージが届いた。

『七十五層ボス攻略作戦会議を始めるため、君たちに前線に戻ってくるように伝える。なお、君たちには拒否権などない。』

 それはゲツガ達の休みの終わり、そしてまた死と隣り合わせの戦いへの始まりを告げるものだった。

 
 

 
後書き
ようやく最後のトコに入った 
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