DOG DAYS 記憶喪失の異世界人
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第3章 襲撃
「全く………反省してます?」
「はい………」
戦が終わってビスコッティの国境近くにあるミオン砦に帰って早々、直ぐにビオレさんに呼び出しされる俺。
予想通り、説教でした。
「ただでさえ姫様のあられもない姿を大勢に晒した状態で、もっと攻撃しろだなんて………最低です」
「すいませんビオレさん、だけどあの白い肌を見れば男なら誰だってそう思うさ!なあガウル!おっさん!」
側で俺の説教を面白そうに見ていた2人を巻き込む様に質問する。
「まあ姉上は綺麗な肌してるけど………」
「だれがおっさんだぁ!!それに私は妻一筋だ!!」
「うそっ!?奥さんいるの!?」
まさかの答えに大きな声を上げてしまった。
「ガウル、嘘だよな?嘘だと言ってくれ!!」
「い、いや嘘じゃないぜ。しかも結構綺麗な人だ」
「神様、そんなの不公平だ………どう見たって生涯1人で戦場で散るようなキャラじゃないか………」
「………まあ確かに武人としてはそういうのも悪くは無いのだろうが、私は守りたい者の為に戦う。これも立派な武人だ」
「はぁ………」
「何故そんなに落胆するのだ………?」
「レイジさん!!」
「は、はい!!」
そんな脱線した俺に怒りの増したビオレさんの説教は更にヒートアップしていくのだった………
「………」
「ここにいたのかレオ」
その後やっと説教から解放された俺は砦の中にいるであろうレオを探していた。
既に空はすっかり暗くなり、いつの間にか説教の様子を見ていたガウルやゴドウィンは何処かへ行っていた。
ガウルに限ってはジェノワーズを連れ砦の外に出かけたらしい。
まあそれはともかく、レオは自分の部屋には居なく、砦の最上階にある園庭で空を眺めていた。
とても神妙そうな顔で………
「何か用か………?」
「まあね。………なあレオ、お前さ………今回の戦争勝つ気あったのか?」
はっきり言って国の王に向かって言う言葉じゃない。
でもどうしても聞きたいと思った。
「………そうだとしたらどうする………?」
と鋭い眼差しで俺を見てくる。
威圧的に見て俺を脅している様な感じだ。
「………俺は特に何も言わない。俺は居候の身だし、追い出されたら一人でなんて生きていけないしな。………だけどレオを慕って戦っている者達の事を考えてほしい。まあそれに………」
そう言ってまじまじとレオの顔を見るレイジ。
「何か理由があるんだろ?新参者の俺には話せないような大事な事が」
「………なぜそう思う?」
「う~ん、何故と言われても答えづらいな………もしかしたら記憶にレオの様に深刻そうな顔で俯いて悩んでいた人と会ったことがあるのかもな………」
「そうか………」
「俺はその時何と言ったかは分からないけど、一人で抱え込むより少数でもいいから誰かに打ち明けた方がいいんじゃないか?ビオレさんやバナードだったら必ず力になってくれる筈だぜ」
そう言うとさっきの鋭い眼差しは何処に行ったのか、耳が垂れて怒られた猫のような顔をするレオ。
「だ、だがあやつらは口うるさくての………」
「いや、まあ確かに………」
バナードはともかくビオレさんには長々と説教を受けたばかりだ。
よくもまああんなに長く話せるものだ………
「それにまだワシ自身も………」
「レオ?」
そんなレオに本気で心配になってきた。
かなり深刻な事を自分だけで背負っているのでは無いのか………?
「レオ、話たく無いならまだ良い。だけど一人で背負うな。重い話なら尚更だ。一人で出来る事は限られてる。一人で出来ない事も2、3人ならまた………」
「しかし………」
「レオ、1+1は?」
「ワシをバカにしているのか?当然2であろう」
「そう、1+1は2だ。それは俺達も一緒だろ?1+1は2で、1人よりも2人の方が良いに決まってる」
「………しかしそれでもワシ自身の気持ちが決まらんのだ。もしかしたら杞憂に終わるかもしれるのだがらな」
そう言って再び空に視線を向ける。
まるで空から何かが降ってくる予知している様だった。
「そうか………だけど無理はしないでくれ………」
「ああ。………ありがとうレイジ、少しワシの気分も楽になった、話せて良かったぞ………」
そう言って笑顔を見せるレオにちょっとドキッと来てしまった。
いつも威厳のあるレオがこんな弱々しい場面を見せたのは初めてだったからだ。
「………まあまた何かあったら気軽に話して………何だ………?」
バサバサと音がし、おかしいと思い空を見上げた。
すると空には大きな翼を持った人の姿をした何かがゆっくりと降りてきた。
大きな翼に筋肉質な身体。身長は俺の1.5倍程大きく、2mは超えているだろう。
なにより異質なのは太い手足にある鋭い爪、そしてライオンの顔。
「何だお前………」
丸腰なレオを庇うように立ち、腰に掛けていた飯綱に手を添える。
「シンケンハドコダ………」
「神剣って………レオの使ってるグランヴェールだっけ………?」
「何故貴様神剣を………」
「ドコニアル!!!」
そう言って大きな爪を俺とレオに向かって突いて来た。
「レオ!!」
レオを突き飛ばし、鞘で突きを受け止める。
「ぐっ!?やっぱりでかい分、力が………」
多少はその場で耐えたが耐え切れず、バックステップしながら何とか受け流した。
「レイジ、大丈夫か!?」
そんな俺に寄ってくるレオ、突き飛ばしたおかげで難を逃れられたが、危険なのは変わらない。
今のレオは武器どころか鎧も着ていないのだ。
俺はあの白いロングコートだけと相変わらずの軽装。
レオを庇ってあの突きを食らったら一発で御陀仏かもしれない。
「ああ、大丈夫だ。それよりフロニャルドにはあんなバケモノがいるのか!?」
「ワシもあんなバケモノを見るのは初めてだ、一体何故神剣を狙って………」
「シンケンハドコニアル!!!」
再び俺達に向かって向かってくるバケモノ。
「レオ、取り敢えずそれは後回しだ!!今すぐ下に降りて応援を頼む!!それまで俺がここで食い止める!!」
「しかし一人では!!」
「今のお前がいても邪魔なだけだ!!せめて武装してから来い!!」
「くっ………分かった、しかし死ぬなよ!!」
「モチ!!」
その俺の返事と共に、再び相手の爪が俺を襲う。
「同じ攻撃なんて!!」
それを回転しながら受け流し、その腕に飯綱を叩き込んだ。
「グオッ!?」
多少ダメージを与えられたのか、思わず仰け反るバケモノ。
「まだ!!」
全身を魔力強化し、突撃する。
顔面に飛び上がり、回し蹴り、鞘で地面に向かって叩きつけ、最後に刀で叩き斬る。
しかし最後の刀は倒れながらも爪で弾き返し、叩き斬る事は出来なかった。
「オノレ………」
「まだ!!」
着地した瞬間、即座にバケモノに向かっていく。
「チョウシニ………ノルナ!!」
爪を使って払う様に俺に攻撃してくるバケモノ。
一撃でも受けたら致命傷になりそうな一撃だが、その動きはビスコッティにいた騎士団長やガウルみたいに速くない。
それに単調な分読みやすい。
「遅い!!」
それをジャンプして避け、そのまま抜刀の構えで向かう。
「サケルノハワカッテイタ!!」
しかしその動きを読んでいたバケモノは口を開け、大きな炎を放ってきた。
「そんなの有りか!?」
ジャンプして向かっていたため、身動き出来ず、大きな炎を吐き出そうとしているバケモノに向かっていくしかないレイジ。
「こなくそ!!こうなったらそれごと叩き斬ってやる!!」
覚悟を決めたレイジは刀を握る手に力が宿る。
「モエツキロ!!」
「葬刃!!」
今、レイジが使える最速にして最強の抜刀術。
稲妻の様な速さの斬撃は、相手の放った炎とぶつかり………
「ナニ!?」
「斬り裂け!!」
そのまま相手ごと斬り裂いた。
「グアアアアアアアア!!!」
「よっしゃ!!出来た!!出来たぁあああああ!!って熱!?」
やれた自分に思わず絶叫してしまったレイジ。しかしそれを覚ますように刀が炎を灯すしている事に気がついた。
「何だ?飯綱が燃えているように熱いんだけど………もしかして………」
そんな飯綱を見つめ、思いついたレイジは、顔を斬られ、悶えているバケモノに向かっていく。
「クッ!?」
痛む顔を抑えながらの攻撃は今のレイジに当たるはずも無く、大きく外れて地面をえぐった。
「これで止めだ!!魔王炎撃波!!」
左から右に薙ぎ払う様に炎の刀はバケモノを斬り裂いた。
これは以前思い出した記憶の中のレイジが使っていた剣技。
炎なんて出せない今の状況では使えないと思っていたけど………
「上手くいったな………」
「アアアアアアアアア!!!!マサカヨンホンノシンケンヲマエニシテ!!!」
斬り口から燃え上がる炎はバケモノを飲み込んでいく。
「ツギコソハ………ツギコソハ!!!」
その言葉を最後に残し、バケモノは小さくなっていく。
「きゅ………」
そして最後には猫耳のけものだまになったのだった。
「また………あの森の時にあったあの2人と同じ………ん?」
そんな事を思っているとその側に何やら丸い物が落ちていた。
「これは………青い宝石?」
しかしそれを持ち上げた時、その宝石はバラバラに砕けてしまった。
「もしかしてこれのせいであんな姿に………?」
そんなことを思っていると………
「確かこの辺りで魔物の気配を感じたのでござるが………」
と呟きながら下から上がってきた人影が。
大きな胸を揺らした金髪の忍装束の女性。
「君は………」
と誰だと聞こうと思ったとき、大きな頭痛がレイジを襲った。
(ぐあっ!?………なんでいきなり………)
「うん?あっ!?お主大丈夫でござるか!?」
その女性は直ぐに寄って支えてくれたが痛みが引かない。
(くそっ、大きな胸が当たってるのに感触が分からねえや………)
そんな事を思いながら、レイジは意識を失った………
『ねえ、あなたは何を思って生きてきたの?』
『何だいきなり………』
『いえ………只ね私と似たような境遇で何でそんな風に生きてこれたのかなって………』
誰だ………
『俺は同じって言っても決して一人じゃ無かったからな、親友もいて、相棒もいて………』
『でもあなたは強いわ、特に心が。そんなあなたに私もレイジも………』
俺も………?
「うっ………」
何なんだ今の記憶は………
だけど妙に懐かしかった。
「だ、大丈夫でござるか………?」
意識がハッキリし、視界も鮮明になると目の前にはさっきの巨乳の女性の顔が。
………半分は胸だけど。
頭の感触も柔らかい。
これってもしかして膝枕………?
「いやぁ、いきなりビックリしたでござるよ。魔物の気配がして戦っているお館様の代わりに見に来れば魔物じゃなくて貴殿がいて、しかも早々に頭を押さえて気を失ったのでござるから………」
「そうか………」
しかし今回の記憶は何だったんだろう………
今までとは違い、その光景も思い出せず、ただ2人の会話を聞いただけ。
「気分はどうでござるか………?」
「………済まない、もう少しこのままで良いか?魔力強化で戦って体がだるいうえ、まだ頭痛が………」
「ふふ、構わんでござるよ。もしかしてお主があの飯綱使いなのでござるか?」
「飯綱使い?まあ確かに俺は飯綱を使ってるけど………」
そう言って腰についている飯綱を渡す。
「おお!これは確かに飯綱!!前にお館様が対魔物戦に良ければと思い、送ったのはよかったのでござるが、その刀持ち主を選ぶうえ、ガレットでは刀を使う御仁がいなかったと後で気がついて、しまったと後悔してたのでござるよ」
「そうか、あんたのお館様がダルキアン卿か………良い刀だよこれ」
「そう言ってもらえて拙者も嬉しいでござるよ。私はユキカゼ・パネトーネと言うでござるよ」
「俺はレイジ、記憶喪失の居候だ、よろしく頼む」
「こちらこそよろしくでござる」
そう言うと互いに笑顔になる。
(なんだろう、ユキカゼと一緒にいると何故かとても落ち着く………)
そう思い、目を瞑ろうとしたその時、
「………何をしているのだ?」
ドスの効いたレオの声が聞こえてきた………
「貴様………ワシが急いで来たのに、巨乳の女に膝枕してもらって良い身分だな………」
「いや、その………これには色々深い訳がありまして………」
「言い訳など要らん!覚悟せよ!!」
と手を鳴らしながらゆっくり近づいてくるレオ。
逃げたくても体がすごく重くて動けない。
「ほぅ、逃げぬとは覚悟を決めたようじゃの………」
「いやいや!!魔力の使用とさっきの頭痛の影響で体が動かねえんだよ!!それにこのままだとユキカゼにも影響があるだろ!!」
「知らん!!心配して急いで来たのに貴様と言う奴は………ユキカゼ?」
「お久し振りでござるレオ閣下」
そんないつも通りのユキカゼの挨拶に毒気を抜かれたのか、困った顔をするレオ。
「………まあダルキアン卿がいたのだ、貴殿が居てもおかしくは無いと思ったが、ここで何をしておる?」
「拙者もみんなと同じでござる。姫様を助けにお館様と一緒に来たのでござるが、途中魔物の気配を感じその場へ来てみればそこにレイジ殿が立っていたので話を聞こうと思い、近寄ったらいきなり頭を抑えて倒れたのでござる」
「倒れた?いやそれよりあのバケモノを一人で倒したのか!?」
「バケモノじゃない、あれはお前の国の国民だ。最後の一撃が通った後、あのバケモノはけものだまになってその体からこの青い宝石が出てきたんだ。触れたら粉々になっちゃったけど………」
「ワシの国民!?あれか!!しかし一体何故………?」
近寄って抱き上げながらそう言うレオ。
「それもそうでござるが、拙者はあの青い宝石が気になるでござるよ。拙者も最近魔物を倒した時にその青い宝石が出てきたでござるよ。その宝石が何を意味しているのか分からんでござるが………」
「因みにその青い宝石が出てきた魔物と何体戦ったんだ?俺が初めて戦った魔物には青い宝石は無かったから………」
「拙者とお館様がそれぞれ2体を倒したでござるよ。見たことが無い獰猛な魔物で結構手こずったでござる」
「そうなんだ………」
「ユキカゼ」
そんな時、屋上にやって来た人影が2人。
1人はゴドウィン、もう1人は恐らく………
「ダルキアン卿………」
「分かるでござるか?」
「ああ、楽にしてるが雰囲気で分かる。今の俺じゃ多分相手にならない」
それほど、実力の差を感じた。
「お前何やってるんだ?セクハラか………?」
「おっさん、流石にそれは無いだろ………どう見ても調子が悪そうだろ?」
「いつもの調子に乗っ言動が無い………本当に調子が悪そうだな」
「ああ、でもユキカゼの柔らかい太もも枕のおかげで結構楽に………」
ドン!!
地面に斧が突き刺さった。
「閣下………?」
「………それで、何故ワシの国民が魔物に変化していたのだ?」
「それは………」
「拙者達にも分かってないのでござるよ」
レオの質問にユキカゼでは無く、ダルキアン卿が答えた。
「ただ分かっているのは強い魔物にはどうやらその青い宝石が出てくるみたいで、それ以外は普通にフロニャ力が弱い場所で生息する魔物でござる」
「うん?じゃあ俺が襲われた爪が異様に長い魔物は何なんだ?」
「………詳しくは分からないでござるが恐らく、あの青い宝石の力を浴びてああいう姿になったのだと思うでござる」
「それは………」
「そう、早くあの宝石が何なのかを突き止めてどうにかしないと国民の皆が魔物になってしまうでござるよ………」
「そ、そんな………」
「閣下!!」
崩れそうになったレオを慌ててゴドウィンが受け止めた。
「だが何故、フロニャ力が特に強いこの砦に夜襲などしたのでござるか………普通なら知能と呼べるものが殆ど無い魔物が何故………」
「ああ、それに魔物が言ってたぞ神剣を探してるらしい」
「神剣………でござるか?」
「どういう意味なのでしょうか、お師匠様………?」
「………分からんでござる。だけど目的が神剣であるのなら拙者達が帰ってきたのは正解だったでござるな」
「そうですね」
そんな事を話している内に俺のだ頭痛も治まってきたみたいだ。
「ありがとうユキカゼ、頭痛も大分楽になってきたみたいだ」
「それは何よりでござる」
「だけどまた頼むな。今回でその気持ちいい枕が無くなると思うと気が滅入る………」
「ふふ、考えておくでござるよ」
「ゴホン!!」
と俺がユキカゼと話していると大きく咳払いするレオ。
そしてレオはそのままダルキアン卿とユキカゼを見た。
「取り敢えず今回の騒動は我が弟が迷惑を掛けた。そしてユキカゼ、レイジの介抱も感謝する。しかしワシはまたビスコッティに戦を仕掛ける」
そんなレオの言葉で空気が更に重くなった。
「………何故?閣下も姫様と多少なりとも話したのでござろう。姫は戦を望んでおらぬ。それにまだ戦が終わったばかりですぐに戦など………」
「悠長な事は言っておれん。魔物がフロニャ力の加護で守られている地域にも出没してきているのだ。あの犬姫には国は守れん」
「それこそ互いの国で協力しあって………」
「くどい!!」
そんなユキカゼの言葉一喝するレオ。
怒っているのに、何故そんなに悲しそうな目を………
「………分かったでござる、取り敢えずこの場は帰らせてもらうでござるよ。………何故閣下と姫様の仲がこうまで悪くなったのかは国を離れていた拙者には分からんでござるが、関係が修復するのを願っているでござるよ」
残念そうにそう言ってダルキアン卿はレオから背を向けた。
そして俺の方を向く。
………何故?
「ちょっといいでござるか?」
そう言って俺を手招きする。
俺は特に断る理由も無いのでそのまま近づいて行った。
「閣下は何かを隠しているでござる。主が彼女の力になって上げて欲しいでござるよ」
「………分かってます。新参者の俺がどこまで力になれるか分かりませんけど精一杯やるつもりです」
「それを聞いて安心したでござる。彼女は姫様の大事な親友。何故あんな態度を取るようになったのか分からんでござるが、拙者は仲良くしていて欲しいのでござるよ」
「俺もそう思ってます」
「じゃあ頼むでござるよ」
そう言ってダルキアン卿とユキカゼは屋上から去っていった。
「か、閣下………」
「ゴドウィン、お前はこのけものたまを衛生班に渡し、休め。さっきまでダルキアン卿と戦っていたのだろう?」
「しかし………」
ゴドウィンもレオの様子に心配したのだろう。
「ゴドウィン、悪いがレオは俺に任せてくれないか?それに少し話がある」
「レイジ………分かった、閣下を頼む」
そう言ってゴドウィンは静かに去っていった。
「レオ………」
レオは悲しそうな目で精一杯俺を睨み付けている。
やはりどうしても話したく無い内容なのだろう。
「少し戦わないか?紋章術や魔力は無しの模擬戦の様な感じで」
「………いきなり何だ?」
「少し互いに動いて発散させよう。話はそれからでいいだろ」
「………分かった」
そう言ってレオは戦斧を構える。
対して俺も抜刀の構えをとる。
「じゃあ………行くぞ!!」
暫く屋上では武器のぶつかる音が響いていた………
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