| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~黒の剣士と紅き死神~

作者:ULLR
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

After days
spring
  強化② 

 
前書き
オリジナルって、原作読みながら書かなくていいからすぐ書けて楽チン♪ 

 


「ゴォォォォォォォォ!!!」


《The brightridge》。その正体は自らの背に火山を持つほど巨大な竜だった。


「散開してしばらく様子を見よう。各々の判断で攻撃を当てて反応を見てくれ」


全員がうなずくのを確認すると、俺は正面から接近していった。
ブライトレッジは俺をギロリ、と睨むと咆哮をあげてブレスを放ってきた。先程のアルマジロの炎弾の3倍はあろうかという巨大な火の玉が迫ってきた。


「…………っ!!」


カクン、と鋭角に下降してそれを避けると、進路を微調整して再度、突撃を開始した。

他のメンバーは俺が注意を引いているため、ほとんど苦労することなく間を詰めていた。


「グルルル……!!」


ブレスをかわされた瞬間に相手は次の攻撃体勢になっていた。
岩塊の装甲を持った極太の後ろ足で前足を少し持ち上げて咆哮しながら地面を震動させた。地上部隊がいたなら、その衝撃で全員が転倒を免れないだろうというような震動だった。

が、もちろん敵も居もしない地上部隊を狙ったのではなく、その震動による副次的な作用を利用したのだ。


―――ゴゴゴゴゴゴッ!!


左右の谷からそれ自体が震動を発しながら岩の塊が転がってきた。あるものは途中で砕け、散弾のように飛び散り、またあるものは斜面の出っ張りにぶつかり、跳ね上がって迫ってくる。


「………っと!?」


大きい塊はかわし、小さいものは拳や刀で弾き飛ばし、前進を続ける。
土塊流が収まると同時に今度は角が発光し始めた。


「今度は何だってんだ!?」


クラインが絶叫し、射線から逃れる。

ブライトレッジは4本の足を踏ん張ると、直視出来ないほどに輝きを増した角を小さく突き出すような仕種をした。次の瞬間―――


―ギュオオオオォォォン!!


雷鳴のような音を発しながら極太の熱線が放たれた。


誰にも当たらなかった熱線は後ろの岩壁に直撃し、破壊不可能な筈のそれを大きく抉りとった。


「うそだろ………」


その破壊力に一同が唖然とする。だが、そうも言ってられない。


「懐に潜り込んで足や腹の肉質が柔らかい部分を攻撃しろ!!踏みつけだけ気を付ければ大丈夫だ!!」


セインがあらかじめ調べてきた攻撃パターンの中には懐に潜り込まれた時の行動は踏みつけ(スタンプ)しかなかった。距離を詰めれば厄介な遠距離攻撃は来ない。


「キリトとクライン、それからアードは右から。リズとリーファ、セインは左から回り込んでくれ!!」

「レイはどうするんだよ」


頷きつつも疑問を挟むキリトにニヤリ、と笑い返すと言う。


「正面でタゲを取り続ける。あいつも正面と下の両方で注意を向けるのは至難の業だろうからな」

「……まったく、相変わらずだな」


苦笑しつつ右下へ飛び去るキリト。他のメンバーも不安な様子だったが、キリトに続いて再度散開した。


「……さてと」


背に手を伸ばして白い大太刀を抜き放つ。


「……………」


右手の紅蓮の大太刀に目を向ける。こいつを手に入れたのはSAO最初期だ。
1層ボスの太刀を破壊したら、そのボーナスとして手に入れた。当初はカテゴリ《大太刀》なんてものは持っていなかったし、そもそも筋力値が足らなくて装備が出来なかった。
振れるようになったのは10層を過ぎた辺りだろうか。それから強化を重ねて最期の最後まで共に生き延びてきた。

左手の白蓮の大太刀に目を向ける。あれは47層だったろうか。森の奥に古びたクエストボードがあった。そこに張り出されていたクエストはただ1つ。

《蓮の里》

『仏閣の害獣駆除をしてくれたらお礼に寺にある宝刀を差し上げます』

ということだったので、ありがたく頂戴したのだ。この刀にも随分と世話になったものだった。


「……今までありがとうな」


この2刀にとって最後の戦い。
鉄の城を駆け抜けてきた刀達は融合し、新たな姿となる。


「『()()()』と『白蓮華(プンダリーカ)』か……」

……とすると、どこかに『青蓮華(ニーロートパラ)』も在るかもしれないな。


「と、そろそろ行くか」


煩わしそうに地面を踏みつけるブライトレッジだが、視界端にあるパーティーメンバーのHPに目立った減少はない。

俺は左右に刀を構えると、巨竜に肉薄していった。







__________________________________________






「ゴアァァァァァァッ!!!!」


――ズドォォォォォォォン!!

という音と共に背中の火山を爆発させて大量の火山弾を降らせるブライトレッジ。

あちこちの岩塊装甲を剥がされ、角は切り落とされ、片目は潰されているという満身創痍の敵はそんな傷をものともせず、暴れまわっていた。


「おりゃゃゃゃゃゃゃ!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


クラインとセインの攻撃が遂に左右の翼をも切り落とした。

ちなみに、セインはソードスキルを使うときだけ、片方の剣を納刀している。


「ガァッ!?」


バランスを崩したブライトレッジが地面に倒れ込む。事前に退避していたおかげで潰れた者は居なかった。


「今だ!!総員全力攻撃(フルアタック)!!」


号令を掛けると同時かそれよりも早くに全員が動き始めていた。
リズの戦鎚が顔面の装甲にヒビをを入れ、アードの棍がそれを完全に砕く。すかさず俺を含めた残りのメンバーが自分の使える中でもっとも強力なソードスキルを敢行する。

大太刀8連撃、《大嵐(たいらん)


上段振り下ろしを2連撃。左右の斜め上から2連撃。左右の斜め下から2連撃。そこから全体重を掛けて大上段からの振り下ろし。最後に体を捻りながら体を一回転させ、最大攻撃力の横一文字斬り。


長大な技後硬直が終わったときに、ブライトレッジはその巨大をポリゴンに爆散させた。





___________________________________







日も落ちて《リズベット武具店》に帰ってくると、皆は口々に疲れたと言いながらも顔は笑っている。


「リズ、疲れてるとこ悪いんだが……」

「分かってるわよ。ほら、とっとと渡しなさい」


俺が2本の刀と手に入れた赤い鉱石を渡すと、リズは奥の工房に引っ込んでいく。


「しっかしなぁ……。言われてみると確かにって思うけど。こりゃ武装をしっかりしておかないと、これからのボスはきついかもな……」


クラインのボヤキに一同がうんうん、と頷く。アードがそんなクラインにポツリと言う。


「……武装もそうだけど、クラインは魔法抵抗(スペルレジスト)のスキルを上げた方がいいと思う」


グサッ。と何かに刺されたように押し黙るクライン。
賑やかな笑い声が店内を満たす。そこへリズが1本の大太刀を抱えて戻ってきた。


「お疲れ様。どうよ?」

「抜いてみなさいって」


意味ありげな得意顔でそれを差し出すリズ。

俺はそれを片手で受け取り――――


「いっ!?」


ズンッ、という重み。明らかにこの刀の元になっている3つの素材の重量合計より重い。

質量保存の法則はどこいった。とぼやきながら白い柄に手を掛けて抜き放つ。



峰は目に鮮烈な深紅。
刃は白地に紅で唐紋のような模様が入っている。


「『蓮華刀・紅桜』だって。」


…………まぁ、いいが。


「……ところで、特殊能力はどうなったんだ?」

「『焔鎧(ほむらよろい)』だそうよ。オートディフェンス能力」


……えらいもんが付いちまったな。ゲームバランスはいいのか?


「なあ、試して見ようぜ」

「……どうしてお兄ちゃんが反応するのよ」


呆れ気味のリーファを意に介さず、キリトは好奇心を隠そうとしていない。


「……わかったよ。じゃ、キリト。お前が相手な」

「いいぜ」

大太刀を肩に担ぐと、むしろ大歓迎といった様子のキリトを伴って俺達は外へ出た。

装備フィギアを手に持つ刀に設定し、詳細が書いてあるリファレンスを読む。

……なるほど、オートガードといっても攻撃してくる方向を特定しなきゃならんのか。
ウインドウを閉じて、店の前でキリトと対峙する。


「おおおおおぉぉぉぉっ!」


咆哮をあげて迫りくるキリト、俺は刀を構えずにキリトに意識を集中させる。

――――ゴウッ!!

キリトの剣と俺の間に焔の障壁が展開し、攻撃を防ぐ。だが、焔の盾はすぐにその勢いを弱めやがて、キリトの剣が焔を切り裂いた。

「効果は永久ではないみたいだな」

「ま、あんまりチートすぎると、ゲームバランスが崩れるからな」


使い方の検証は後日やることにして、その日は少し駄弁った後に解散となった。




_________________________________





翌日、月曜日。午後一の選択科目の授業は、先生が休みだとかで自習ということになり、そんなことをする気が微塵もない俺は暇をもて余していた。

ちなみに、選択科目の席は自由席。

和人と明日奈は選択科目を全て一緒にするという何とも仲睦まじいことをしているので、その空気に触れたくなかった俺は適当に科目を選んだ――はずだった。

窓際に座った俺の右隣には和人。さらにその隣には明日奈。
俺の後ろには狼李。その隣には凛そして里香。
前には左から順にレオン、海斗、夏希そして珪子。

つまり、いつものメンツが気持ちいいぐらいに揃っているのだ。
しかし、その中で真面目に自習しているのはわずか2人。明日奈と次の時間の課題がまだ残っていて半泣きな珪子だけだった。


「へえー、オートガードか。また情報屋が騒ぐな」


不真面目筆頭とも言える海斗が興味津々に聞いてくる。海斗が『また』と言っていることは決して誇張ではない。それでなくとも俺たちはSAOカムバック組の中でも色々な意味で目立っている俺達はよく騒がれる。
正直、それは俺の意図した事ではないので、気分は憂鬱だった。


「お前な。ここでゲームの話は止めろ。全生徒の6割りが未だにそうゆう類いの話に忌避感を持ってんだから……」


不満そうな顔をするが、それが事実なだけ、反論が出来ない。


「……気になるんなら今夜ログインしろ。見せてやるから」

「まじで!?」


現金に喜ぶ海斗を「こいつ性格変わったなぁ~」という気持ちで眺めていると、授業終了のチャイムが鳴り、次の教室へ向かう。

まぁ、隣の2人は何故か全て一緒なんだが……。泣きてぇ。


「じゃ、今日の夜9時。イグドラシル・シティの中央広場に全員集合!」

「何で全員呼ぶんだよ!?」


だが、流石に全員は無理だろうと思って見回すと、全員が了解のサインをしている。

……全く、愉快なやつらだよ。




 
 

 
後書き
さて、Springはこれで終わりです。次回はSummer。といっても1つ閑話を入れてからですね。

主役はリズ&リオ。キリトとアスナを巻き込んでレイに対する『ある恨み』を晴らそうとあの手この手で挑みます。

Summerと来た時点で大部分の人は「お前の考えは分かっている!」と心の中で思っていらっしゃることと思います。
ええ、やりますとも!ご期待どおりに。

では、また来週(^ー^)ノシ


P.S キリトが出てきたのにユイの出番がなかった……。明日奈のとこに行ってたことにしておいて下さいorz 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧