ソードアート・オンライン~ニ人目の双剣使い~
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手がかりと新たな始まり
前書き
ALO編開始です
手がかりと新たな始まり
エギルにメールで彼のやっている喫茶店兼バー<<Dicey Cafe>>に向かう
「待たせたな」
表札にはCLOSEと書いてあったが、かまわず入る。するとそこにはハゲで巨漢のバーテンダー、エギルともう一人、キリトがいた
「リン……なのか!?」
どうやらエギルにもう一人くるとだけ聞かされていたようだ
「久しぶり……か?はじめましてって言った方がいいのか?」
「まあ……現実でははじめまして、だな」
苦笑するキリト
「で、話って何だ?」
「これについてだ」
エギルは一枚の写真を差し出してくる。そこには、鳥かごの中にいる一人の女性が写っていた
「……キリト」
俺が声をかけるとわかってるというようにうなずいて口を開く
「ああ、アスナに似てる。実はアスナをはじめとする数百人のプレイヤーがまだ目覚めてないんだ」
「なっ……」
あり得ない。茅場は全てのプレイヤーを現実に戻すと言った。彼の性格からするとそれを破ることはまずない
「見たところ、ゲーム内のスクリーンショットのようだが……タイトルは?」
するとエギルはカウンターの下からゲームソフトを二つ取り出すと俺とキリトに手渡してきた。タイトルは<<ALfheim Online>>
「聞いたことないハードだな……」
キリトがそう言ったので右上に印刷された文字をみる。そこには<<AmuSphere>>と書かれている
「<<アミュスフィア>>。オレたちが向こう側にいる間に発売されたんだ。ナーヴギアの後継機だよ、そいつは」
「よく出せたな……SAOで危険性がわかったというのに……」
「市場のニーズを止めることができなかったんだろうよ」
皮肉にもなとエギルはつぶやく
「じゃあ、これもVRMMOなのか」
「アルヴヘイム、妖精の国っていう意味だとさ」
「妖精……。なんかほのぼのしてるな。まったり系のMMOなのか」
「それが、そうでもなさそつだぜ。ある意味えらいハードだ」
そうキリトが言うとエギルはニヤリと笑う
「ハードって、どんなふうにだ?」
「どスキル制。プレイヤースキル重視。PK推奨」
「ど……」
絶句するキリトを尻目にエギルは続ける
「いわゆる<<レベル>>は存在しないらしいな。各種スキルが反復使用で上昇するだけで、育ってもヒットポイントは大して上がらないそうだ。戦闘もプレイヤーの運動能力依存で、剣技なし、魔法ありのSAOってとこだな。グラフィックや動きの精度もSAOに迫るスペックらしいぜ」
「へえ……そりゃ凄いな」
「プレイヤースキル重視か。俺たちにとっては好都合だ」
「え、何で?」
わからないといったかんじで首を傾げるキリト
「アスナの可能性が少しでもあるならば行くだろ?やらないで後悔するより、やって後悔しようぜ。それに俺たちが、死の無い世界で育ったようなもやしプレイヤーなんかに負けるかよ」
「ああ!!」
俺はキリトの返事を聞き満足してうなずいた
「ところで、PK推奨ってのは?」
「プレイヤーはキャラメイクでいろんな妖精の種族を選ぶわけだが、違う種族間ならキル有りなんだとさ」
「そりゃ確かにハードだ。でも、いくらハイスペックでも人気出ないだろ、そんなマニア向けな仕様じゃ」
するとエギルは再び笑う
「そう思ったんだけどな、今大人気なんだと。理由は<<飛べる>>からだそうだ」
「飛べる……?」
「妖精だから羽根がある。フライト・エンジンとやらを搭載してて、慣れるとコントローラなしで自由に飛び回れる」
キリトがへえっと声を上げる。飛行か……それがこのゲームのミソってとこか
「飛べるってのは凄いな。羽根はどう制御するんだ?」
「さあな。だが相当難しいらしい。初心者は、スティック型のコントローラを片手で操るんだとさ」
「片手をとられるのはきついな……でも、行かないとな。そのスクリーンショットを見せて、さらにアルヴヘイム・オンラインを見せてきたってことは、その中のスクリーンショットなんだろ?」
エギルはパッケージを取ると裏返す。そこに描かれている巨大な樹を指差すと言った
「世界樹と言うんだとさ。プレイヤーの当面の目標は、この樹の上の方にある城に他の種族に先駆けて到着することなんだそうだ」
「到着って、飛んでいけばいいじゃないか」
「そんなに簡単にできたらクエストにならんだろうが」
呆れた声を出す俺
「なんでも滞空時間ってのがあって、無限には飛べないらしい。この樹の一番下の枝にたどり着けない。でもどこにも馬鹿なことを考えるやつがいるもんで、体格順に五人が肩車して、多弾ロケット方式で樹の枝を目指した」
「ははは、なるほどね。馬鹿だけど頭いいな」
「それ矛盾してないか?」
「うむ。目論見は成功して、枝にかなり肉薄した。ギリギリで到着はできなかったそうだが、五人目が到達高度の証拠にしようと写真を何枚も撮った。その一枚に、奇妙なものが写り込んでたらしい。枝からぶら下がる、巨大な鳥かごがな」
「鳥かご……」
「そいつをギリギリまで引き伸ばしたのが、その写真ってわけだ」
「よし……場所も目的地もわかったところで……な」
「ああ……エギル、このソフト、もらっていいか」
一瞬気遣わしげな顔をしたが、次の瞬間それは和らいだ
「おまえらのことだ。とめても無駄だろ?」
「ああ、この眼で確かめる」
「死んでもいいゲームなんてヌルい。死地から何度も抜け出してきた力を見せてやるよ。そうと決まればゲーム機を買いにいこうぜ」
「ナーヴギアで動くぞ。アミュスフィアは、単なるアレのセキュリティ強化版でしかないからな」
「そりゃ助かる」
エギルはにやりと笑うと言った
「ま、もう一度アレを被る度胸があるなら、だけどな」
「もう何度もかぶってるさ」
「ふっ……」
キリトが目配せしてくるので俺はうなずいた
「じゃあ、俺は帰るよ。ご馳走様、また情報があったら頼む」
「情報代はつけといてやる。アスナを助けだせよ。そうしなきゃ俺たちのあの事件はおわらねえ」
「もちろん助けるさ。アスナにはいろんなことを教えてもらったしな」
「親孝行な息子さんだこと」
くっくとキリトが笑いながらちゃかす
「うるせぇよ。旦那さま?」
「そういえば燐のやつ。うちに女の子を連れてきやがったぜ?」
俺たちの軽口の応酬に笑っていたエギルがニヤニヤしながら言った
「ほう……おまえも隅に置けないな」
キリトもニヤニヤしながら追い討ちをかける
「詩乃とはそういう関係じゃ……」
「そうか、詩乃っていうのか。名前で呼びあってるし……どうなんでしょうね、キリトさん」
「いやー、恋人ないしは、かなり親密な関係にあると見ていいと思いますよ」
「……」
燐は顔を真っ赤にしている。これでは、好きだと語っているも同然である
「……とりあえず、アスナを助けだしてから紹介する」
「わかった。楽しみにしてるぜ」
「ああ。いつかここでオフをやろう。その時にでも、な」
三人で拳を合わせ、俺たちは外に出た
「さて、今から行くか?」
「いや、明日にしよう。実は明日から親が一週間ぐらいいないんだ」
「禁止されてんのか……そういえば、束縛されてたって言ってたな。大丈夫なのか?」
「ああ……まあ、何とかなるさ。明日、お前の家に行くから、一緒に行こうぜ。グローバルIPが一緒になるからいけるはず」
「おし……じゃあ、また明日な」
「ちょっとまで。アスナの現実の体を見舞いに行ってからALOにダイブしたいんだが」
「わかった。じゃあ明日八時に駅前でな」
「了解。また明日な」
「おう」
そう言って俺たちは別れた。これが新たな冒険の始まりだった
後書き
蕾姫「始まりました!ALO編」
リン「わかったから落ち着け」
蕾姫「……はい……」
リン「で、俺の種族は何なんだ?」
蕾姫「アンケートの結果、闇妖精インプが三票、風妖精シルフがニ票、猫妖精ケットシーが一票です。よってインプに決定します!投票してくれた人たち、ありがとうございました!」
リン「闇妖精か……暗闇で飛べるんだっけ?」
蕾姫「そう、絶剣がこの種族だね」
リン「……絶剣?」
蕾姫「それはスルーして。では次回もよろしくお願いします!」
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