魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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後日談11 新学期
「優理、ちゃんとキャロの言うこと聞くんだぞ?」
「大丈夫レイ、私はしっかりしてるから!」
「いや、その自信が怖いんだよ………」
4月、新しい学年に上がってとうとう最上級生になった俺達。
それと同時に新たな環境に赴く者も1人。
優理である。
リンスを小学校に入れると言ったシャイデに乗っかり、ついでに優理も行かせようと思ったのだ。
学年は一応キャロ達と同じ2年生。
シャイデの計らい?でキャロと同じクラスかは分からないが、リンスと同じクラスになるようにはしてくれたらしい。
「優理、ちゃんとキャロの言うことを聞いてくれな?」
「………私はキャロよりも良い子です!」
「優理、そう言うことじゃないよ。優理はキャロより知らない事が多いから分からなかったら聞いた方がいいよって事だよ」
「………それなら理解できます」
そんなライに素直に言う事を聞く優理。普通なら問題無い光景だが、有栖家にとっては事件だ。
なんとライが優理にしっかり説明したのだ。
そんなライに俺だけでなく、他のみんなも驚いた。
「どうしたのみんな?」
「「「「「ライがお姉さんしてる!!」」」」」
「それってどう言う意味!?」
「いいから。それよりアギト、一人で大丈夫か?」
「アタシは問題無いぞ。暇ならメガーヌの所行くし」
そう、俺達が学校で居ない間、最近まで結構な頻度でアルピーノ家に遊びにいくことが多かったアギトと優理。
申し訳ないなと思い、一度ちゃんとお礼しに行ったのだが、ゼストさんが今スカさん家に仕事にいくため、こっちも嬉しいと言ってくれた。
ちなみにゼストさんはスカさんの新たなアジト建設を手伝っている。
なので寂しくないので私的にも嬉しいとの事。
だけど今度何か持たせて行かせよう………
「分かった、くれぐれも迷惑をかけないようにな」
「分かってるよ、安心して行ってこい」
背中を叩かれ、俺達はアギトに送り出された………
そしてその道中、小学校の目の前に着いた俺達。
とうとうキャロと優理ともお別れだ。
「じゃあキャロ、優理をよろしくな。リンスは既にシャイデと一緒に学校についているらしいから合流してくれ」
「分かりました」
「レイ、行ってくる」
「ああ、楽しんでこい優理」
そして精神的にも俺離れしてほしいものだ………
さて、キャロと優理を送り出してから学校へ向かう俺達。
大分早めに家を出たため、随分と早く学校へ着いてしまった。
「殆ど人が居ないな………」
「だからみんなで早く来る必要は無いって言ったんだ………」
「だが、キャロ達は私にとっても可愛い妹なのだ。妹を送り出すのは姉としては当然の事」
と、自信満々に言うフェリア。
しかし姉の威厳が感じられないのは余り成長してない体のせいなのか………
「何を考えた………?」
「何も………」
だから背中に当てているナイフはしまってください………
「しかしレイは大きくなりましたね」
「そうか?」
とは言うものの、身長は180cm近くあるので大きいは大きい。
しかし恐らく止まってるだろうな身長………
「さて、クラス表は………」
そう言った瞬間、4人の空気に緊張が走る。
例えるなら試験の結果発表を見るような感じだ。
3人は俺と別れたくないと思ってくれてると思うので分かるのだが、何故にフェリアまで?
「とりあえず俺は………また1組か………しかもシャイデ………」
運が良いのか悪いのか………
「あっ、僕達の名前あるよ!」
そんな中、ライの大きな声が響き渡る。
「本当です!」
「我の名前もある!」
どうやら星達と今年も一緒みたいだ。
「ふむ、私もAクラスだ。………シャイデ、何か裏工作でもしてないか?」
確かにフェリアの言う通り。こんなに揃うのはどう考えてもおかしい気がする。
真意は不明だが、シャイデは結構この学園でも結構な権力を持っているらしく、シャイデの言うことは絶対と言うほどらしい。
………本当かね?
「他には………はやて、アリサ、フェイト、なのは、すずか、加奈が同じクラスみたいだね。男子でレイの数少ない友達は………」
「ちょっと、ライさん!?その言い方は流石に無いんじゃないんですか!?」
「………桐谷とあの変態君しかいない」
「何、俺の交友関係は桐谷と変態だけ………?」
しかも未だにライにとって神崎は変態扱いなんだな………
「というか前のクラスと殆ど変わっていませんね」
「加奈と桐谷が入っただけで、魔導師は魔導師で集められたと言った感じだな」
星と夜美の言う通り。
これもシャイデ効果なのか………?
「いや~また同じクラスで私嬉しいわ~」
と朝からハイテンションで笑うはやて。
「私も………まあなのは達と同じクラスになれて嬉しいわね」
「そうだね、また一年よろしくね」
「うん、よろしく!」
と魔導師達とアリサ、すずかが盛り上がる中、俺の机の近くに集まる転生者+マテ娘達。
「でも良かったね加奈、桐谷。2人共、今度は同じクラスで」
「ええ、よろしくねみんな」
「1年間よろしくな」
「ええ、よろしくお願いします」
「よろしく頼む」
「よろしく桐谷、加奈」
気軽に返したフェリアだったが、俺達有栖家の面々には心の内では浮かれているのが分かった。
(フェリア、嬉しそうだな………)
(当たり前です、フェリアにとってチャンスなのですから)
(チャンス?)
(レイ、真面目に言ってる!?)
(俺はいつでも真面目なつもりだけど………)
(はぁ………)
(あれ、何で溜め息?夜美さん………?)
「本当に仲がいいな、この4人は………」
こそこそ隠し事を話していた有栖家の4人を見て、神崎が呟いた………
「さて、みんなおはよう。去年も同じ人も今年から一緒の人も最後の1年一緒に頑張っていきましょ!それじゃあ点呼を取るわよ」
さて、結局クラスには元A組は俺達と少数の男子だけだった。圭も良介も隣のクラスだ。
「有栖零治」
「ういっす」
「有栖夜美」
「はい」
ここまで有栖って苗字が固まるのも変だよな………
名前で男女一緒に並ぶのは滅多に無いので俺も違和感を感じる。
「さあ、とうとうあなた達も最高学年になりました。これからは進路など自分の人生で大切な道を決める時期でもあります、みんな気合い入れて頑張りましょう!」
と普段と比べて珍しく先生らしい事を話すシャイデ。
「それじゃあさっさとHR終わらせて、最後の1時間は親交を深めると言う意味も込めてレクでもしましょう!!」
失礼、変わって無かった………
「それじゃあ転生者会議を始めます!!」
放課後、生徒会室に神崎の要請で集まった、俺、桐谷、加奈。
「それは明日で俺、帰っていい?優理が学校でどんな感じだったか凄く気になるんだけど………」
「いや、まあその気持ちは分からないでも無いんだけど………」
「俺もノーヴェと昼飯に五目焼きそばの作り方を教える約束をしていてな、恐らく腹が減って我慢できないウェンディとセインがごねると結局エタナドが作り、後でノーヴェに睨まれるから早く帰りたいんだが………」
「私は眠いわ、明日にしましょ」
「えっ!?」
「じゃあ解散ってことで」
「ああ、じゃあな零治、神崎」
「じゃあね大悟、兄さん」
そう言って俺達はさっさと帰ってしまった………
「俺、泣いていいよね………」
「中々面白いね、学校って………」
「終始エローシュ君ペースでした」
帰って皆で昼飯を食べている有栖家。
どうやら優理も知っている者もいるのが幸いしてか結構馴染めているみたいだ。
「でも授業が簡単すぎて暇。エローシュが面白い事してくれるから飽きないけど………」
「………まあそれは我慢してくれ」
どうしても学力的には授業では退屈な時間が多いだろう。
それでも学校では生活や音楽、図工など、違った勉強もあるので大丈夫だと思う。
「まあ優理が行きたくないって事にならなくて安心だな」
「そうですね………」
「ねえ優理、リンスは大丈夫?」
再びライのお姉ちゃんらしい質問。
一体どうしたのだろうか………?
「ねえ何でそんな驚いた顔するの!?」
「だってなぁ………」
「いつものライを見ているとな………」
顔を見合わせてそんな事を言う夜美とフェリア。
それを聞いてライはすっかり拗ねてしまった。
「いいもん僕はどうせ………」
まあフォローしたい所だけど、俺もそう感じてしまった以上な………
「リンスはやっぱりずっと緊張してましたね………特にエローシュ君のノリについて行けず困ってました」
「あれくらいついて行けなくちゃ生きていけない」
「いえ、いきなり合わせられる優理も問題があると思います」
2年生の会話とは思えない事を話している2人。
「何か最近の小学生って進んでますね………」
「結構夜型になっているって言うし、テレビの影響なんじゃないのか?」
キャロや………ちょっと手遅れな気がするけど優理に悪影響にならなきゃいいけど………
「さて、修学旅行まで2ヶ月となりました」
時が経つのも早く、GW明けの5月中旬。
7月に行く沖縄に向けて色々と決めなくてはならなくなった。
中学生で沖縄。前世では高校でも京都だったため、流石は私立と心から思った。
「3泊4日で最初の1日目と2日目の午前中は戦争跡の防空壕や展示館などを回り、2日目の午後と3日目は海で、4日目は那覇の町で自由行動って感じね」
まあ当然ただの旅行では無く、1日目と2日目は授業の一環となっているが、3日目からはのんびり出来そうだ。
「「「沖縄………」」」
何を考えているのか分からないが、うっとりと上の空の有栖家3人娘。
………まあ俺も楽しみではあるが、流石に授業中で気の抜けた顔をする星や夜美には驚いた。
「そこで、事前に沖縄について知っておこうと言うことでビデオ上映を見ます。みんな、視聴覚室へ行きますよ」
ビデオ上映か………
まあ普通の授業よりは楽か………
「どんな内容でしょう?」
「ふむ、事前に美味しい場所とかをピックアップできれば良いな………」
「サーダアンダギー食べたい!」
そうか、沖縄の歴史は授業でやったけど、戦争の映像とか見たこと無かったな3人は………
俺の予想通り、ビデオの内容は戦争の裏側、要するに沖縄の人達の話のビデオだった。
防空壕での出来事、手榴弾での心中や、生き残った人の話。
そんな話を聞いていた3人の顔もみるみる内に暗い顔に。
「「「………」」」
そして3人のテンションはすっかり下がってしまった。
「何か恥ずかしいです………」
「我もだ………」
「僕も………」
「まあ気持ちは分かるけど、そんなに落ち込む必要は無いぞ。今の沖縄は米軍の基地はあるけど、綺麗な海や様々な観光地で満ち溢れてるし、そういう期待をするのは当然だ」
「でも………」
「まあ昔はそう言う事実があったってことを忘れなきゃ良いんだ。そしてそれを二度と繰り返さないようにすればな………」
「はい………」
「そうだな………」
「うん………」
魔導師とは違う、地球での戦争。
今回の事でその歴史を深く知ることの出来た3人は更に心身とも成長したのだった………
そして………
「じゃあ済みません、キャロ達の事、お願いします」
「ええ、楽しんでらっしゃい」
キャロ、優理、アギト、そしてリンスをアルピーノ家に任せ、俺達5人は軽い荷物を持って、マンションを出た。
あれから2ヶ月経って、とうとう修学旅行。既に荷物はホテルに送ってあるので問題無し。
「忘れ物は無いよな………?」
「ええ、大丈夫です」
「楽しみだな~」
「ああ、そうだな」
早朝5時とかなり早いのだが、テンションが高いライ。
しかし夜美もライ程では無いが、テンションが高い。
初めて行く沖縄がとても楽しみな様だ。
「それじゃあ行くか!」
こうして俺達の修学旅行が始まる………
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