インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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過去話~序
――――祐人side
ISを展開した楯無に、イスを持っている俺。そして突き刺さった出席簿にドアの前にいるブラコンブリュンヒルデに姉さん。
「ちょっと待て。どうせディアンルグの説明とか《メテオ》のことを言いたいんだろうが、今はスパイの消去が先だ」
いよいよ本格的に人間を止めようとしたとき、
『待ちなさい、祐人。この女は祐人に襲って欲しくて裸エプロン姿でいたのよ。その前はあの雑魚と寝ていたんだから変態の何者でもないわ。だから今すぐどこかの国に売りなさい』
「引くわー」
「ちょっと待って二人共! これには深い理由が―――って、織斑先生も虚ちゃんもそんなゴミを見るような目で私を見ないで!!」
知らなかった。まさか男の部屋に入って裸エプロンになるほどの理由―――
「やっぱりお前がエロい以外ないだろ」
「こ、これには深い事情が………」
「姉がこんなだと、妹も苦労するよな………」
もはや簪がかわいそうだ。こんな痴女な姉と比べられるなんて………。
「おまえら、プライベートに口を出すつもりはないが問題は起こすなよ」
「……………」
それはいい案だと思ってしまった俺がいた。問題を起こせば普通に学校から出られるし、はっきり言ってこの境遇にはいい加減にウンザリしていたし。
そう思っていると、織斑千冬は俺を見ていた。
「……風宮、いい加減に話したらどうだ?」
「そうね。お姉さんもあなたの過去は知りたいわ」
ちなみに姉さんは俺とシヴァで楯無を虐めているときに「あ、仕事」と言ってどこかに行った。
それにしても、やはりそのことを聞いてくるか………。
確かに、アイングラドが亡国企業に現れたとなれば話が変わってくる。………が、俺は確実に織斑千冬を信じられなかった。
―――それは、やはり篠ノ之束と繋がっていたのが原因だからだろう。
確かにこの女性は信じられると思うと同時に、本当に信じていいのかわからなかった。それと同時に、俺は大人が信じられなかった。
それは自分の手柄のためにどんなことをしようとする悪意。それと同時に人を人と思わない扱い。それを見てきて、可能な限り俺は救った。だけど、やはり助けられない人間も多い。
「………別に話してもいい。だが、これは機密事項扱いにしてもらう。もちろん、他の人間には一切の他言は無用。もし外部に漏れた場合、最悪の場合は世界が変わると思ってくれ」
「「……わかった」」
二人は同時に頷き、俺は信頼した上で話を始めた。もちろん、防諜フィールドは展開する。
■■■
――――約五年前
「……ここは……?」
目が覚めた。だが、俺はここだかわからなかった。どうやら、更識家所有の土地でもないみたいだ。
(………生かされた? おい、セバス!)
心の中でAIの名前を呼ぶが、そいつは返事しなかった。
それは普段ではありえないことで、いつもは返事する。見ると、いつも付けているネックレスなどが外されていた。
「気がついたか、No.22」
いきなり数字で呼ばれた。どうやらここでは数字で呼ぶらしい。
それで少しばかり直感した。ここは普通の施設ではないってことは、な。
「俺を身代金目当てで誘拐しても意味はないぞ」
「生憎だが、金なら沢山あるのでな」
じゃあ、こいつらは何が目的で俺たちを襲ったんだ?
「ところで、君はこの世界のことをどう思う?」
目の前の男はいきなり変な話を始めた。訳が分からないが下手に言って殺されたくないので余計な事を言わない。
それにしても、この世界のことか………。
今、世界は『白騎士事件』―――ISがその時に現存した兵器をすべて無効化させた事件により一変し、急遽IS委員会を設立。そこでアラスカ条約を締結させ、事実上ISを技術を保有していた日本にIS技術を開示させた。ISを動かすためのISコアを各国に割り振ると同時にISを採用した国は『女性優遇制度』などを設け、男の地位が下がったが政府の関係は特に変わらず、政治家に女が増えたことぐらいだろうか。
だが、一般ではそうではない。リストラされたり自殺者などが後を絶たなくなったりと激変し、今ではISに乗らない女性や児童までもが男を虐めたりしている。が、何か文句を言ったり暴力を振るったりすると即逮捕、有罪となる始末。それ故に更識家も(跡取りが女だけしかいないいうこともあるが)長女の薫(楯無の幼名)様になることが決定している。まぁ、悪戯好きな面を除けば当主としては充分だろう。ただし、ワガママを言わなくなればの話だが。
―――閑話休題
しかしその反面、女が襲われることは多々あった。
それも気弱そうな女を狙っていたので何故か俺に対する訓練が一般の大人から当主に変わっていた。
(……あれ? 俺がいなくなるとヤバいんじゃないか?)
簪様は本音ごと転校は必須だと思った。だってかなりの親バカだからなぁ……現当主。
―――再び、閑話休題
何はともあれ、俺が言えることはただ一つだった。
「さあな。子どもが言っても説得力なんてないだろ」
「……いや、君だからあるんだよ。隠れた天才、布仏祐人」
俺はそんなことを言われるほどの人間じゃない―――けど、確かに自分で言うのはどうかと思うが俺は自分の頭がいいと思っている。
「やはり、君にも少し難しすぎたかな?」
「……いや、そうでもない。ただ、本音を言えばどうでもいいんだ」
「どうしてだ?」
「ISがないのに威張っている女を相手にしても時間の無駄だろ。それに一時期は女が襲われたりしたというニュースが流れたが、それは俺にとっては自業自得と可哀想の二択しかなかった」
「………どうして可哀想という選択肢があるんだ?」
少し怒気を孕んでその男は尋ねてくる。
「襲われている女にはあるパターンがあった。威張っているか気弱な性格のどちらかだ。もちろん前者には大人が多く、後者には子どもが多い。そして俺が可哀想だと思うのは後者。前者なんて同情の余地なんてないし、はっきり言って痛い目を見たほうがいい。だから俺は―――アンタの意向には背くかもしれないが、一方的に女を嫌うことはできない」
それが俺の答えだ。
「………意外だな。君も女に従う身。しかもあんなメスガキ―――」
―――バンッ!
「何か言った?」
男の隣に近くにあった物を投げつける。
「いや、待て。俺が言いたいのは、女に従っていて窮屈ではないのかと聞きたいんだ!」
………まぁ、確かにそうだけど、
「どっちかというと、妹が足を引っ張っていたから主本人に対しての意見はあまりないか。あるとしたら「ちょっとは強く発言してくれ」と言いたいぐらいだ」
身体能力は姉と比べると見劣りするがそれでも一般の子どもと比べると高い方だ。だから、もう少し前向きに生きて欲しい。
「それと勝手に人の部屋に入らないでほしいとか、親に怒られて悲しいからって俺の部屋に来ないで欲しいとか、可愛いんだからちょっとは自分の容姿にも自覚を持って欲しいとか……」
「…………声、漏れてるぞ」
俺は注意されて気がつく。恥ずかしいな、これは。
「………まぁ、君の意見はわかった。だからこれを見て感想を言ってくれ。そしてこれはここに住む時の注意事項だ」
そう言って封筒を渡された。意外に重い。
さらに渡されるディスクなどで、足元は一杯になった。
(あれ? 今気付いたけど、ここって豪華な部屋だな……)
そこには何故かパソコンやテレビがあったりと、捕虜なのに優遇されていた。
「あ、後これを………」
そう言ってセバスがいるネックレスを返してもらった。
「…………何で?」
普通は牢屋とか入れるものだが、すごく優遇されている。
(………俺のことも知っていたし、まさか利用する気か?)
まぁ、とにかく渡されたディスクを見ることにした。
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