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遊戯王GX 輪廻に囚われし赤

作者:ユキアン
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創星神sophia


どうやったらオレはこの輪廻から逃れられるんだ。
何度も繰り返される5年間、その度にオレの記憶とDホイールとカード以外の全てが失われる。
友も愛する人も認めあったライバルも全てがやり直される。
この輪廻から抜け出す為に色々な事をした。
許されざる悪にも手を貸した。伝説の力を持つカードを使用してみた。精霊に協力を求めた。過去に飛んだ事もある。そして自らの命をも絶った。
だが、それでもオレはこの輪廻に囚われたままだ。
それでも諦めずに試行錯誤を繰り返していた時にそのカードを手に入れた。

「創星神sophia?」

そのカードからは激しい悲しみが伝わってくる。何かに嘆き、苦しんでいる。まるで自分のように感じられるそれをディスクにセットする。何も反応しない。ディスクは正常に起動しているし、カードの情報も確実に読み取っている。それなのに反応しないというのは異常だ。となると

「宿っている精霊が死滅しかけているのか」

これまでの人生にもそういったカードを見かけた事がある。この場合、原因を取り除かない限り本当に死滅してしまい人生をやり直しても死滅したままだ。ここで出会ったのも何かの縁だな。今回の人生はこいつの為に使おう。
お気に入りの赤い帽子と赤いジャケットの予備をカバンにディスクとカードが詰まったトランクをDホイールに積み込み、走り出す。シティから離れて何も無い荒野まで行った所で、とある装置を起動させる。それはゾーンと共に開発した時空跳躍装置。ゾーン達が過去を書き換える為に使用している物を更に発展させた物だ。これの力によってオレは過去以外にも未来や精霊界、平行世界にも侵入する事が出来る。

「さあ、創星神sophiaよ。オレを導いてくれ」

Dホイールに装着されたディスクに創星神sophiaをセットすると同時にエンジンを全開にする。そして速度が一定に達した時、オレはこの世界から消え去った。








創星神sophiaに導かれた世界、それは過去の人間界だった。時間軸で言うなら、ちょうど決闘王である遊城十代がデュエルアカデミアに入学する一年前であり、どうして創星神sophiaがここにオレを導いたのかが分かった。今ネットカフェで見ているニュースで大規模な交通事故による死者の中に遊城十代の名前が挙がっている。つまり、この世界では遊城十代がデュエルアカデミアで解決するはずだった事件が解決されずに創星神sophiaが滅びる可能性が発生するのだろう。ならばオレがやる事は遊城十代の代わりだ。オレが遊城十代となり事件を解決すれば良い。幸い時間はギリギリだが存在する。入学して卒業した数ヶ月後まではな。さっそく動かなければ。
オレは拠点にしているカプセルホテルに戻り、2枚のカードを封筒に入れてI2社のペガサス会長に送る。



数日後、オレのアドレスに会長から是非会いたいというメールが届く。
オレがペガサス会長に送ったのはスターダスト・ドラゴンとNO.39希望皇ホープ、遊星と遊馬のエースカードだ。この時代の主流は融合であり、シンクロやエクシーズは存在しない。これではオレのデッキの8割が機能しなくなる。それでは困るのでペガサス会長にシンクロとエクシーズを普及してもらう必要がある。最初はライディングデュエルの事も話そうとしたのだが、今の時代ではモーメンドが存在していないので再現は難しいので諦めた。ペガサス会長は中々に話の分かる方で、シンクロ・エクシーズに興味をすぐに持ってくれた。だが、いきなりでは両方を普及させる事は難しくまずはシンクロのみを量産することになった。一応エクシーズも使用出来るようにはして貰い、オレの身分も用意してもらった。I2社に所属するシンクロ・エクシーズの開発者兼テスターだ。シンクロに関する発表はデュエルアカデミアの入学式で行なわれる予定だ。それまでは一応融合を主体としたHEROデッキを使用する事にする。更にこの時代では開発されていないカードをどんどん発売する事にもなった。シンクロやエクシーズを扱えるデュエリストを増やす為にはそれが一番だとオレは考える。














そんなこんなで色々と時間は過ぎ去り、あっという間に一年が過ぎる。今ではかなりのカードが世に産み出され、融合が主体の風潮も徐々に少なくなっている。
そしてオレはデュエルアカデミアに入学する為に試験を受けに来ている。ペガサス会長からは推薦しても良いと言われたが、これ位は余裕で突破出来なければこの先の事件を解決する事は出来ないと思い辞退した。デュエルアカデミアの試験はまずは筆記試験があり、それに合格した者だけが実技試験を受ける事が出来る。筆記試験は有名なカードのステータスや簡単なチェーンの説明、詰めデュエルなどだ。卑怯な問題として通常モンスターのフレーバーテキストを書けなど、普通は知らない様なことが問題として存在した。これは海馬社長に講義した方が良いのか?とりあえず筆記試験に合格し、実技試験を受ける事に。
会場には多くの受験生の他にアカデミア生も何人か居るようだ。オレの受験番号が呼ばれたのでフィールドに上がる。相手はグラサンをかけたアカデミアの講師だ。

「君が受験番号3番の東雲遊矢君だね。それでは試験を開始する。先攻と後攻、どちらを取るかね?ちなみにどちらを選んでも成績には関与しない。成績は勝敗に関わらず内容で決定される」

「後攻でお願いします」

「分かった。では」

「「決闘!!」」

「私のターン、ドロー。ブラッド・ヴォルスを召還して凡骨の意地を発動、カードを一枚伏せてターンエンド」

講師 LP4000 手札三昧

ブラッド・ヴォルスATK1900
凡骨の意地
伏せ一枚

「オレのターン、ドロー」

手札を確認して溜息をつく。

「どうしたかね。手札事故でも起こしたか?」

「いえ、オレの勝ちが決まっただけですよ」

「何!?」

オレの勝利宣言に会場がどよめく。

「まずはサイクロンを発動。伏せカードを破壊させてもらいます」

破壊されたのは奈落の落とし穴。一応破壊しておいて良かったな。

「そしてE・HEROエアーマンを召還、効果によりデッキからE・HEROフォレストマンを手札に加える」

デュエルディスクからフォレストマンが自動でサーチされ、それを手札に加える。

「続いて魔法カード、融合を発動。手札のフォレストマンとオーシャンを融合。現れろ、E・HEROジ・アース」

エアーマンの隣に地面を割ってジ・アースが現れる。

「更に手札より魔法カード、フュージョン・バースを発動。デッキトップを五枚墓地に送り、その中で融合を行なえるのなら融合を行なっても良い。墓地に送られたのはE・HEROフラッシュ、スパークマン、バブルマン、融合、トラップスタン。オレはフラッシュとバブルマンを融合、現れろ極寒のHERO、アブソルートZERO。さらに墓地に送られたフラッシュの効果発動。このカードが墓地に送られた時、墓地より魔法カード一枚を手札に戻す。フュージョン・バースを手札に戻して再び発動。墓地に送られるのはE・HEROアイスエッジ、オーシャン、プリズマー、沼地の魔神王、死者蘇生。プリズマーとオーシャンを融合、現れろE・HERO Theシャイニング」

氷と光の中から新たに二体のHEROが姿を現す。

「E・HEROジ・アースの効果発動。自分フィールド上の自分以外のE・HEROを選択して生け贄にする事でその攻撃力を吸収する。オレは全てのE・HEROを吸収させる」

E・HEROを吸収したジ・アースはその身体をマグマの様に赤く染め、両手に光の剣を構える。

E・HEROジ・アース
ATK2500→4300→6800→8300

「攻撃力、8300!?ば、バカな」

「最後に墓地に送られたE・HEROアブソルートZEROの効果発動。このカードがフィールドを離れた時、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する」

「なっ、フィールドを離れただけでサンダー・ボルトと一緒の効果だと!?」

講師のフィールドを氷が覆い尽くし、割れた後には凡骨の意地だけが残される。

「残念だがその通りだ。そして止めだ、E・HEROジ・アースでダイレクトアタック」

ジ・アースが講師に向かって剣をクロスに振るう。

「ぐわああああああああ!!」

講師LP4000→0

会場が静かになる。しばらくすると小さな声で何やら隣の奴と確認しあっているようだ。

「ありがとうございました」

使ったカードをデッキに戻して頭を下げてフィールドから離れる。そのまま観客席で他の受験生のデュエルを見ていたが、かなり質は低いようだ。ファンデッキを使っているのはマシな方でただ四十枚のカードを集めただけというデッキも見える。さらには発動された落とし穴やミラーフォースにサイクロンを発動したり、最上級を出してドヤ顔をするのも居る。それでも中には強い奴も何人か見受けられる。
『六武衆』『デミスドーザー』『推理ゲート』『カオスライロ』『キュアバーン』『除外帝』『装備ビート』『終焉のカウントダウン』『除去ガジェ』などを使用する女生徒だ。男と違って単純じゃないからか価値観が違うからなのか、人数が少ないにも関わらずほとんどの女生徒がかなり強力だった。中には先月発売されたばかりのパックに収録された『マドルチェ』を使う女生徒も居る。もちろん男子にも強い奴は居るし、変わった奴も居る。リクルーター型の『カオス・ネクロマンサー』『スキドレ』『冥界ターボ』『暗黒界』などだ。変わった所を見ると女性型モンスターだけの『ピケクラバーン』コイントスやサイコロを多用する『ギャンブル』未来でも珍しい『ローレベル』主体として使うには面倒な上におそらくハイランダーの『デュアル』
実に多彩だったが『サイバー』関連のカードや『アンティーク』を見かけなかった。この時代には普通に存在するはずのカードを一枚も見かけないとはどういうことだ?まあ少しだけ気にかけておこう。
 
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