SAO<風を操る剣士>
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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第五章 オレンジギルド
第36話 《プネウマの花》
前書き
……今回も少し短いです。
※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。
腕を組みながらフィールドに出て、歩くこと数分。
歩いてる間にも俺の右腕は、シリカの感触を感じ続けている。
コレはいつまで続くんだろう……? そろそろ俺の心臓が爆発しそうなくらい煩くて、いつ止まっても可笑しくないんだけど……。
もうフィールドなので離れて貰いたいのと、シリカが俺と同じように感じているかが気になり、SAOでは他のプレイヤーの心臓の鼓動を感じる事は出来ないので、顔を見て確認すると。
………シリカの顔は、真っ赤だった。さっきみたいに嬉しさも含まれているけど、明らかに恥かしいという気持ちの方が勝っている顔だ。
と、俺がシリカの顔を見ていると、シリカは自分の事を見られているのに気付いた。
「な、何ですか……?」
「……シリカ、テンション任せで抱きついてきた事、ちょっと後悔してるだろ」
「…………分かっちゃいました?」
「顔見れば、流石に分かるぞ。その赤さだと……」
「そ、そんなに赤いですか!? ううっ……」
俺が指摘したら、シリカはやっと俺の腕から離れ、自分の顔の頬に両手をあてて、恥かしそうに俺に見えないように顔をそらす。
「……やっぱり恥かしかったんだな……」
「あ、当たり前ですよ! そ、そりゃあ、街を出る時くらいまではおかしなテンションだったんで、嬉しさの方が勝ってたんですけど……。フィールドに出て歩いているうちに、だんだん普段のテンションに戻ってきて、恥かしく……。ううっ……あたしなんで、あの状態で他の人が見てる中を歩けたんだろう……?」
シリカは俺に言葉に強く言い返してきても、だんだん声の音量が下がっていき、最後にはさっきまでの可笑しなテンションの自分を疑い始めた。
……少しフォローしないと、今のシリカは危険なんじゃないか?
俺は後ろから付いてきているプレイヤーたちに聞こえないように、小声でシリカに言う。
「ま、まぁシリカ、誰にだってそういうテンションの時はあるさ。……俺だって、良くあるだろ? それに、俺はああやってされてるの、嬉しかったぞ」
「……そうですね。ありがとうございます、シュウさん」
シリカはそう言って、励ました俺に少し笑いながらお礼を言ってくれた。
……ホントに励ましになったのか?
と、そんな心配をしながらも、俺とシリカはフィールドの奥へと進んで行った。
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「……《リトルネペント》以来だな。あんなに気持ち悪いの……」
「……そうですね。凄く近寄りたくないです……」
「なら、ピナに任せるとするか」
「よろしくね。ピナ」
そう言ってシリカはピナにお願いをして、見た目を一言で言うなら《歩く花》といえるであろうモンスターに向って飛んで行く。
フィールドを南に向って歩きだして数分後。早速俺たちの前にモンスターがエンカウントした。
この四十七層では、シリカの《獣使い》の熟練度を上げるのと、ピナのレベルを上げるのを優先するように、元からシリカと話し合っていた。なので、ピナに敵に向っていくようにシリカも言ったのだが……敵の姿が気持ち悪い為か、ピナに敵を押し付けたようで少し罪悪感を感じてしまう。
シリカの《獣使い》のスキルは、普段は使い魔AIが判断して行なう行動を、熟練度を上がるにつれて自分の意思でお願い――または命令できるようになるスキルだ。
さらに、使い魔であるモンスターのHPが自分のHPの下に現れて、使い魔にもポーションなどを使ったり、アイテムを数個か持たせることが出来るようになり。使い魔のレベルも上げることが出来るようになる。
しかしまだシリカの《獣使い》スキルの熟練度は、そこそこという位なので、ピナには《攻撃》,《狩り》,《サポート》といった三種類のお願いしか出来ないらしい。……もっと上がれば色々な事が出来るらしいが…。
例えば《攻撃》だと、どんな攻撃を放つかを指定できたり。
《狩り》だと……コレは元々シリカがお願いしてピナに少しの間、シリカから離れて自分のAIで勝手にモンスターを倒していき、経験値や知能を付けていく為のものなので、《採取》といった使い魔からアイテムを取りに行ってくれるスキルを身に付けるんじゃないかなぁ(予想)。
《サポート》は、《ヒールブレス》の指定とかが出来るようになるらしい(全てシリカと俺の予想だが……)
そんな訳で、第八層のモンスターであるピナに経験値をつませてレベルを上げさせるのと(剣の強化と同じ要領)、シリカの《獣使い》の熟練度を上げる為にピナを敵に向わせた。
でも流石にそれだけだと、ピナが倒されてしまう可能性もあるので、ダンジョンで余り使えず上げられなかった《投剣》スキルで援護しながら、ついでに熟練度を上げようと思う。
なので、投剣用の装備を何本も買うのが面倒で…さらにお金もかかるので、第二層で手に入る以外にレアな《円月輪》という武器を俺とシリカの二人分、五十層にあるエギルの店で買っていた(実は結構前に買ってストレージに入れていたのを、昨日思い出した)。
この《円月輪》という武器は、《投剣》と《体術》の二つのスキルが無いと装備出来ない。
なぜなら輪の一部が革を巻かれたグリップになっていて、そこを持ってナックルのように素手でも戦えるようになる。……あとは他の投剣の武器と違って、投げても自分の手元にブーメランのように返ってくるので、剣の本数を気にせず使えるのだ。
そうやってピナを援護しながら戦っていき、ピナとシリカの《獣使い》のスキルを《隠蔽》を使いながら尾いてくるプレイヤー達に見えない距離を保ちながら(相手のプレイヤーも《索敵》を使いながら尾いてきてるんだろう…)奥へと進んで行く。
暫く進んで行くと、小川に架かった橋が見えてきて、その向こうに一際小高い丘が見えてきた。
「お! あれが《思い出の丘》か?」
「それっぽいですけど……どうなんでしょう?」
俺は橋の真ん中で、アルゴから貰った地図を見て確認する。
「……うん、やっぱりそうみたいだな。しかも、ココからは一本道らしい。モンスターは増えるらしいけど……」
「なら、気を引き締めて行きましょう! キリトさんも先に行ってるでしょうし」
「そうだな」
道を確認した俺たちは、再び《思い出の丘》に向けて歩き出した。
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「うわぁ……!」
丘の頂上に着くと、シリカがこの層に来た時のように歓声を上げながら、俺の隣を歩く。
そして、花にぐるっと円状に囲まれた真ん中に胸ぐらいの高さの岩があり、そこにキリトは腰を預けて昨日あげたチーズケーキを食べていた。
「遅くなったな、キリト」
俺が声をかけると食べるのを止めて、
「ホントだよ……。メッセージの時間がやたら早いクセに、10分以上遅れてくるなんてどういう事だよ……」
ため息混じりに俺に文句を言ってきた。
「いや、悪い悪い。モンスターが予想以上に出てさ」
「……今度、何か奢ってもらうからな」
「あ! それなら、キリトさんが今食べてるチーズケーキでよろしくお願いします。……昨日、キリトさんからお金貰いそびれましたし」
俺の言葉に、文句のようにメシの奢りを請求してきたのを、シリカがすかさず返す。
するとキリトは驚いた顔でシリカの事を見る。
「まさかシリカからそんな言葉が返ってくるとは……流石、夫婦になっただけはあるな……」
「……それ、褒められてるんですか? シュウさんが奢ると、自動的にあたしも奢るハメになるので、言っただけなんですけど……」
「……まぁその話は後にして、シリカ。その岩の前に立って、使い魔蘇生アイテムが出るか確かめてくれ。もし出たなら、持っておいて損は無いからな」
「そうですね」
俺に返事をしてからシリカは、キリトの傍にある岩の前に移動する。
すると、
「あ! 出ましたよ!」
驚きながら声を上げた。……そして、出てきた花を取りストレージにしまう。
俺は自分でウィンドウを出し確認すると、間違いではなく新しいアイテム欄に《プネウマの花》という名前があった。
……まさか、本当に使い魔が死んでなくても採取できるなんてな。……これぞ『嘘から出たまこと』って奴か?
そうやって俺が驚いている中、シリカはさっきの驚きが嘘のようにそのまま俺の隣に戻ってきて、後ろのキリトと隣にいる俺に向って、
「ほら、早く帰りましょ?」
と言ってきたので……素直に俺達はシリカに従って、今来た道を帰り始めた。
……時々シリカって、頭の切り替えが速いな~って思うことがあるよ。……もしかしたら俺が感じないだけで、いつもかもしれないけど……
後書き
本当はもう少し進みたかったのですが、時間の都合によりココまでに……
なので、明日も更新したいと思います!
感想や間違いの指摘待ってます!
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