剣の世界の銃使い
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少女との出会い
今俺は、35層の北部に広がる広大な森林地域、通称《迷いの森》にいる。
ここは、その名の通り、碁盤上に分割された数百のエリアで構成されており、踏み込んでから一分経つと、東西南北の隣接エリアのへの連結がランダムに入れ替わってしまう仕組みになっていた。更に転移結晶も使えず、森から出るには走り抜けるか、地図を買うかなどの方法しかない。
「まあ、俺の敏捷力なら走り抜ければいいだけなんだけど」
そして何故俺がここにいるかというと、道に迷ったわけでなく、逆にこれを利用しようと考えたからだ。
一分ごとに周りのエリアが変わるため、当然いきなり真横や後ろに敵が現れることがある。それを利用して、反射神経を高めようというわけだ。
ちなみに、俺の武器や装備も先ほどとは変わっている。
武器は銃という分類ではあるが、片手で持てるサイズで、銃身部分が縦に分厚くなっていて、上下には刃がついている。銃口周辺にも切り裂けるように、鋭くなっている。それが二丁。
《銃火器》の派生スキル、銃による近接戦闘スキルである《銃衝術》だ。
何故ユニークスキルなのに、派生まであるのかというのは、話すと長くなるので今度説明しよう。
「っと!」
エリアの連結が変わり、前方にいたモンスターに向かって銃撃。このスキルは一撃の威力では劣るが、連射が可能なため手数、という点ではあちらを上回っている。
装備も、コートのような朱の上衣の戦闘衣に変わっている。これは、モンスターからのドロップで毒、麻痺などの状態異常の緩和、さらには暑さ、寒さも完全に通さないという優れものだ。しかし、守備力は紙のように低いのため、使っているプレイヤーはほとんど、いや攻略組の中では俺だけだろうが。それでも俺がこのコートを使っている理由は、まあ個人的な趣味・・・というかとある理由から着ているのだが。
「うー、暗くなってきたな」
どちらかといえば、現在の装備が俺の一般装備で、あっちの方が狙撃専用だ。
もうここに入って、3時間になろうとしていた。エギルの店に行って、その後一度部屋に戻り仮眠してからここに入ったため、もう辺りは暗くなりかけている。
また一分経ち、周りのエリアが変化する。周囲に索敵スキルをかけたが、モンスターはいなかった。
「そろそろ、帰るかな・・・」
もうスキルの熟練度も、予定していた所までは上がったし、次のエリア変動が終わったら帰ることにするか。
銃をクルクルと回しながら、今後の予定を建てていると、程なくして時間が経ちエリアがまた変化した。
ん、ちょっと遠いな・・・
索敵には引っかかったものの、少し距離が開いている。別に相手をしなくてもこちらには気づかないだろうが、運悪く出口はそちらの方向だった。
二丁銃を構え、敵の方向へ走り出す。距離は開いているものの、俺の速度なら数秒でたどり着く。
すぐにモンスターの姿が目に入り、視線をそいつに合わせると、名前が上に表示される。《ドランクエイプ》、この迷いの森で出現する中で最強クラスの猿人だ。この森の中ではだが。数は3。
警戒心の強いモンスターだと聞いていたが、まだこちらに気づいていない?だとすると何か別のターゲットが・・!
「プレイヤーか!」
その奥に一人のプレイヤーがいるのが見える。この森にソロで来るなんて、安全マージン以上のレベルがないと辛いはずだ。何かの異常で一人になったのか?
とりあえず、見てしまったものはしょうがない。奴らに狙いを定め、すぐに引き金を引く。
放たれた弾丸は、全て猿人たちの頭にのみ込まれていき、触れた瞬間、残りのHPに関わらず、ポリゴンの欠片となって粉砕した。
銃火器スキル《ヘッドショット》。自分のレベルが相手のレベルよりも大幅に高い時、ぶつかった所が頭ならば、残りHPに関わらず確実に相手を死に致しめるというスキル。そのモンスターに頭、というものが存在しないとダメだが。
「おい、無事か?」
ポリゴンの欠片が完全に消え去ってから、残ったプレイヤーに声をかける。
しかし、この時俺は重大なミスを犯してしまった。なぜ、一度武器をしまってから話しかけなかったのか。せっかく彼女、といってもまだ少女ぐらいの顔立ちだが、その彼女の意識は手元に羽らしきものに行っていたというのに。こちらから話しかけたせいでバッチリこちらに向いてしまった。
あ、しまった!などと思っている時にはもう遅かった・・・。
後書き
感想とか待ってます!
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