ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第五十二話 温泉
「そうか、シトリー家と対決とはな」
若手集会からグレモリーの本邸に帰ってきたリアス達を迎えたのはアザゼルだった。そしてシトリー家とレーティングゲームをすることになったことを話すと修行の話を持ち出した。
「修業ですか?」
「当然だ。明日から開始予定。既に各自のトレーニングメニューは考えてある」
「でも良いんですか?僕達だけが堕天使総督のアドバイスを貰って」
闇慈は疑問の声を次々と挙げるがアザゼルは問題ないと言う顔をしながら・・・
「別に。俺はいろいろと悪魔側にデータを渡したつもりだぜ?それに天使側もバックアップ体制をしているって話だ。あとは若手悪魔連中のプライド次第。強くなりたい、種の存続を高めたいって心の底から思っているのなら脇目も振らずだろうよ。うちの副総督も各家にアドバイス与えてるぐらいだ。ハハハ!俺よりシェムハザのアドバイスの方が役立つかもな!」
と答えていた。
「まあいい。明日の朝、庭に集合。そこで各自の修業方法を教える。覚悟しろよ」
『はい!』
アザゼルの言葉に全員が重ねて返事をした。その直後にメイドのグレイフィアが現れ・・・
「皆様、温泉のご用意が出来ました」
と色んな意味の至福の言葉を発した。
~~~~~~~~~~~~
「旅ゆけば~♪」
とアザゼルが鼻歌を口にしながら温泉を楽しんでいた。闇慈達も温泉に満喫のようだ。アザゼルから聞いた話では、冥界屈指の名家グレモリーの私有温泉は名泉とも言えるらしい。
「流石地獄の温泉だね。人間界の温泉と違う。はあ・・・気持ち良いな」
闇慈は温泉にのんびりと浸っていたがある事に気付いた。
「・・・ってあれ?そう言えばギャスパーはまだ来てないの?」
闇慈の言葉に一誠が周りを見回してみると、入り口の辺りでウロウロしているのが目に入ると、仕方ないと言った一誠は一度、湯から上がり・・・
「おいおい。ほら、温泉なんだから入らなきゃダメだろう」
一誠がギャスパーを捕まえる。それにギャスパーは・・・
「キャッ!」
女の子みたいな可愛らしい悲鳴をあげた。しかも、タオルを胸の位置で巻いている。
「あ、あの、こっち見ないでください・・・」
「お、お前な!男なら胸の位置でバスタオル羽織るなよ!普段から女装してるからこっちも戸惑うって!」
「そ、そんな、イッセー先輩は僕の事をそんな目で見ていたのですか?身の危険を感じちゃいますぅぅぅっ!」
このままではヤバいと感じた一誠は、ギャスパーをお姫様抱っこで抱きかかえ、一気に温泉へ放り投げた。
「うわっと!?」
闇慈も流石にこれは驚いたのか声を上げる。
「いやぁぁぁん!あっついよぉぉぉ!溶けちゃうよぉぉぉ!イッセー先輩のエッチィィィ!」
ギャスパーの絶叫が木霊し、隣の女湯からクスクスと笑い声が聞こえてくる。
「ところでイッセー、アンジ」
再び温泉に浸かりに来たイッセーと闇慈の元にアザゼルがいやらしい顔で近づいてきた。
「お前らは女の胸を揉んだ事はあるのか?」
「ぶっ!?」
闇慈は意外な質問に顔を水面に打ち込んでしまった。
「なあなあ・・・どうなんだ?」
「は、はい!この右手で部長のおっぱいをもみっと!」
「・・・」
一誠は堂々と答えていたが、闇慈は顔を赤くして答えなかった。
「アンジはどうなんだ?」
「ぼ、僕がそんなことするわけないでしょう!?全く・・・」
「何だよ・・・イッセーはあるってのにお前はないのかよ?」
「当たり前じゃないですか!?」
「でもやってみたいって気持ちはあるんだろう?ん?ん?」
「そ、それは・・・」
「まさかお前・・・好きな女でもいるのか?」
「っ!!?」
図星だったのか、闇慈らしくない反応をすると、アザゼルがハッハ~ンと頷き、闇慈に近寄った。
「お前って恋愛に関しては本当に分かりやすいな。それで?誰なんだよ?」
「あれ?アザゼル先生は知らなかったんすか?闇慈の好きな子は、こねごばっ!!」
一誠が言い切る前に闇慈は魔力をためた拳骨を下ろし、湯船に沈めた。
そして大きなタンコブを作った一誠は湯船に死体の如く浮いていた。それを見ていたアザゼルは一誠を起こし・・・
「イッセー!!男なら、混浴だぜ!?」
と言い聞かせると腕を掴み、女湯の方へぶん投げた。そして柵を越えると・・・ゴツンと痛そうな音が女湯の方から聞こえた。そして様々な反応の女子達の声が聞こえてくるが・・・
「はあ・・・はあ・・・」
闇慈は気持ちを落ち着かせるのに精一杯だった。
「こねご?・・・まさかお前『塔城小猫』が好きなのか?」
ここまできたらもう隠しきれないと思い、アザゼルにさらけ出した。
「そうですよ。僕は小猫ちゃんが・・・好きです」
「あいつか・・・まあ良いんじゃねえか?でもあいつは少し他の悪魔たちと違うぜ?」
「どう言う事ですか?」
「お前知らなかったのか?あいつは『猫又』の転生悪魔だぜ?」
「猫又って・・・確か妖怪の名前でしたよね?・・・って小猫ちゃんが妖怪!?」
闇慈はさっきの恥かしさなど何処に行ったのかと言わんばかりに真剣な顔になり、アザゼルに尋ねた。
「俺も詳しいことは分からねえ。しかしこれだけは覚えておいた方が良いぜ?」
「それは何ですか?」
「・・・セッ○スする時は必ず避妊しろ」
「なっ・・・!?」
アザゼルの言葉に闇慈はズルっとなりそうになった。
「アザゼル先生!!もっと真剣な・・・」
「俺は真剣だぜ・・・」
「っ!?」
さっきとは違う真剣なアザゼルの眼に闇慈は一瞬怯え、すぐに尋ね返した。
「どう言う・・・ことですか?」
「猫又はな、身体が成熟していないまま妊娠してしまうと、死ぬことがあるんだ」
「そんなことが・・・」
闇慈が顔を鎮めているとアザゼルはのぼせたのか湯船から立ち上がった。
「お前が小猫をいずれ抱く事になるかもしれねえが、これだけは覚えておけよ?じゃねえとお前・・・後悔するぜ?」
アザゼルはそのまま脱衣室に戻って行った。闇慈はしばらくそのまま何かを考えているようだった。
「アンジ先輩・・・」
ギャスパーは闇慈が心配になったのか声をかけた。
「ギャスパー。さっきの話・・・聞いてたの?」
「はいぃ。恥かしくて顔に桶をかぶっていましたけど聞こえましたぁ」
「(桶・・・かぶってたんだ)ギャスパーは小猫ちゃんが猫又って知ってた?」
「初耳でした。僕はずっと引き篭もってましたからぁ。ごめんなさいぃぃぃ」
「謝らなくていいよ。さてと・・・僕もそろそろ上がるね」
闇慈もその場から逃げるように脱衣室に戻って行った。
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