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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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温泉の楽しみ方

<マイラ>

ここはマイラ…
アレフガルドの北部に位置する、温泉で有名な観光地。
小高い木々に囲まれた森の中に、湯煙を上げて存在する村。

そんなマイラにアルル達が辿り着いたのはつい先程の事。
最も近い陸地から、歩いて2時間かけて辿り着き、リュカが最初に言った言葉が、
「温泉だ!色々やる事はあるだろうけど、今は温泉でリフレッシュしよう!」
だった…

本来なら真面目っ子カップルが、『父さん…温泉は逃げませんから、先にここに来た目的を済ませましょう』とか言うのだが、荒くれた海での船旅と、深い森の木々に阻まれ一行の疲労はピークにまで達しており、誰も反対意見を言う者は居らず速攻で宿を取り、温泉に直行したのだ。


「いや~…温泉があるとは聞いてましたが、やっぱり気持ちいいですね!」
温泉に入るなり、一方向を見続ける父親が心配になり、意識を自分に向けさせる為に、努めて明るく話しかけるティミー。
「あの…リュカさん?…そっちに何かあるんですか?」
しかし義兄の思惑を打ち砕く様に、ウルフが期待を込めてリュカに話しかける。
「あの向こうに…」
リュカはボソッと呟き、また黙って同じ方向を見続ける。

「残念でしたねリュカ殿…この温泉は混浴じゃありませんでした!あの向こうには、女湯が存在いたしますよ。だがここは男湯…残念ですねぇ~!」
リュカの考えている事が手に取る様に分かっているつもりの一同…
そしてラングストンが面白がる様に、リュカの呟きを引き継ぐ。

「ラング………お前は何も分かってない!」
「は?」
にやけていたラングストンの顔に、困惑の色が広がる。
「僕は混浴は好きじゃない…大抵、入ってくるのはババアだし…若い女性が入ってきても、重要箇所を必死に隠して入ってくるから、面白味に欠ける!」
「はぁ…?」
リュカの予想と反する答えに、一同困惑している。

「だが…男女別の温泉は違う!若い女性が、安心しきって入ってくるから、重要な部分を隠そうとはしていない!ナチュラルな状態の美女達の肢体を観賞出来るんだ!」
「出来ませんよ!ダメですよ!!…父さんがどんなに女湯の方を凝視しても、境の壁に阻まれて女湯は見えないんです…見てはいけないんです!」
勿論リュカの言葉に異を唱えるのは真面目っ子ティミー。

「ところがドッコイ…男湯内にある風呂桶をかき集めて、5段くらい積み上げればあの壁から向こう側を覗く事が出来る!」
「リュカさんは、温泉に入るなりあっちの方を見続けていたのは、覗く方法を考えてたからなんですね!?流石ですねぇ…尊敬しちゃうなぁ~」
師匠の提案に即答で従い…そして尊敬するウルフ。

「ダ、ダメだよウルフ君!………それに父さん。あちらには母さんも入ってるんですよ!妻の裸だったら、言えば見せてくれるでしょう…何も覗きを行わなくても…」
「はぁ~…ティミーさんは分かってないなぁ………ねぇ、リュカさん!」
「あぁ…お前は何も分かってない!」
師匠(リュカ)弟子(ウルフ)が、落胆しながら首を振る。
カンダタとラングストンは、それを見ながらニヤついて頷く。

「な、何ですか…みんなして、何なんですか!?」
「想像してみろ…自分の彼女に『裸見せて』ってお願いすれば、そりゃ見せてくれるさ!でもソレは、見られる前提での裸であって、許可を得ずに覗いた時とは反応が違う!」
「は、反応が違う!?…父さんは何を言ってるんですか?まったく意味が分からない…」
「つまり見せる側にも、見せようとする意志があるって事ですよティミーさん!意志があるって事は、見せる側にも見せたいポーズがあり、ソレは必ずしも見る側が最高に楽しめるポーズとは限らないという事です!」
鈍感で真面目っ子な義兄に力強く説明するウルフ。
しかしティミーは怪訝そうな顔で理解できていない様子…

彼女(アルル)で想像するんだ。…彼女は見られているとは思っていないから、女湯では自然に振る舞っている。手やタオルを使って、お湯を体中に馴染ませたり、汚れを落とす様に擦ったり…」
リュカの言葉を聞き、額によせていたシワが無くなり、熱気で赤らんだ顔を更に赤くするティミー………腰に巻いたタオルが、少しだけ窮屈そうになった。
「○○○や○○○を手やタオルで擦り洗っている姿は、お願いしたんじゃ見せてくれないゾ!『どうせ○○○したいんでしょ!』とか言って、直ぐ本番になっちゃうゾ!」
「ティミーさん…そんなアルルの姿を見たくは無いですか?」
トドメを刺す様に師弟攻撃は続く…
「……………」
ティミーは何も答えられない。つまりは………

「アルルの全てを知りたかったら、ダメと言われている事だって、やってみないと!…ねぇ、ティミーさん!?」
ウルフは囁く様に義兄を惑わす。
その義兄も、無言で頷いてしまう。
「よし決まりだ!…ラング・カンダタ、風呂桶をあっちの壁際に集めろ!ティミーとウルフは、僕と一緒に風呂桶を重ねるぞ。慎重に…そして静かにな!」


リュカの合図により、男性陣は即座に行動する。
元々全員優秀な連中なのだ。
一致団結すれば、些細なミスも犯すことなく物事を推し薦める事が出来る…
ある意味絶対的な指導者リュカの指示の下、無音で風呂桶タワーを完成させる男達!
完成するや背丈の違いの為、高さを変えてあるタワーに仲良く登り、女湯との境にある壁の縁に手をかけ、頭を壁より高い位置に出し、視界を確保する一同。

「す、素晴らしい…まさに絶景ですね!」
最初に感想を言ったのはラングストン。
「やっぱビアンカさんはキレイだなぁ…まぁ、お陰で俺の彼女(マリー)の将来は約束された様なもんだけどね!」
「そうだな…最近、胸が膨らんできたし…彼氏としては楽しみだろ!?」
「えぇ…あと数年で、リュカさんの奥さんみたいになりますからね。返せって言われても返しませんよ!」
「あはははは…幸せにしてくれれば返さなくて結構です。…それよりアルルも胸が大きくなってきたんじゃね?どうなのよ彼氏君!」
「えっ!?……えぇ、そう言えばアリアハンに帰った時に、ブラジャーを買い換えてましたね…」
「良かったじゃないか!まだまだ成長著しくって………それよりカンダタ!お前の彼女はどうなんだ?もう成長はないだろう…横幅が成長する事があっても」
「うるせーな…いいんだよモニカは!俺はアレが好きなの!」
「あはははは、カンダタさん!ハツキにお願いして、胸の肉を分けてもらったらどうですか?アイツのアレは無駄ですからね!」
「おいおい酷い言い様だな!一応僕の愛人だぞ」
「そうだよ…幼馴染みなんだろ。少しはあの胸に憧れた事くらいあるんだろ?」
「ティミーさん何を言ってるんですか!?俺にとってハツキは姉みたいな存在ですよ!しかも口うるさい………ポピーさんも美女ですが、性的な意味で憧れた事があるんですか?」
「………うん、ごめん。凄く理解しやすい説明だ!」
…等々、男達は目の前に広がる桃源郷について、楽しく語らい時間の経過をも忘れていた。

しかし楽しい時間は儚い物で、鈍い音と共に消え去るのだ。
屈強な男5人が、食い入る様に壁にもたれ体重をかけていれば、安普請な壁などあまり意味を成さず、音を立てて崩壊する!
(メキメキメキ……ドスン!!)


アメリア・ラーミアと共に温泉には入らず、客室で待機をしていたモンスターのミニモンは、この事態を聞きこう言ったそうだ…
「バカじゃねーの?」



 
 

 
後書き
サブタイトルがストレートすぎたかな?
正式には、『リュカ流温泉の楽しみ方入門』です。(笑)

因みに私は温泉がキライです。
特に硫黄の臭いが強い温泉は! 
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