久遠の神話
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第五話 剣士の戦い十
「その彼等を戦えば」
「強くなっていくんですね」
「それこそです」
ここでだ。聡美はだ。
また言った。その言ったこととは。
「神に匹敵する力もです」
「身に着けられるんですね」
「魔物を倒し力を蓄えていけば」
そこまでだ。強くなるというのだ。
「強くなるのは無限ですから」
「無限って」
「そこまで強くなれるんですか!?」
「あっ、あくまで例えです」
無限に強くなる。それはだというのだ。
「人から見れば神の力は絶大ですよね」
「だから神様ですよね」
「人とかけ離れたまでの強さを持っているから」
二人は神をこう考えていた。ただしその性格は人間と変わらないと思っている。力がそこまで強いからだ。神は神だというのだ。
「そうですよね」
「それでなんですよね」
「そうですね」
そしてだった。聡美もだった。
二人の言葉を受け入れてだ。それでなのだった。
「そうなりますね」
「剣士は神に匹敵するまでなんですか」
「強くなれるんですね」
「そうなります。若しもです」
「そこまで強くなったら」
どうなるか。上城は自分から言った。
「あれですよね。この戦いもですね」
「止められるかも知れません」
「若しくは終わらせることが」
今だ。その希望を見たのだった。
「じゃあ」
「そうされますか」
「はい、そうします」
希望を見ればすぐにだった。上城は決意した。
強い顔になってだ。聡美に言った。
「僕、強くなってです」
「そうしてですね」
「はい、戦いを止めます」
こうだ。誓ったのだった。
「若しくは終わらせます」
「そうされるのですね」
「僕の願いはそれです」
それにだ。決めたというのだ。
「別にそれでもいいですよね」
「それが願いならば」
聡美もだ。彼のその言葉を受け入れてだった。
そうしてだ。こう返したのだった。
「いいと思います」
「そうですか。それなら」
「まことに。気の遠くなる間」
神話の頃からだ。続けられてきた。
「行われてきた無益な戦いですから」
「ですよね。それなら」
「十三人の剣士達はそれぞれ一つの魂ですが」
聡美は上城の決意を聞いてからだ。こんなことを話してきた。
「しかしその人格はです」
「違うのですか」
「はい、魂は同じですがその時代によって性格は違うのです」
「じゃあ僕は前の時代とかでは」
「また違う人間だったと思います」
こう答えるのだった。
「その時代によって」
「そうでしたか」
「今の時代の貴方は」
この時代の彼は。どうかというと。
「とても清らかで真面目な方ですね」
「別にそうじゃないですけれど」
「いえ、そう思います」
上城の謙遜を一旦いいとしての言葉だった。
「その貴方なら」
「戦いを止められるでしょうか」
「そこまで強くなれば」
そうなればだ。どうかというのだ。
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