久遠の神話
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第四話 中田の告白その五
そのうえでだ。さらにだった。
左の刀をだ。左から右にだ。横薙ぎに払った。
それで今度は斬った。しかしだ。
魔物はまだ倒れない。それどころから。
身体を思いきり引いてだ。突き刺さった刀をそれで抜き。
燃え上がる二つの傷を何ともせずにだ。再びだ。
斧を振るう。今度は何度も何度もだ。
無造作なまでに振るい中田を叩き斬ろうとする。彼はそれを巧みに動きかわしつつだ。
そのうえでだ。また声に尋ねた。
「なあ、こいつな」
「体力ですね」
「しぶと過ぎないか?」
こう声に尋ねたのである。
「これはあんまりだろ」
「ですから。神話のままの強さですから」
「元々すげえしぶとかったのか」
「はい」
その通りだとだ。声は答えた。
「そうです」
「参ったな、こりゃ」
中田はその斧の攻撃をかわしながらまた言う。
「一撃でも受けたら終わりだしな」
「そして貴方の攻撃は」
「中々聞かないな」
「そうですね」
まあにそうだと言ってだ。それでだ。
再び攻撃を浴びせる。今度は。
刀をだ、まずは交差させてだ。
それぞれ下から上に一閃させる。それでだ。
アスファルトに紅蓮の炎を走らせ。それで。
魔物にぶつけ足から焼く。その炎で動きを止め。
再び突進してだ。魔物の膝に足をかけ。
一気に跳びその途中にだ。左の刀を一閃させた。
それで魔物を両断しそのうえで焼く。これで決まりだった。
そうしてからだ。着地した彼が見たものは。
今まさに焼かれんとする魔物だった。魔物は立ったまま両断されてそのうえで。
漆黒の身体を焼かれ消えていっていた。そこまで見てだ。
中田は満足した顔になりだ。声に言った。
「これで決まりだな」
「はい、ミノタウロスは滅びました」
「一時はどうなるかって思ったけれどな」
「炎を走らせそしてですね」
「ああ、一気に真っ二つにして焼いてやった」
そうしたと。己の闘いを振り返り話す。
「これならな」
「どの様な体力はある魔物でもですね」
「ああ、倒せる」
それができるというのだ。
「そう思ってな」
「考えられましたね」
「焦ってなかったからな」
それでだ。考えられたというのだ。
「できたんだよ」
「決して焦らないですか」
「だから。焦ったら負けなんだよ」
中田は燃え盛る魔物を見ながらまた言う。
「何でもな」
「焦らない。だから貴方は強いんですね」
「少なくとも強さの元の一つだな」
「そうですね」
「ああ、それで今度の金は」
「はい、もうすぐ出ます」
見れば魔物は今まさに焼き尽くされんとしていた。その後でだというのだ。
そしてその言葉通りだ。それが出て来た。
黄金の棒が数本だ。魔物が消えてから出て来た。それを手に取りだ。
中田は満足した顔になりだ。刀を消してから声に話した。
「報酬だな」
「そしてそのお金で」
「ああ、家族がまた助かる」
こう言うのだった。
「いいことだよ」
「それでなのですが」
「剣士だよな」
「はい、剣士を倒せばです」
彼と同じ立場のだ。その剣士を倒せばというのだ。
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