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久遠の神話

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第四話 中田の告白その二


「んっ、スポーツ新聞?」
「違うみたいよ」
 それではないとだ。樹里が上城に話した。
「普通の新聞みたいね」
「そうなんだ」
「ええ。ただ」
 その読まれている新聞を見る。するとだった。
 そこに写真で出ていたのは。
「中田さんだね」
「そうね。あの人よね」
 剣道着に防具の彼がそこにいた。何とだ。
 全国大会で優勝したと書かれていた。それを見てだ。
 上城がだ。最初に言った。
「凄いね。全国大会で優勝って」
「そうよね。そこまで強いのね」
「強いとは思ってたけれど」
 彼にとってもだ。予想以上だった。
 それでだ。上城はこんなことも言った。
「僕も努力して」
「全国大会優勝?
「無理かな、それは」
 自分で言ってすぐにだ。苦笑いで打ち消したのだった。
「そこまでは」
「まあ。努力次第ね」
 それ次第と答える樹里だった。
「結局諦めたらそれで」
「それで終わりだっていうんだね」
「そう。諦めたらね」
 本当にだ。それで終わりだというのだ。これが樹里の言葉だった。
 それでだ。上城にハッパをかけるようにしてこうも言った。
「上城君もあれよ。新聞にああしてね」
「載れる様にだね」
「頑張ったらいいのよ」
 こう言うのだった。
「そうすればいいのよ」
「そうだね。努力してね」
「剣道もよね。稽古すればするだけ」
「どの武道、スポーツでもそうだけれどね」
「じゃあ。そうしたらね」
「いいね」
「そう思うわ」
 こう上城に話す。
「やっぱり人間努力よ」
「言い換えると努力しないと」
「人間駄目よ」
 そうなるのだった。逆説的にはだ。
 そうした話もした。上城の学園生活は今は平和だった。
 しかしだ。まただった。
 部活の後の下校時間にだ。上城は。
 中田と会った。その彼を見てだ。挨拶の後で言ったのだった。
「新聞見ました」
「ああ、あれな」
「凄いですよね」
 目を輝かせてだ。彼にこう言ったのである。
「全国大会で優勝なんて」
「まあなあ。調子もよかったしな」
 当人はというと軽い調子で返してきただけだった。
「特にな」
「凄くないっていうんですか?」
「いや、そう言ったら嫌味だよな」
「嫌味になります?」
「そうなるだろ。まあだからな」
 言葉を選んでだ。こう言ったのだった。
「凄いよな。俺って」
「はい、凄いです」
「だよな。全国大会優勝は嬉しいよ」
 はにかんだ顔での言葉だった。 
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