久遠の神話
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第三話 見てしまったものその三
「世の中って凄いよね」
「っていうか有り得ない?」
「普通の世界じゃ絶対に通用しないよな、そんな馬鹿」
「それで生徒を教えてるって」
「世の中怖いよね」
「世の中色々な人間がいる」
そうだと。また話す先生だった。
「教師も色々だ」
「そうしたおかしな先生もいるんですね」
「つまりは」
「他の仕事でもだ」
先生はまた話した。
「俺も剣道をしていてわかったことだがな」
「色々な仕事の人がそれぞれ剣道をしていてですか」
「それでわかったんですね」
「そうだ。わかった」
それを通じてだというのだ。
「色々な仕事で色々な人間がいる」
「どの仕事でもとんでもない奴はいるんですね」
「剣道をしている人間でもですね」
「いるんですね」
「逆もあるがな」
素晴しい人間もいるというのだ。中には。
「しかしそうした人間に出会えればだ」
「そうした時はどうすればいいんですか?」
「俺そんな人間に剣道教わりたくないですけれど」
「僕もですよ」
「そうだよな。そんな人間が教える立場だと何してくるか」
「それこそわからないから」
「そうした人間は避けろ」
これが先生が彼等に言うことだった。
「近くにいれば碌なことにならない」
「だからですか」
「そうした人間ってわかればですか」
「もう逃げるべきなんですね」
「そんな奴からは」
「そんな人間に教えられても何にもならない」
だからだともいうのだ。
「教えられることは碌なことじゃない」
「それか身体壊すか」
「そうしたことですよね」
「大体わかる。おかしな人間は」
こうも話す先生だった。
「その行動でな」
「わかるんですか?そういうことも」
「おかしな人間だってことも」
「そうしたしてはいけないことをする」
中学生に突きをしたり反則を取られる技を浴びせたり。あまりにも酷い罵倒や体罰をすることこそがだ。してはいけないことだというのだ。
「だからだ。それはだ」
「そうしたことからわかるんですか」
「暴力からですか」
「そういったことからわかる」
「そうなんですね」
「その通りだ。その行動がおかしな教師には教わるな」
先生は彼等に強く言う。
「絶対にだ」
「わかりました。そうします」
「さもないと危ないですよね」
「碌でもない人間には教わらない」
「そういうことですね」
「その通りだ。まともな人間かどうか見極めてだ」
それでだというのだ。
「その先生についた方がいい」
「あの、それじゃあですけれど」
「そういいますと」
どうなるかとだ。上城達は顧問の先生に対して言った。
「先生もそう思われたらですよ」
「俺達部活辞めますけれど」
「そうなってもいいんですか?」
「その場合は」
「いい」
構わないとだ。先生は毅然とした声で答えた。
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