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久遠の神話

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第三十五話 止める為の戦いその七


「僕も」
「そうなるかも知れない。君もな」
「剣士同士の戦いに入らないといけないかも知れないね」
「そうなりますね」
 俯いていたがそれでもだ。上城の言葉は確かなものだった。
 そしてその言葉でだ。彼は答えた。
「それなら。僕も」
「覚悟を決めるのか」
「戦いを止める為に戦うんだね」
「そうさせてもらいます」
「なら。君は俺達の同志だな」
「そうなるね」
 また微笑みだ。二人は上城に告げた。
「ではこれから。あらためてだ」
「宜しく頼むよ」
「はい」
 上城はまた確かな声で頷く。こうしてだった。
 彼は咄嗟のことでそうしたとはいえそのことから戦うこと、戦いを止める為に戦うことを決意した。そのうえで工藤達と握手をして別れた。 
 その帰り道だ。彼は樹里と共にいた。ずっと彼を待っていてくれていた彼女と。
 その樹里がだ。こう言ってきたのだ。
「決めたのね」
「うん、やっぱり僕もね」
「戦うのね。怪物とだけでなくて」
「剣士の人とも戦うよ」
「倒すことになるかも知れないわね」
「その可能性は否定できないよね」
 上城自身も言う。
「どうしてもね」
「それでもなのね」
「うん。僕は決めたよ」
「戦いを止める為に戦うことを」
 それをだとだ。樹里も言う。
「そうなのね」
「こんな戦い間違ってるから」
 そう思うが故だというのだ。
「だから絶対にね」
「上城君が決めたのならね」
 彼の言葉を聞いてだ。樹里もだった。
「私もね」
「村山さんも?」
「私は戦えないけれど」
 だがそれでもだとだ。樹里は上城のその横顔、俯きながらもそれでも確かなものになっているその横顔を見てそのうえでこう告げたのだった。
「戦う上城君をね」
「助けてくれるんだ」
「うん、そうしていいかな」
「有り難う」
 上城はにこりと笑ってこう樹里に答えた。
 そのうえでだ。こう言うのだった。
「僕も実際のところね。一人だとね」
「辛い?」
「そうした時もあるだろうし」
「一人でいるよりね」
「誰かいてくれたら。けれど」
 甘えではないかとだ。礼を言ってからもまだ言うのだった。
「村山さんにもたれかからないから」
「もたれかかるって」
「そう。甘えたくないんだ」
 それでだというのだ。
「それは駄目だから」
「甘えるとかもたれかかるって」
「気にしなくていいっていうのかな」
「だって。戦うとなると色々辛いことがあったりするわよね」
「そうした時も来るかもね」
「だったら。そうした時は」
 自分にもたれかかっていいとだ。樹里は言うのだった。
「気にしなくていいから」
「そう言ってくれるんだ」
「私は私のできることをするから」
 またこう言う樹里だった。
「戦えなくてもね」
「戦えなくてもできることはあるんだね」
「そう思うわ。具体的にはどういったことかは」
 わからない、まだだと言う樹里だった。
「けれど。見つけたら」
「見つけたらなの」
「そう。どうしようもないから」
 こう言ってだ。そしてだった。
 二人で共に帰っていた。この日はこれで終わりだった。 
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