戦国異伝
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第七十二話 六角との戦その八
あらためてだ。家臣達に告げたのである。
「では我等はこのまま立て篭もる」
「そして三好殿の援軍をですな」
「それを待ちますか」
「伊賀からも来る」
そこも六角の領地なのだ。そこからの援軍は要請だった。
それをしてからだ。彼は言ったのである。
「今は守っておればよい」
「はい、それではです」
「篭城を続けましょう」
「降伏は受けぬ」
断固とした意志だった。それも見せたのである。
かくしてだった。六角は全ての支城を陥とされてもまだ篭城を続ける。信長は彼等に降伏の文も送った。だがそれは完全に黙殺されたのである。
信長はその彼等の態度を見てだ。言うのだった。
「三好も都に迫っておる」
「そしてそこからです」
竹中がここで信長に述べる。
「この近江に迫ります」
「左様じゃ。観音寺城は早く攻め落とすに限る」
「はい、それでは」
「半兵衛、時じゃな」
竹中の顔を見てだ。そのうえでの話だった。
「御主の策が動く時じゃな」
「それでは」
「ではじゃ。どうしてあの城を攻めるのじゃ」
その見るからに難攻不落の堅城をだ。ここでも見上げてだ。
そうしてだ。信長は竹中に問うたのである。
「御主の策を聞きたい」
「確かに堅城です」
竹中はまずは観音寺城の堅固さから述べた。
「ですが稲葉山、岐阜城もですが」
「陥ちぬ城はないな」
「岐阜城は人を攻めました」
「そして観音寺はじゃな」
「城自体を攻めます」
それをだというのだ。城そのものをだというのだ。
そしてだ。竹中はだ。観音寺城を見上げながら言ったのである。
「この観音寺城には幾多の門がありますが」
「その門の何処を攻めるのじゃ」
「いえ、門ではありません」
それを攻めるのではないというのだ。門をだ。
では何処を攻めるのか。竹中は言った。
「裏門です、今我々がいる正門の丁度正反対の門のところはです」
「ふむ。あの門の近くか」
「あの門の近くは櫓が少ないです」
「そうじゃな。他の門の傍に比べてのう」
「殆どありません。何故かといいますと」
裏門の辺りに櫓が少ない、その理由は何故かというのだ。
「あの裏門の辺りが城で最も険しい場所だからです」
「人がよじ登れる場所ではないからのう」
「その裏を衝きます」
竹中の目が光った。ここでだ。
彼はだ。信長にその目を光らせつつ話したのである。
「裏門の傍の城壁をよじ登りそのうえ、です」
「あの城壁をか」
「はい、ただあの場所にも僅かですが櫓があります」
竹中はその櫓のことを忘れてはいなかった。そうしてだ。
彼はだ。今度は柴田に顔を向けて言うのだった。
「それで柴田殿はです」
「ここでわしがその櫓をじゃな」
「鉄砲隊で撃って下さい」
その為にだ。彼にあらかじめ頼んでいるのだった。
「それこそこの世が終わらんばかりの」
「そうして櫓を潰すか」
「その勢いでお願いします」
「わかった。では容赦せずにやってやろうぞ」
竹中に言われてだ。実に楽しげな笑みを浮かべる柴田だった。その柴田を見てからだ。
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