久遠の神話
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第三十二話 相互理解その九
「色々な使い方がある」
「そうですね。では」
「こいつも倒す」
蜘蛛もだ。そうするというのだ。
「絶対にな」
「そうですね。では」
「勝ち。生き残る力を手に入れる」
そうするとだ。言いながらだ。
広瀬はまたその木の葉の短剣達を放つ。それでだ。
今度は蜘蛛本体を攻める。巣は既にかなり切り裂かれている。
そのうえで蜘蛛を攻めていた。剣は次々に突き刺さる。それを見てだ。
広瀬は表情を変えない。だが、だった。
確かな声でだ。こう言ったのである。
「手応えはある」
「それならですね」
「このまま攻める。しかし決め手にはならないだろう」
「ではどうされますか、今度は」
「こうする」
聡美に応えながらだ。そのうえでだった。
一旦上に跳んだ。それからだ。彼は上空で剣を構えなおしてそれからだ。剣を上から下に一気に振り下ろした。するとその剣の動きに合わせたかの様に。
蜘蛛の周りに無数の木が出た。そしてその木達がだ。
蜘蛛の周りを多い縦横に動きだし残っていた巣を全て壊した。
当然そこにいる子蜘蛛達もだ。壊していった。それが終わってからだ。
木達はそれぞれ螺旋状に動き蜘蛛に迫る。だがその木達は。
蜘蛛が口から出す糸が刃となって切り裂く。それにより木達は力をなくした。
かに見えた。だが、だった。
着地した広瀬は膝を折ってそれで衝撃を殺したうえで立ち上がってだ。こう言った。
「予想通りだな」
「攻撃を防がれることはですか」
「そうだ。予想通りだ」
聡美に対してこう話す。
「ただやられる筈がないと思っていた」
「木は全て切られてしまいましたね」
それこそ細切れにだ。見事に切られていた。
それだけ見れば広瀬にとってまずいことだった。しかしだ。
広瀬は冷静な顔でだ。聡美にこうも言った。
「ここからだ」
「どうするかですか」
「既にそれは考えてある」
「全て想定の範囲内ですか」
「破られる技を出すのもだ」
「闘いのうちですか」
「破らせ。そしてだ」
そこからだ。さらにだというのだ。
「仕掛ける」
「それが今の闘いですか」
「木は確かに切られた」
このことは紛れもない事実だった。だが、だ。
それでもだとだ。彼は言った。そしてだ。
その右手に持つ剣をだ。横に一閃させた。すると。
その切られ破片になった木達がだ。嵐の様に動きだす。そうしてだ。
蜘蛛に襲い掛かる。それを自分で見ながら広瀬はまた言った。
「しかしその切られた木もだ」
「使えるのですね」
「俺は生きる木を使うだけじゃない」
「切られ。死んだ木も」
「すぐなら使える」
そうだというのだ。これもまた広瀬の力だというのだ。
「こうしてだ」
「そうなのですか」
「そしてこの破片の嵐でだ」
切られただけに無数の、しかも鋭いものになっている。その破片達をそれぞれ複雑に、しかも一見無造作に見える動きで動かしてだ。それでだった。
怪物を襲う。流石に今度は怪物もだ。
糸を出すがそれが余計に破片を生じさせてだ。怪物を襲い遂にはだ。
数え切れないだけの破片が深々と突き刺さった。そしてだ。
怪物は遂に倒れた。その身体に無数の穴を開けて怪物は倒れたのだ。
倒れ伏すとすぐに光となって消えてだ。後には金塊が残った。
その数本の金の棒達を見てだ。広瀬は今度はこう言った。
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