久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十一話 広瀬の秘密その十三
「だからどうだ」
「そうだな。あそこは俺も好きだしな」
「ならいいな。マジックに行こう」
「そしてそこでか」
「少し話をしよう」
「御互いにな。それじゃあな」
こうした話をしてだった。二人はだ。
そのマジックに向かうことにした。だがここで中田は広瀬にまだ問うことがあった。その問うことは一体何かというとだ。移動手段のことだった。
このことについてだ。中田は彼に問うた。
「あんたあの店まではどうやって行くんだい?」
「君は確かバイクがあったな」
「ああ、俺はそれで行くけれどな」
彼はどうするかというのだ。
「あんたはどうするんだい?」
「俺は車がある」
広瀬はその問いにこう返した。
「それで店まで行く」
「なら問題はないか」
「そうだ、心配はいらない」
「よし、じゃあ決まりだな」
「そうだな。しかしだ」
今度は広瀬が中田に尋ねてきた。彼の番だった。
「若しも俺が車に乗っていなければだ」
「その時はどうしてたってか」
「そうだ。話をしなかったか」
「いや、乗せるつもりだったけれどな」
「君のバイクにか」
「後ろにな。ヘルメットはもう一個あるしな」
「敵に自分の背中を預けるのか」
「若し戦うのなら先に剣出すだろ」
このことをだ。中田は指摘した。
「その前にな」
「確かにな。出さなければな」
戦えない。剣士の戦いはあくまで剣があってのことだ。そして中田もこのことはよくわかっていた。
そしてそれ故にだとだ。彼は言うのだった。
「戦えないからな。俺達は」
「そしてあんたは剣がないと戦わないな」
「剣士としてのルールは守るつもりだ」
剣で戦う、それはだというのだ。
「必ずな」
「だからだよ。俺も何となくわかったからな」
「俺の考えがか」
「だからその時はな」
「そうか。わかっているからか」
「俺だって背中預けるのは勇気がいるさ」
バイクに乗せる形でもだというのだ。
「だから。用心はしてるさ」
「そうか」
「それじゃあ行くか」
あらためて言う中田だった。
「今からな」
「マジックにな」
広瀬も応えた。そのうえでだ。
二人でそのマジックに向かった。そしてそこで二人で話すのだった。
第三十一話 完
2012・4・26
ページ上へ戻る