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久遠の神話

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第二十四話 七人目の影その六


「そのことが御了承下さい」
「そうですか。闇はまた違うものですか」
「はい、私達が対する闇とはそういうものです」
「ではその闇を使う剣士は」
「邪悪である可能性は確かにあります」
 そのことは否定できなかった。聡美にも。しかしだった。
 このことはだとだ。彼女は言い加えるのも忘れていなかった。
「しかしそれはあらゆる力の持ち主に言えます」
「それを使う剣士の心ですか」
「例え邪な闇であってもです」
「それをどういった人間が使うのか」
「それが一番の問題です」
 大事なのは人間である、そうだというのだ。
「果たしてどういった方がです」
「そういえばですけれど」
 聡美にだ。樹里が尋ねる。また話を聞くことに専念していたがあらためて尋ねたのだ。
「これまでの剣士の人って上城君も含めてですよね」
「はい、どなたもいい方ばかりです」
「広瀬さんは不器用な感じがしますけれど」
 だがそれでもだった。彼にしてもだ。
「何かルールがありますね」
「はい、あの方も決して悪人ではありません」
「どういったお考えなのかとかがわからないだけで」
「そして戦われるというだけで」
「特にですね」
「あの方も悪人ではないです」
 それは間違いないとだ。聡美も確かに言う。
「決して」
「けれどですよね」
「世の中には善神と悪神がいて」
 そしてだった。
「善人と悪人がいます」
「じゃあ剣士にも」
「悪人がいても自然のことです」
 世の中に善人と悪人がいてそして剣士が人間ならばだというのだ。
 このことを樹里にだ。聡美は話したのである。
「ですからこれからの戦いで悪人の剣士と対することもです」
「有り得ますね」
「心ない人もです」
 いる可能性があるというのだ。そうした輩もだ。
「これまでの数多くの戦いの中でそうした剣士もいました」
「じゃあそうした心無い剣士が」
「最後まで勝ち残ったこともあります」
「そしてその望みを適えたこともですね」
「はい、あります」
 そうなったこともだ。過去にあったというのだ。
「それもです」
「それってかなりとんでもないことじゃないんですか?」
 樹里は聡美のその話を聞いてだ。まずは眉を顰めさせた。
 そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「あの、悪人の願いなんてそれこそ」
「はい、その願いで権力を得たり富を得た人もいます」
「そうした人がそんなものを手に入れたら」
「そのことによって大きな災厄が世に出たこともあります」
「ですよね。けれどそれは」
「いえ、そうした輩はです」
 心無い勝利者がだ。望みを適えてそれで悪を為したとしてもだというのだ。聡美はその事実の前に強張った顔になった樹里にだ。こう話したのである。
「必ず破滅します」
「破滅するのですか」
「悪は報いがあるものですから」
 それでだというのだ。
「ですから。そうした輩はです」
「因果応報ですね」
「例えば。これは剣士の戦いの勝利者ではないですが」
 それでもだとだ。聡美が例えとして出した話は。
「神々を試す為に彼等に我が子を食させた王はタンタロスに送られました」
「自分の子供を殺してですか」
「その悪事を為した王もいます」
「そうした人はやっぱりですよね」
「そうです。神々の怒りを買いタンタロスに送られたのです」
「罰を受けたのですね」
「そしてキリスト教の話ですが」
 今度はこの巨大な宗教の話だった。 
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