久遠の神話
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第二十三話 七人目の影その五
「怪物には人間程の知能がないものが殆どの様だからな」
「ですね。じゃあこれは明らかに」
「剣士だ」
その力によるものだとだ。工藤は言い切った。
「その剣士の力をだ」
「使ってきた。それは何故でしょうか」
「闘いを止めさせたんでしょうか、俺達の」
高橋はまずその可能性を考えた。そしてだ。
広瀬は広瀬でだ。闇があったその足下を見ながらだ。こう言ったのだった。
「若しくは俺達に己の存在を誇示したか」
「その剣士がか」
「挨拶の様なもので」
こう工藤にも話す広瀬だった。
「その可能性もありますね」
「確かにな。それは」
「とにかくです。どうやら七人目の剣士も現れました」
「そのことは間違いないな」
工藤はまだ周囲を見回していた。そうしながらの話だった。
「しかし問題はだ」
「その剣士が誰で今何処にいるか」
「そのことだが。どうやら」
周囲を見回しながら言う工藤だった。
「去ったな」
「そうですね。もう攻撃はしてきませんし」
高橋も周囲を見回している。しかしだった。
やはり誰もいなかった。それでだった。
工藤に高橋、それに広瀬もだ。剣を持ったままにしてもだ。
戦いを止めた。そのうえでだ。広瀬が二人に言った。
「この戦いは流れたということで」
「俺もそれでいいよ」
彼と今回闘った高橋の話だ。
「それじゃあ今はね」
「はい、ではまた今度」
「闘うか」
「そうしましょう」
こう話してだった。そのうえでだった。
彼等は今は屋上から去った。そしてなのだった。
広瀬は講義を受けてからだ。部活に出てだ。
それからシャワーを浴びて帰る。だが、だった。
その帰りにだ。今度はだ。
声が彼に言って来た。その声はだ。
「闇に逢われましたね」
「じゃああの闇がかな」
「はい、そうです」
まさにそうだとだ。声は広瀬に述べて来たのだ。
「その通りです。七人目の剣士はです」
「闇を使うのです」
「そうか。やはり」
「剣士は全部で十三人います」
ここでまた言う声だった。
「ですがその中で」
「その中でも闇の力の持ち主は」
「かなり強いです」
そうだというのだ。その闇の力を持つ剣士はだ。
「この戦いの軸となる様な」
「また面白い相手みたいだな」
「面白い、ですか」
「そうした相手なら」
どうかとだ。広瀬は帰路につきながら話していく。
「倒せばそれだけの力が手に入るからな」
「だからですか」
「そう。俺は倒す」
こう言うのだった。
「その剣士をな」
「いえ、あの方は」
「その闇の剣士は」
「そうです。相手にできるものではありません」
そうだというのだ。
「ですから決してです。その闇の剣士とは」
「闘ってはならない」
「どうか。お止め下さい」
「わからないいことを言うものだな」
だが、だった。広瀬はだ。
声にシニカルに返してだ。そのうえで言うのだった。
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