久遠の神話
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第十九話 高代の力その八
木の枝をだ。次から次に出してだ。それを飛ばしたのだ。
そのうえでだ。高代を攻める。その枝がだ。
小刀となり高代に襲い掛かる。それに対して。
高代は逆時計回りに動きつつかわしていく。その間もビームを放ち続ける。
激しい攻防だった。しかしだ。
その中でだ。広瀬は笑った。にやりとだ。
その笑みを見てだ。高代は彼に問うた。
「何か」
「仕掛けていましてね」
「仕掛け?」
「光は消えますが木は残ります」
そうなるというのだ。木はだ。
「だからこそです」
「仕掛けはそれですか」
「さて、それではです」
見れば木の枝は全て戦場に落ちている。高代が駆けながらかわし全て地に落ちたのだ。
二人は何時しか動きを止めて対峙している。その高代の回りに無数の木の枝が落ちていたのだ。
その枝がだ。一斉にだったのだ。
浮き上がりそのうえでだ。高代に襲い掛かる。それを見てだ。
広瀬は勝利を確信してだ。高代に問うたのである。
「さて、これはどうしますか」
「どうして防ぐかですか」
「果たして防げますか」
それをだ。彼に問うたのである。
「俺の今の時点での最大の技ですが」
「そうですね。では私も」
「この技を封じるというのですか」
「ではです」
こう言ってだ。そしてだ。
高代は己に迫る木の枝を見てだ。そしてだ。
右手の剣をだ。己の頭上に掲げた。するとだ。
高代の身体の周りにだ。無数の光の柱が起こった。それがだ。
彼の身体を覆う。完全に。その光の柱達がだった。
彼に迫る木の枝を片っ端から防いでいく。そうしてだった。
彼はこの危機を凌いだのだ。そうして全ての枝が消えてからだ。
高代は光を消した。そのうえで広瀬に問うたのである。
「これが私の今の最大の技です」
「そうなのですか」
「はい、そしてです」
広瀬を見ながらの言葉だった。
「貴方はもうですね」
「はい、限界です」
術を使い過ぎだ。力が尽きたというのだ。
そしてだ。それはだった。高代も言ったのである。
「私もです」
「貴方もですか」
「これ以上闘うとなればですが」
「御互いに剣のみでとなりますね」
「それもまた一つの闘い方ですが」
「いえ、それは止めましょう」
広瀬からだ。その剣のみでの闘いは断るのだった。
それが何故かもだ。彼は言うのだった。
「御互いに後は消耗戦になるだけですし」
「だからですか」
「俺達の実力は互角ですね」
「そうですね。手合わせをしてわかりました」
「それなら後はです」
消耗戦になるだけだというのだ。そして例えどちらかが勝ってもだとも言うのだった。
「力を手に入れてもまずは傷を癒さなければなりません」
「そしてその間に他の剣士達に襲われる」
「そうなっては元も子もありません」
これが広瀬の言葉だった。
「だからこそです」
「そうですね。そうした展開は私もです」
「不本意ですね」
「私とて倒れるつもりはありません」
だからだというのだ。
「ではここはそうしましょう」
「また御会いしましょう」
静かにだ。高代は述べた。
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