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久遠の神話

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第十九話 高代の力その六


「水泳部用のプールは空いていますので」
「水泳部用はですか」
「水球部もありまして」
 プールは一つではないというのだ。この八条学園ではだ。
 そして水泳部用のプールもある。そうだというのだ。
「そちらは今は空いていません」
「では水泳部の」
「はい、そこに参りますか」
「場所は何処でもいいです」
 静かに返す広瀬だった。異存はないというのだ。
「ではそこに」
「はい、それでは」
 二人が話を決める。そうしてだった。
 それまで二人のやり取りを見ていた中田がだ。こう二人に言ったのである。
「じゃあ俺もな」
「貴方も剣士ですね」
「ああ、中田直行ってんだ」
 気さくな笑みを高代に向けてだ。そのうえでの言葉だった。
「宜しくな」
「貴方は今は戦われないのですか」
「とりあえず見させてもらうさ」
 そうするというのだ。今はだ。
「それで終わってからな」
「生き残った方とですか」
「あんた達が闘いたいのならな」
 それならばだというのだ。
「そうさせてもらうぜ」
「わかりました。それではです」
「君はこの方の後だ」
 高代と広瀬は同時にその中田に述べた。
「まずは私達が闘い」
「君を倒そう」
「別に二対一でもいいぜ」
 余裕も見せる中田だった。平然としてだ。
「それでもな」
「いえ、私は誰とも手を組みません」
 高代が最初に中田に答える。
「戦う時は常に一人です」
「一対一で戦う主義なんだな、先生は」
 高城は今紺色のスーツだ。その姿から先生と察しての言葉だった。
「そういう人なんだな」
「例え相手が怪物であってもです」
「いつも一人か」
「はい、一人で戦いますので」
 広瀬と共闘することはないというのだ。そしてだ。
 その広瀬もだ。こう中田に言うのだった。
「俺は時と場合によって誰かと手を組むがだ」
「今はってんだな」
「そうだ。この先生とは手を組まない」
 そうだというのだ。
「まずはこの先生と闘い勝ちだ」
「俺と闘うってんだな」
「そうさせてもらう。ではだ」
 あらためてだ。高代を見据えてだ。
 そうしてだ。その右手に剣を出すのだった。それを受けてだ。
 高代も剣を出す。その剣はというと。
 白く光る西洋の諸刃の剣だった。剣の付け根のところがだ。
 星型になり膨らんだ様になっている。その剣を出してだ。高代は言った。
「光の剣です」
「それが貴方の力ですか」
「はい」
 そうだとだ。静かに答える高代だった。
「そしてこの力で、です」
「俺に勝つんですか」
「私の夢の為に」
 彼にも夢があるというのだ。
「その為にもです」
「わかりました。それではです」
「今からはじめますね」
「行きます」
 広瀬はその六つの牙がある剣をだ。右に掲げた。そのうえでだ。 
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