久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十八話 教師その六
「そんなことを」
「そうですか。あの人がですか」
「色々と教えてもらっています」
「私は声に教えてもらいました」
あの声にだというのだ。そしてだ。
その声についてだ。高代は話するのだった。
「ただ。問題はです」
「その声がですね」
「私が存在を察している神と関係があります」
こう考えてだ。上城と話するのだった。
「それは間違いないでしょう」
「ギリシアのその神とですか」
「問題はその神が誰かということですね」
戦いの核心はそこにあるというのだ。
「果たして何故私達を戦わせているのか」
「そういえばそうしたことは」
「わからないですね。全ては謎です」
「ううん、どうした神様なんでしょうか」
「戦いですからね」
高代は考える顔になりだ。上城に述べる。
「戦いの神ではないかと」
「戦いの神。ギリシアのですね」
高代の今の言葉にだ。上城はある神を思い浮かべた。その神はというと。
「アテナですか?」
「あの女神ですね」
「はい、その神様でしょうか」
「どうなのでしょうか。戦いの神はギリシアではもう一柱いますし」
「アーレスですね」
自然とだ。上城はこの神の名も出した。
「あの戦いの神もですか」
「有り得ます。どちらかでしょうか」
「どちらが何の目的で」
首を捻りつつだ。上城は考えていく。
高代もそれは同じだ。しかしだ。
ここでだ。二人に対してだ。同時にだった。
あの声がだ。こう言ってきたのである。
「いえ、違います」
「違う!?」
「違うっていうと」
「はい、この戦いを行わせているのは戦いの神ではありません」
そうだとだ。二人に対して言うのである。
「アテナでもアーレスでもです」
「違うんですか」
「そのどちらでもないと」
「そうです。戦いの神が行わせているのではありません」
また二人に話すのだった。声は。
「そうなのです」
「ではです」
声のその話を聞いてだ。高代は声に問い返した。
「その神は一体どの神なのでしょうか」
「ギリシアは神様の数が多いですけれど」
上城はそこから考えてだ。声に対して問うた。
「それじゃあ一体どの神様ですか?」
「それは」
「そういえばですけれど」
また高代が声に問う。
「貴女はこの戦いについて御存知ですね」
「はい」
「今のお話といいそのことからも察するところ」
どうかとだ。高代は声に言っていく。
「貴女はその戦わせている神と関係がありますね」
「あります」
まただ。声は答えてきた。
「だからこそこうして説明できるのですが」
「それでは貴女は何者ですか?」
高代は怪訝な声だった。そしてその表情もだ。
声と同じく怪訝なものにさせてだ。そのうえで問うたのである。
「そもそもです。何者ですか?」
「御答えすることはできません」
声はそれを拒んだ。問いに答えることをだ。
ページ上へ戻る