久遠の神話
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第十八話 教師その五
そうしてだ。上城にこうも話すのだった。
「少なくとも君とはです」
「闘わないんですか」
「そうです。私は今はです」
だからだというのだ。
「闘いません」
「それなら戦いは」
「夢がありますので」
「戦われるんですか」
「言いましたね。今はです」
「今は、ですか」
「そうです。挨拶と考えて下さい」
それだというのだ。今はだ。
「挨拶をしてからいきなり闘うというのも」
「それはですか」
「無粋に思えまして」
それでそうするというのである。
「だからです」
「では次は」
「時と場合によります」
闘うかどうか。それはだというのだ。
「しかし私は剣士ならばです」
「戦われてそれで、ですか」
「最後の一人まで生き残ります」
それは絶対だというのだ。穏やかな口調でもだ。
その中に強いものを込めてだ。彼は言うのだった。
「そして私の夢を成し遂げます」
「先生の夢ですか」
「何だと思いますか。それは」
「いえ、それは」
そう問われてもだ。上城は返答に窮した。
これまで高代はただのいい先生にしか思っていなかった。その彼にこう言われてもだ。困るだけだった。だが高代はその彼にこう話すのだった。
「学校です」
「学校ですか」
「新しい学校を造りたいのです」
微笑みだ。こう上城に話すのだった。
「その為に予算や人が必要でして」
「だからですか」
「はい、その予算や人を手に入れる為に」
「剣士としてですか」
「生き残り夢を適えます」
そうするというのだ。それが彼の夢だった。
そのことを話した。彼自身の夢を。それからだった。
あらためてだ。彼は上城にだ。彼が知りたいことを話すのだった。
このことについてだ。彼はこう切り出した。
「そして剣士同士の戦いのことですが」
「はい、そのことですね」
「剣士同士は御互いにそれぞれ近い場所にいてです」
「会い、戦うんですね」
「神がいますね」
神の存在が出た。ここで。
「私達を戦わせている神が」
「神っていいますと」
「間違いなくギリシアの神々ですね」
その神がだ。彼等を互いに戦わせているというのだ。
「そう私達にさせています」
「そういえば銀月さんが」
上城は高代の話からだ。ふとだ。
彼女に前に言われたことを思い出してだ。こう述べたのである。
「前にそんなことを」
「銀月といいますと」
「御存知ですか?八条大学の」
「ギリシアからの留学生でアーチェリー部のですね」
「はい、その人です」
まさにだ。その彼女だというのだ。
「ギリシア生まれでギリシア人らしくて」
「戦いのことを知っているのですか」
「その人に教えてもらいました」
このことをだ。高代に話したのである。
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