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久遠の神話

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第十七話 六人目の戦士その七


「そのことを」
「あっ、それは」
 聡美はここでやっと己のミスに気付いた。それでだ。
 内心焦りを覚えた。しかしそれは何とか隠してだ。
 そのうえでだ。こう上城達に述べた。
「女の。その」
「勘ですか」
「はい、第六感です」 
 そういうことにしたのである。
「それでなのです」
「あっ、よくそう言われますよね」
 聡美の話に乗ったのは樹里だ。しかし彼女は聡美の隠しごとに気付いていない。
 そしてだ。彼女はこう言ったのである。
「女の人の勘は鋭いって」
「それは樹里さんもですか?」
「ううんと。私は」
 右の人差し指を唇にやり視線を真上にしての言葉だった。
「特にですね」
「特にですか」
「鋭くないです」
 自己分析はできた。これは確かなことだった。
「あまりそうしたことはです」
「そうなのですか」
「だからよくわからないですけれど」
 その第六感というものについてはというのだ。
「けれど銀月さんのお話はです」
「わかって頂けましたね」
「はい、そうなんですね」
「それでわかりました」
 二人に隠し通せたことに内心安堵しながら答える聡美だった。
「この学園にもう一人の剣士がでる」
「いるんですね」
「果たしてそれは誰なのか」
 樹里に続いてだ。上城が述べた。
「問題はそこですが。ですが」
「戦われるかどうかはですか」
「それは」
 ここでもだ。暗い顔になる上城だった。その話になるとどうしてもだった。
「すいません、答えが出ないです」
「そうですか。ただ、です」
「ただ?」
「戦いを終わらせたいという上城さんのお考えはです」
「いいですか」
「そう思います」
 このことは確かに。隠すことなく答えられた聡美だった。
「本当にです」
「そうですか。それは何よりです」
「では。六人目の方に対しても」
「そのことを話します」
 子供が相手でもだ。そうするというのだ。
「絶対にです」
「そうですね。この戦いを終わらせて」
 聡美は微笑みだ。遠くを見た。そのうえでだった。
 こんなことをだ。彼女は今言った。
「あの方も迷いから解放されれば」
「迷い?」
「迷いっていいますと」
「すいません、何でもありません」
 事実は隠し。表情は隠しての返事だった。
「御気になさらずに。ではですね」
「六人目の人に。何はともあれ御会いして」
「そうしてからですね」
「また。はじまりますね」
「そうなりますね」
 また話が動くとだ。三人で話するのだった。その三人の前にだ。
 私服姿の広瀬が出て来た。彼等の姿を見るとだ。
 彼は思わせぶりな、口の両端での笑みを浮かべてだ。前から来ながらこう言ってきたのだった。
「奇遇だな。こうして会うなんて」
「それで会えばですか?」
 樹里がだ。眉を顰めさせてその広瀬に問うた。 
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