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久遠の神話

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第零話 炎の覚醒その二十


 中田はだ。こう声に言った。
「本当に燃えるんだな」
「炎の力です」
「本当に俺の力なんだな」
「剣と。その力を使ってです」
「戦ってそれでか」
「黄金を手に入れて下さい」
「わかったぜ。それじゃあまずは」
 ケンタウロスは今度は槍を構えてきた。それで彼を突き殺すつもりなのは明らかだった。その距離は最早至近にまで迫っていた。
 槍も刀も互いに攻撃できる距離だった。それを見てだ。
 中田は声に言うまでもなくだ。すぐに己の両手の刀を振った。
 その動きは速い。まさに稲妻の如きだった。その速さでだ。 
 ケンタウロスを狙う。魔獣もだ、
 その槍で突こうとする。忽ち打ち合いになる。
 バイクも足も止まりだ。それぞれ何合も何合も重ねる。その中でだ。
 中田は右手の刀から突きを出した。それは。
 ケンタウロスの喉を貫いた。それで終わりだった。
 魔獣は動きを止め忽ちのうちに刀から出る炎に包まれだ。燃えて消え去った。
 そしてその消え去った後には何枚かの黄金の棒が残った。中田はそれを見て声に尋ねた。
「それでこれをだな」
「はい、そうです」
「売って。そうしていって」
「お金にして下さい」
「少し回りくどいけれどいいか」
 中田はその手順はもう構わないとした。
「金が手に入るんだからな」
「それで三億ですよね」
「ついでに生活費もだな」
「生活費?」
「今気付いたんだよ。親父は会社員でお袋はパートに出てるんだよ」
 今日の平均的な家庭であると言える。むしろいい方かも知れない。
「その二人も今入院してるんだよ」
「それでお金が必要ですから」
「俺の生活費はどうなるんだ?」
 働いているその二人がいなければどうかというのだ。
「アルバイトをしてもいいけれどな」
「ではそこでお金をですか」
「ああ、戦って手に入れるさ」 
 そうしてだ。生活費もだというのだ。
「そうすればいいよな」
「それじゃあですね」
「金ってのはとにかく必要だからな」
「では」
「その分も稼がせてもらうさ」
 彼は言った。
「充分にな」
「そうされますか」
「ああ。それでな」
「はい。一体何でしょうか」
「こうして魔獣を倒していけば金が手に入るんだな」
「倒せば倒すだけです」
 そうだとだ。声も答える。
「そうなります」
「そうか。話通りだな」
「そして剣士を倒せば」
「金がもっと入るんだな」
「魔獣の比ではありません」
 そこまでだというのだ。
「かなりのものになります。それにです」
「それに?」
「魔獣もそうですが」
 こう前置きしてだった。中田に話すことは。
「剣士を倒せばそれだけ貴方も強くなります」
「剣士の強さをそのまま取り込むってことか」
「そうです。魔獣についてもです」
「倒せば倒すだけ。強くなるのか」
「その通りです。剣士は特にそうしたものが大きいのです」
「強く、ねえ」
 その強さという言葉にもだ。中田は反応を見せた。 
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