久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十三話 想いの為にその八
戦いの後で広瀬が校内を歩いているとだ。そこにだ。
中田が来た。そうして彼にこう言うのだった。
「偶然だな」
「そうだな。こうして会うのも」
「いい偶然とそうでない偶然ってあるよな」
シニカルに笑ってだ。中田は広瀬に話す。
「今回はどっちだろうな」
「どちらでもないんじゃないかな」
「よくも悪くもないってか」
「俺は今は戦うつもりはない。そして君も」
「ああ、俺もあんたが剣を出さないんならな」
「闘わなかったな」
「そうさ。それが俺のポリシーさ」
まさにそうだとだ。中田は広瀬にまたこのことを告げた。
「だからあんたともな」
「今は闘わないか」
「そういうことさ。それでこれからどうするんだ?」
「これから?」
「ああ。どうするんだよ」
今度はシニカルなものではなくだ。屈託のない笑みだった。
そしてその笑みでだ。彼は広瀬に問うたのである。
「暇かい?それならな」
「悪いがコーヒーや紅茶ならいい」
「何だよ。付き合いが悪いな」
「俺の一緒に飲む相手は決まっている」
だからいいというのだった。
「そういうことだ」
「へえ、あんたも一人じゃないんだな」
「これも友達がいてそうして」
「そうして?」
「後は君で予想するといい」
彼女のことはだ。あえて言わない広瀬だった。
「全ては任せる」
「丸投げってことだな」
「そういうことだ。それではな」
「ああ。それじゃな」
二人はここまで話すとお互いに前に出た。そしてだ。
擦れ違う。その後でだ。
中田は広瀬に背を向けたままだ。こう彼に告げた。
「俺はな」
「今度は何だっていうのかな」
「戦うこと自体は否定しないからな」
このポリシーもだ。広瀬に話したのである。
「それはな」
「そうか。剣を持っていれば」
「ああ、戦う」
このことを告げていくのだった。
「あんたともそうだぜ」
「そうか。君もどうやら」
「やることがあるからな」
広瀬の言葉を受けてだ。そのまま返した形になった。
「そのことも言っておくからな」
「わかった。それではな」
「ああ、それじゃあな」
「その時にまた会おう」
こう話してだった。彼等は別れたのだった。
広瀬はそのまま乗馬部に向かう。そうしてだった。
馬に乗る。そのうえで部活を楽しみながらだ。
騎乗しながら馬を見てだ。笑顔で仲間達に話したのだった。
「馬はいいな」
「ああ、裏切らないしな」
「動物ってやるはな」
「だからいい」
こう言うのだった。
「それにだ」
「それに?」
「あの娘も裏切らない」
まただ。広瀬は言ったのだった。
ページ上へ戻る