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久遠の神話

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第十一話 意外な素顔その三


「それで広瀬君に一体」
「ちょっと話したいことがあるんだよ」 
 中田は彼独特の気さくな笑顔で述べた。
「あいつとな」
「ああ、広瀬君のお友達なんですね」
「まあそういうところだな」
 敵同士とは流石に言えずにだ。そういうことにしたのだった。
「それであいつは何処なんだい?」
「ちょっと待って下さいね」 
 気軽に応えてだった。娘はグラウンドの方に言った。見ればグラウンドには馬に乗った人間が何人かいる。ただ遠いのでその顔は見えない。
 その馬に乗った面々を見てだ。聡美が言う。
「おられますね」
「見えるのかよ」
「はい、目はいいので」
 それで見えるというのである。
「それで」
「俺も視力は両方一・五だけれどな」
「それは日本ではですね」
「いい方だよ。ただな」
「ただ?」
「あんたの視力って幾つなんだ?」
 中田は少し怪訝に思って聡美に彼女の目のことを問うた。
「俺でも結構いいんだけれどな」
「それは」
「ニ・〇位か?」
 こう問うたのである。
「それ位か?」
「二・五位でしょうか」
「おいおい、それは本当かよ」
 そう答えられてだ。思わず言ってしまった中田だった。
 だが、だ。その目で見てだ。聡美は確かに言ったのである。
「あの人はおられますので」
「まあ目がいいってことは便利だよな」
「そうですね。幸いにして」
「だよな。じゃああれか」
 先程の女が一騎に話し掛けてだ。それを受けてだ。
 その一騎がこちらに来る。そこにいたのがだ。
 やはり広瀬だった。彼は上と帽子、それにブーツが緑でズボンが白の格好だった。その彼がだ。
 ブラウンの馬の上からだ。二人にこう言ってきたのである。
「君達か」
「こんにちはってのはないのかい?」
「こんにちは」
 中田に言われて今は素直に返す。しかしだ。
 すぐにだ。こう憮然として言うのだった。
「ただ。それにしても」
「ここには来て欲しくなかったんだな」
「俺は自分の時間を大切にしたいんだ」
 こう言ったのである。
「戦い以外の時間はね」
「おいおい、プライベートは大切にするのかよ」
「その通りさ」
 まさにそうだと答える広瀬だった。
「それは君もじゃないのかな」
「ああ、確かにな」
 そのことは否定しない中田だった。馬上の広瀬に対して頷いて答える。
「ただな」
「ただ?」
「それでも聞きたいことがあってさ」
 それで来たというのである。
「ここにな」
「聞きたいこと?」
「部活はもう終わりかい?」
「答えたくないけれど答えようか」
 いささか勿体ぶって答える広瀬だった。
 そしてだ。馬から降りた。ゆっくりと。
 そうしてからだ。中田と聡美に言うのだった。 
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