久遠の神話
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第九話 戦いの意義その十二
「だから言われた」
「自衛隊も警察も同じですね」
「階級が高ければそれだけで」
「結婚を言われるのは」
「本当に同じだな。それは」
「ですよね」
「それで君は相手は」
「はい、いないです」
肝心の答えはだ。即答だった。
「高校の時はいたんですけれどね」
「別れたか」
「高校を卒業して自然消滅でした」
「そうか。それでか」
「はい、今はフリーです」
ひいては結婚の予定自体もないとだ。高橋は笑って話す。
「お見合いでもしましょうかね」
「いいと思う」
工藤は高橋の今の言葉に賛同してみせた。
「それもまたな」
「ですよね。いい相手が見つかれば」
「それでいい」
「本当に誰かいないですかね」
高橋の口調は欲しがるものだった。そうした相手は欲しいというらしい。
「いい相手が」
「御互いに見つけるしかないな」
「ですよね。本当に」
「結婚は人生のはじまりだ」
それだというのだ。工藤は。
「だからな。それも何とかな」
「はい、お互いに見つけましょう」
「そちらもな。ただな」
どうかとだ。工藤はこんなことも言った。
「それもな」
「はい、戦いが終わってからですね」
「それからですね」
「そうだ。それからだ」
こうだ。二人は話すのだった。
「今はな。俺達はだ」
「結婚はできませんね」
「この戦いが終わってからだ。全てな」
「ええ。今は」
このこともだ。二人は話した。
「結婚よりもですね」
「戦いだ。仕方ない」
「それを終わらせて」
「俺達も人生も歩かないとな」
こうした話もしながらだった。二人はトレーニングをしていた。そしてだ。
それが終わってシャワーを浴びそれぞれの制服を着たところでだった。
急にだ。高橋の携帯が鳴った。それが出るとだ。
「あっ、出ましたよ」
「出たか」
「はい、駅です」
そこにだ。出たというのだ。
「前兆が出たそうです」
「そうか。報告があったか」
「そうです。神戸駅の裏です」
「あそこか」
「行かれますよね」
「ここから遠いな」
工藤は神戸駅の裏と聞いてだ。考える顔になり述べた。
「少しな」
「その間に別の剣士が来てるかも知れませんね」
「急ごう」
しかしだ。行かないという選択肢はなかった。
ページ上へ戻る