久遠の神話
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第八話 二人の剣士その七
「あれは何処の制服なんでしょうか」
「海上自衛隊です」
聡美が後ろから二人に答えた。
「あそこの制服です」
「海上自衛隊ですか」
「はい、他の国では海軍と言いますね」
「名前が違うだけですから」
上城は自衛隊についてはこう考えていた。どう見ても軍隊だとだ。そう捉えてだ。自衛隊については必要であるし格好いいとも思っている。
その自衛隊の制服と聞いてだ。彼は言うのだった。
「緑色だって思ってましたけれど、自衛隊の制服って」
「ああ、そうだったよな」
そしてだ。中田もだ。こう言うのだった。
「海自って黒だったんだな」
「陸と海で制服って違うんですね」
「そうみたいだな」
「それにです」
ここでだ。聡美がまた二人に話す。
「空も制服は違います」
「陸空海で制服が違うんですか」
「はい、そうです」
まさにそうだとだ。聡美は上城だけでなく中田にも話す。
「緑なのは陸上自衛隊で」
「ああ、そうなのか」
「海はあの様に黒です」
もっと言えば金だ。それも入るというのだ。
「それで空は青です」
「本当にそれぞれ色が違うんですね」
「そうです。あの方は海上自衛隊の幹部の方ですね」
「幹部?」
「普通の国で言うと士官になります」
聡美は今は淡々と話していく。
「階級は二尉、普通の軍隊では中尉になります」
「じゃあ結構偉い人ですか」
「そうなるよな」
上城だけでなく中田も話す。
「将校っていったらな」
「そうなりますよね」
「そうですね。将校といっても階級は多いですが」
その中では下の方になる。しかし聡美は今は士官そのものが上の階級にある、指揮官としてだ。そのうえで二人に話していく。
「そうなりますね」
「それでその偉い人がですか」
「ああして戦うっていうんだな」
「いえ、ここで問題なのは」
聡美はまた二人に話した。
「あの方々が剣士であるということです」
「そうだ、それだよ」
「それですよね」
中田も上城もだ。二人共だった。聡美に言われて気付いた。
そうしてだ。そのうえでだった。彼等も。
その今戦っている警官と自衛官を見た。彼等の手にしている剣は。
それぞれ形が違っていた。中田のものとも上城のものとも違う。
その形を見てだ。二人は話す。
「ええと、あの剣は」
「刀ではないですね」
二人が持っている様なだ。そうしたものではなかった。
どちらも両刃であった。つまり」
「あれが剣だ」
「両刃だからですね」
「ああ、俺達の持っているみたいなな」
そうしたものがだとだ。中田は話す。
「これが刀なんだよ」
「そうですね。片刃であるのが」
「やっぱりそれぞれなんだな」
中田はここで納得した様にして述べた。
「それは」
「あの自衛官の人の剣は」
上城がその剣を見て言う。
「十字になってますね」
「ああ、束のところがな」
見れば確かにそうなっていた。彼の剣は。
長い両刃の剣だ。色は茶色だ。大地の色だ。
その大地の色の剣はだ。まさに十字架の形だった。
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