久遠の神話
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第七話 中田の言葉その一
久遠の神話
第七話 中田の言葉
聡美と樹里が見守る中でだ。上城と中田は。
対峙していた。その中でだ。
中田はだ。自分の前にいる上城にこう尋ねたのだった。
「やるつもりか?」
「そう思われますか?」
「そう見えるけれど違うか?」
こう上城に言い返した。
「それは」
「僕は決めたんです」
「決めたって?」
「怪物達とは戦います」
毅然としてだ。こう言ったのだった。
「彼等とは。しかし」
「俺みたいな剣士とかとはかい?」
「戦いません。絶対に」
「それはどうしてだい?」
「剣士と剣士。人間と人間ですよね」
「ああ、そうなるな」
その定義はだ。中田も把握していた。それを承知のうえで剣士になっているからだ。
それをわかったうえでだ。今目の前にいる上城の話を聞いているのだ。
「それはな」
「それならです。僕は」
「人間同士の戦いはしないってのかい」
「止めたいです。それどころか」
「止めるのさらに上のランクだな」
上城の話がそこにいくと察してだ。
中田はだ。上城より先に言ってみせた。
「となるとな」
「はい、終わらせます」
そうするとだ。上城は言った。
「そうします」
「なら俺とはどうするんだい?」
「闘いません」
毅然としてだ。上城は中田に告げた。
そしてその証にだ。彼は。
今左手に持っている青い刀をだ。消してみせたのだ。
そうしてだ。こう言ったのだった。
「貴方とも。他の剣士の人達とも」
「青いねえ。水だから青いのは当然にしても」
上城の話をここまで聞いてだ。中田は。
まずは軽い笑いを浮かべて。それからだ。
目をだ。闇の中で光らせてだ。そのうえでだ。
こうだ。上城に告げたのである。
「若しも俺がな」
「中田さんがですか」
「今の。刀を持っていない君に刀を出す」
実際にだ。それは今すぐにでもできる。剣士だからだ。
「それで君を斬ればどうするんだ?」
「その場合はですか」
「どうするんだい?その場合は」
「その時は」
「闘うかい?そうするのかい?」
「闘いません」
こうだ。上城は毅然として言い切った。
「決めましたから」
「絶対にか」
「絶対にです」
自分より少し背の高い彼を見上げてだ。そしてだ。
彼にだ。また言ったのだった。
「闘いません」
「言うね。辛いぜそれは」
「わかっています」
それでもだとだ。上城は返し続ける。
「僕はそうします」
「言うね。まあ俺もな」
「中田さんも?」
「あれだよ。戦うのは魔物以外にはな」
どうした相手なのか。上城に話すことは。
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