インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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また、謎の存在が現れた
―――祐人side
襲来した白いIS『暮桜』が俺の前に現れ、棍棒が切断された。
「風宮、他の者は?」
「………楯無がダウン。まぁ、VTシステムに操られて強固なブロックを破られたから今頃メスガキは怒り狂っているだろうよ」
悪魔な形状が元に戻って俺のテンションも元に戻り、冷静に答えた。
「……やはり……か……」
「さっき仲間から聞いたけど、上の方でも騒がしいらしい。まぁ、そっちは教員が担当していると思うけど、やっぱりISって不便すぎるだろ」
教員なのに一台持っていないのが特に。
「まぁ、その性能故に選ばれた人間以外は乗れないんだ。仕方あるまい」
「………まったく、仕方ないというかなんというか………」
そう言いつつも俺たちは巨人型のISを一機ずつ潰していた。
残り一機は完全にこっち狙いらしく、標的を俺にしている。
「風宮!」
「心配ご無用。これくらい―――」
―――斬ッ!!
「俺一人でも余裕だ」
《ヘラクレス・ブレード》を瞬時に展開して斬り裂いた。
「………逃げ足が早いな」
ふと、さっきまで感じていた気配が消えていることに気付いた。だがまぁ、問題はないだろう。
「………ところで、この残骸はどうするつもりだ?」
「ここの存在は教員は一部の人間にしか知らない。しかし、しばらくは使えないだろう。それに無人機の残骸を残すのもな………」
そこで俺はあることを思いつき、一夏たちを先に帰らせた。一夏は渋ったが、そこは姉の一睨みで帰った。
「……それで、何かあるのか?」
「ギン、吸い込め」
すると、俺と織斑千冬の周りにあった残骸がある場所に吸い込まれていく。
『………(ゴクンッ!)ふぅ。ごちそうさま』
その光景を見たブリュンヒルデは唖然としていた。
「な、何なんだ……こいつは……」
「おいギン。お前がピンクボールみたいなことをするから元世界最強が唖然としているじゃねぇか」
『いいじゃねぇか』
「……まぁいいか」
「……説明しろ」
説明を促されるが………
「『トップシークレットですが……何か?』」
そう答えて俺はその場から離れた。だって鬼の形相で鬼がこっちに迫ってくるんだから………。
■■■
『楯無の意識が戻ったそうよ』
「………そうか」
あの後、ギンに憑依させて通常ではありえないような速度を出してなんとか離脱して部屋に駆け込んだ俺は、ベッドで寝ながら少しだけ考え事をしていた。
『彼女が起きたってのに、随分と反応が薄いのね』
「彼女じゃねぇよ」
『………そうね。あなたは彼女を欲しがるなんてしないものね。まだ結華のことを考えているの?』
その質問に俺は頷いた。
「まぁ、兄妹だと言うことに関しては色々と否定したいことがあるけど、それでも俺の過去によってはある意味正しいからな」
『……本音とは、兄妹じゃないと思っているの?』
「双子にしては、俺たちは似すぎていない。むしろ完全な双子じゃないだろうとは思う」
というか、ぶっちゃけ安否が心配なのだ。あれでも一緒に暮らした仲だからな。
『そういえば、後二人いたわね』
「ああ。夜祥と楊香だろ」
夜祥も楊香も、俺の足枷にするために用意されて娼婦だったな。敢えて無視して手を出していなかったが。
『……彼女たちも、生きていると思う?』
「確証はない。だが、結華が生きているんだ。可能性はあるだろう」
というか生きていて欲しいというのが本音だったりする。
『まぁ、確かにあなたの言うとおりね。彼女たちもあるんだし………』
「だな。ちゃんと生きてくれているよな」
俺から言わせてみればどちらも妹的な存在で、結華共々よく世話した間柄だ。とくに夜祥の場合は真面目に洗脳に近いことをされていてそれを解くのに苦労した。まぁ、その報復として基地全体のシステムを落としてバックアップデータのハッキングを行ったんだが。
『……………』
「? どうした?」
『いえ、何でもないわ』
シヴァが何かを考え込んでいた。
「……何を考えているかわからないが、俺の得することだけなら何をやってもいいぞ」
『気にしないで。私は録画し忘れているアニメがないか確認していただけだから』
そうか。期待して損した。
俺は立ち上がってその場から移動し、外に出ようとした。
『どこに行くのかしら?』
「見舞いだよ。巻き込んじまったからな」
それだけ言って外に出たのだが、その時にシヴァ「仲がよろしいようで」というような顔をしていたのが解せなかった。
保健室に移動すると、そこには姉さんと本音がいた。
「気分はどうだ?」
「最悪ね。まさかVTシステムに囚われるなんて思わなかったわ」
まぁ、俺はわかっていたけどね。
「―――全員揃っているか」
保健室に織斑千冬が入ってきた。
「ええ。更識家と重要参考人、揃いました」
「……チッ」
その場から飛ぼうとしてハデスに悪鬼回廊を開かせ、その中に飛び込もうとしたとき、
「どこに行く気かしら?」
何故か姉さんが半分怒っている状態だった。というか、腕を掴んでいるのはいいが、すごく痛い。
「いや。ちょっと宛のない旅にでも―――」
「ダメだよゆーゆー。今からOHANASHIが始まるんだから~」
「本音、お前がキャラ的にそれを言うのはアウトだ!」
くそ! 何で今日に限って姉と妹がこんなに圧倒的なんだよ!
「風宮、私は話がしたいだけだ。後はその三人を好きにして構わん」
「それは教師が言ったらアウトだろ!」
突っ込んでいると腕を取られ、姉妹二人に倒された。
「「ご苦労」」
「いや、ご苦労じゃねぇからなブラコン&シスコン。それと二人とも、胸当たってる。嫁入り前の娘がはしたない」
「………どうせ私は………」
あ、これはヤバいかも。姉さんの傷口に塩だけではなくカラシまで塗った気分だ。
「あー、もうわかったよ。どうせ“下”のことだろ」
俺は姉さんを撫でながらそう言うと、
「ああ。そうだ」
「だったらちょうどいい。出れるか?」
「一応聞くが、どこにだ?」
「屋上」
この時、俺の後ろ―――というか楯無の方から織斑千冬に向けて殺気が放たれた気がするんだが、気のせいだと思いたい。
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