ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第四十三話 説得
「ほら走れ。『デイウォーカー』なら日中でも走れる筈だよ」
「ヒィィィ!!デュランダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇ!!」
「・・・ギャーくん、ニンニクを食べれば健康になれる」
「いやぁぁぁん!!小猫ちゃんが僕をいじめるぅぅぅ!!」
夕日が差し掛かる旧校舎近くでゼノヴィアがデュランダルを振り回しながら、ギャスパーを追いかけていた。何でも『体力作り』のためにギャスパーを走らせているらしい。そして闇慈は・・・
「ちょっと可哀想だけど、甘やかしちゃダメだよね。頑張れ~、ギャスパー」
闇慈は応援することしか出来なった。しかしここで身に覚えのある力が近づいてきた。
「よー、黒衣の死神。魔王眷属の悪魔さん方はここで集まってお遊戯してる訳か」
闇慈に声をかけながら出てきたのは以前、遭遇した『アザゼル』だった。しかし、闇慈は冷静に接した。
「貴方は、アザゼルさん。浴衣で会いにくるなんて、フリーダムですね」
「何だ?警戒しねぇのか?俺はこれでも堕天使の総督なんだぜ?」
「今の貴方からは、敵意が感じられない。それに貴方はコカビエルみたいに悪い堕天使じゃないように思えますから」
「ハッハハッ!お前面白ぇ奴だな!堕天使のボスが現れたら誰だって警戒するのが妥当だぜ?」
「それにサーゼクスさんにも聞いていましたけど、貴方は戦いより、神器の方に興味を持っていると聞いていましたから。そこで一つ聞きたいことがあるんですけど」
「何だ?」
「貴方は神器に詳しいのなら対処方法も分かると思いまして。実は・・・」
闇慈はギャスパーの強すぎるセイクリッド・ギアについてアザゼルに話し、その力を弱めるためにはどうすれば良いのかをアザゼルに話した。
「簡単なこった。余分な力を吸収すれば良いんだよ」
「でも僕のデスサイズ・ヘルは下手をすればギャスパーの身体を傷つけてしまいます」
「もっと良く考えな。お前のダチには『吸収』の能力を持ったセイクリッド・ギアを持った奴は居ねえのかよ?」
「『吸収』・・・はっ!!そうだ!!サジの『アブソーブション・ライン』があった!!」
「ほう。[黒い龍脈『アブソーブション・ライン』]を身に付けている奴がいるのか、あれは五大龍王の一匹、[黒邪の龍王]『プリズン・ドラゴン』、ヴリトラの力を宿している神器だ。見に行ってみるか」
アザゼルがその場を後にしようとすると闇慈はアザゼルに礼を言った。
「ヒントをくれて、ありがとうございます!!」
「感謝されることじゃねえよ。あばよ」
そう言うとアザゼルはイッセーたちの元に向かった。そしてアザゼルが帰った後、闇慈はサジに頼み余分なギャスパーの力を吸収して貰い、力の調節を行った。しかしまだ制御が出来ないのか少し興奮すると力を発動させてしまい、イッセーたちを止めてしまった。
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しかしその後、大きな問題が起こった。一誠とギャスパーが対価を貰うために出かけて行ったが、ギャスパーがまた制御出来ずに時間を止めてしまい、もう嫌になったのか、また引きこもってしまった。
ここで一誠と闇慈がギャスパーの説得に入った。
「・・・怖いか?セイクリッド・ギアと俺たちが」
「まあ、それもそうだよね。いきなり現れてほぼ力ずくで言うことを聞かせていたからね」
『・・・』
「俺には最強のドラゴンの、そして闇慈には死神のセイクリッド・ギアを宿してる。お前みたいにヴァンパイアとか、木場みたいにすごい生き方をしてきた訳でもない、ごく普通の男子生徒だった」
「そして、僕たちは力を使うたびに自分が怖くなって行った。自分が自分じゃなくなるんじゃないのかって・・・。でも、それを受け入れて僕たちは前に進んで行こうと思ってる」
闇慈の囁きにギャスパーが扉越しに口を開いた。
『・・・どうしてですか?もしかしたら、大切な何かを失ってしまうのかもしれないのですよ?イ、イッセー先輩とアンジ先輩はどうしてそんなに・・・前向きになれるんですか?』
この問いかけにまずは一誠が答える。
「そうだな・・・まあ、俺はバカだから難しいことは分かんねえけど。ただ・・・俺は部長の涙を見たくない。俺は・・・もう二度と大切な人を悲しませたくないんだ」
それに闇慈が続ける。
「僕もイッセーと似たようなものだよ。僕は偶然、力が発動してしまってアタフタしていたけど、リアス先輩達は僕のことを温かく迎え入れてくれたんだ。この力は・・・守るために使いたい。心からそう思っているんだ」
闇慈が話していると扉がゆっくりと開き、ギャスパーが覗き見るように出てきた。
「それが、先輩たちに『強さ』なんですか?」
「そうだね。でも君の力も加われば、よりリアス先輩達を守ることが出来ると思う。だから力を貸してくれないかな?ギャスパー」
闇慈の言葉に続けて、一誠が言葉を発した。
「俺の血、飲むか?ドラゴンの血を飲めばセイクリッド・ギアの力を制御できるようになるかもしれないってアザゼルが言っていたからな」
そう言うと一誠は自分の腕を差し出したがギャスパーはこれ首を左右に振り、これを断った。
「僕は直接血を吸うことがとても怖いんです・・・ただでさえ強力な力なのにもし暴走してしまったらと思うと・・・僕は・・・僕は」
「でも俺はお前のセイクリッド・ギアは羨ましいぜ」
その言葉を聴いたギャスパーはハッとイッセーと向き合った。
「だって、時間止めたらやりたい放題じゃないか!!女子のスカートをめくったり~、如何わしいことし放題だぜ!!リアス部長のおっぱいをいじったり~、くぅぅぅ!!ヤバイぜ!!妄想が止まら・・・グベラっ!!」
一誠は妄想が大きくなっていくと同時に顔もエロくなって行った・・・。それをみた闇慈は魔力を込めた拳骨を頭上めがけて振り下ろした。その拍子にイッセーの頭は深く地面にめり込んだ・・・
「何すんだよ、闇慈!!俺じゃなかったら死ん・・・で・・・」
「イッセー・・・少し自重しようか?ここには後輩も居るんだからね?それとも・・・『死』を見てみたいのかな?」
闇慈の顔は笑っていたがそれとは裏腹に黒いオーラが闇慈を纏っていた・・・。
「す、すんません。俺が言い過ぎでした(ガクブル)」
一誠は闇慈の殺気にすぐに地面に顔を埋めて土下座して謝った。そのやり取りにギャスパーは少し可笑しかったのか、笑顔を零した。
「あ!今笑ったね、ギャスパー」
「えっ!?僕、今笑ってましたか!?」
「笑ってたぜ。どうだ?こんな俺たちだが、一緒に頑張っていかねえか?」
「勿論。君の事を決して見捨てたりはしない!!この魂に誓って約束するよ!!」
二人の提案にギャスパーは少し考え、コクンと頷き、同意してくれたのだった。
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