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ハイスクールD×D 紅い神喰狼と赤龍帝

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『赤龍帝の籠手』と『大地を引き裂く狼爪』

~真紅狼side~
あの会話の後、全員帰った。………朱乃以外は、ちゃんと帰っていった。
朱乃は、あの後、ウチで夕飯食っていった。
まぁ、割とよくあることなので気にしないし、おかしいところは何もない。
そして、日曜の休日を穏やかに過ごしていたら、朱乃に呼び出された。
なんでも………イッセーを見守って欲しいの事。


「で…………イッセーはその“アーシア”って子を救う為に飛びだして行ったと?」
「そうなのよ………木場くんと小猫ちゃんもついていったわ」
「………俺、必要か? そのメンバーに?」


俺よりも強い種族ですよ?
俺、人間。
イッセー達、悪魔。
………………必要無くね?
そんなことを思ってると……………………


「真紅狼も結構大概よ」
「その物言いにちょっと傷ついたぞ、リアス。というか、俺はなんで引き摺られてるんでしょうね…………?」


そう、今現在リアスの手によってずるずると引き摺られてるんだ。
………なに? あらすじの意味はあるのかだって? んなもん、ねぇよ。
今更な事、聞くんじゃねぇ。


「…………帰っていいか?」
「まだ言うの?」
「だって、絶対に巻き込まれるじゃないですかーー!! やだーー!!」


すると、朱乃が……………


「じゃあ、真ちゃん。帰ってもいいわよ?」
「ホントか?」
「ええ………「よし、jy………」………でも」
「『でも』……なんだ?」
「でも、こんな遅い時間に美少女二人を危険な場所に行かせたことを、お母様の耳に入っちゃうk………「行きます。行きますので、それだけは止めてください。お願いします」………最初から、そう言えばいいのに」


高速で謝った。
だって、巻き込まれるのとそれ以上に恐ろしいお仕置きなら、巻き込まれた方が億倍マシだ。
そして教会の近くで別れて、俺は静かに教会の中に侵入した。
ちょうどイッセー達が、殺す予定のクソ神父が戦っていた。


『……っっざっけんなぁぁぁ!! クソ悪魔どもが、調子に乗ってんじゃねぇぇぞ!!!!』


イッセーにおもいっきりブン殴られた上、壁に激突していた。
うん、良いパンチ。
立ちあがったクソ神父を取り囲むようにイッセー、木場、搭城と包囲すると懐から閃光弾を取りだして逃げだした。
逃げ足だけは、一人前か。


『よし、早くアーシアを助けに行こう!!』
『うん、イッセー君。でも、その前に…………』


木場はこちらを見て、言い放つ。


『見てないで出てきたらどうだい? 真紅狼くん』
「…………やれやれ、まさかバレるとは。俺もまだまだ気配遮断が甘いな」
「「真紅狼?!/………蒼騎先輩」」
「いや、キミの気配遮断は完璧だったよ。でも、真紅狼くんが教会に入った時に月明かりによって若干ながらも影が見えたからね。それで分かったんだ」
「いやはや、どうやら俺は月の女神に嫌われてるらしい」


まぁ、嫌われるよな。
俺の中に居るモノがモノだからな。


「で、真紅狼くんも助けに来たのかい?」
「んー・・・・・(リアスから、『見守って欲しい』って言われたんだよ)」
「(なるほど………、イッセー君のことだね)」


イッセーに聞こえない様に喋ると、木場はすぐさま内容を把握してくれた。
当の本人は祭壇を退けて、『早く行くぞ』という手招きをしていた。
気楽な奴め。
~真紅狼side out~


~朱乃side~
真ちゃんが教会内に難なく入っていったのを確認した後、裏手の森にいくと………予想通り堕天使の皆さんがやってきた。


「……貴女達の下僕たち、死ぬわよ?」
「それは、ご丁寧に忠告ありがとう。堕天使ミッテルト」


リアスは、丁寧に返事を返す。


「それに、先程人間が一人入っていったが、そやつも死ぬだろうな」


老人の堕天使が続いて呟くが、その言葉を聞いた私達は笑ってしまった。


「「あはははははははははは!」」
「……頭でもイカレたか?」
「いえ、ね。ついおかしかったもんだから、笑いが堪えられなくて……ぷぷ!」
「リアス、笑い過ぎよ。まぁ……でも、真ちゃんがどういう存在なのか分からない人達にとっては、“ただの人間”にしか見えないわね」
「……………なに?」
「簡単に言えば、私達の中でもっとも危険な人物が先程教会内に侵入したのよ」
「………さて、リアス。おしゃべりもここまでにしましょう。喋りに来たわけじゃないですし………」
「そうね。あっちもそろそろ終盤でしょうし………」


私達は“小娘二人如き”と油断している堕天使達の始末を開始した。
~朱乃side out~


~真紅狼side~
地下に通ずる階段を発見した後、俺達は進み、見た物はいかにもって感じの祭壇と敵の数。
はっきり言って、やる気でねぇ。


「この神父共、殺戮オッケーならすぐに終わるんだけど………やっちゃダメ?」
「イッセーくんがアーシアちゃんを救うまでは待ってくれない………かな!」


木場は襲いかかって来る神父と対峙しながら、答える。
しゃーねぇーなぁ………………


「おらっ、イッセー!! さっさとその少女連れて上に上がりやがれ!! 素晴らしい殺戮ショーが出来ねぇじゃねぇか!!」
「さらっと、恐ろしい事言わなかったか!?」


イッセーは少女を抱きながら、こちらに向かって走っている。
その間、イッセーを殺そうと神父共が次々と迫ろうとするが、俺はホルスターから“真紅の執行者”を引き抜いて、その眉間目掛けて撃つ。


ダンッ! ダンッ! ダンッ!


「この悪魔が…………ぁ……!?」
「…………あがががが!!?」
「…………………こ………ぺっ?!」


キミ達、俺が人間だからって無視はいかんよー?
そんなことをする神父たちには鉛玉をプレゼントだ!


「…………真紅狼」
「さっさと行け。…………まだ喋れるうちによ」
「…………悪い!」


イッセーは階段を駆け上がっていく。
それを追いかけようとする神父共、その前に俺は立ち塞がる。


「貴様、そこをどけ!」
「ああ、もうアイツを追い掛けなくてもいいぞ?」
「何を言ってる!? どかなければ、貴様…………「ゴトッ!」…………ごと………は…………レ?」


神父の一人が俺を斬ろうとした瞬間、俺は右手に持っていた短刀で父に嫌というほど染み込まされた“殺人技巧”で首元を一閃。
斬る前にその神父の首が無いまま立ち尽くし、血が噴水のように噴き出る。
今起こった事をまったく読み込めていない神父共と堕天使レイナーレは困惑していた。
実はさー、もう一つ試し切りしたいものがあるんだよねぇ。
初めて神器が発動したその日の夜に、他のも発動出来ねぇかなーと思ってやってたら、発動しちゃってさー。いやー、困った困った。
威力を確かめようにも、良い獲物を探してたら、朱乃に呼び出されたんだよ。


「ほら、喜べよ。はぐれ神父であるアンタ達には、最高の死に場所だろ?」


そう、この場所は捨てられた教会であり、ここは壊した十字架の真下の位置に当たる地下。
コイツ等にとっては最高の死に場所。
だけど、死に方は無残なモノになるけどね!
俺は二つ目の神器を発動させる。


「“大地を引き裂く狼爪”……………発動」


その現象にこの場にいる全員が驚く。


「バカな!?」
「………二つ目の神器………っ!?」
「おかしいぞ、神器は一人一個のハズ………! 同時に二つも持つなぞ尋常な事じゃないぞ?!」


本当は六つだけどね。
まぁ、教える義理はないな、これから死ぬ奴等にはもったいない土産だ。


「真紅狼くん、キミは本当に何者なんだい?」
「“殺人技巧”と銃の扱いに慣れ、魔力の弾幕を張れる“人間”だが?」
「同じ“人間”でも、キミは枠が超えている気がするよ」


失礼な奴め。
すると、上空の方で神器の力を手に入れて恍惚していたアホ堕天使から声が掛かってきた。


「ねぇ、そこの人間さん?」
「あん? なんだ、三流堕天使?」
「さっ………!? ………アナタ、珍しいわね。二つも神器を宿らせることが出来るなんて。どう? 私達の元に来ない? 優遇するわよ?」
「歓迎するなら、もっとマシな話持ってこい、三流………いや、四流ブス女。テメェの腹がバレバレなんだよ、そんな見え見えの話に乗るヤツがいたら見てみたいわっ!」
「………ふふ、ははははは! 下等な人間が調子に乗るんじゃないわよっっ!!」


そう言って、堕天使は急降下攻撃を繰り出してきた。
おそらく人間では反応できないとタカを括ってるのだろう………なら、俺はその傲慢を逆手に取らせてもらう。
俺は爪(エッジ)有りの状態で、クロスカウンターの要領でおもいっきり力を溜めて、タイミングを合わせた。


「しねぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「オラァ!!」


ズパッ!!
パァン………!!


「ぐはっ………?! 全身が切り裂かれた!?」


まず衝撃音よりも何かが切り裂かれる音がしてから乾いた衝撃音が響いた。
衝撃音の方を見てみると、そこには神父共が居て、その半分が真っ二つに切断から細切れ切断としており、壁の方はあまりの威力に壁から崩れてその崩れが天井まで広がり、生き残っていた残りの神父共を襲った。


「………全力は危ないから威力を押さえて使わないとダメだな」
「是非ともそうして貰いたいね。これは恐すぎる」
「………危険」


塔城がボソリと言う。
はいはい、分かってますよ。
そして、堕天使の方を見たら………いなかった。


「アレ? アイツ、ドコ行きやがった?」
「上じゃないかな。天井、穴空いちゃったし」


おいおい、いきなりデートのお誘いを断るとかないわー。
ドタキャンとかやめてよねー。
まぁ、イッセーも奴に“お礼”を言いたいらしいし、アイツに任せるか。
俺達も上に上がることにしようとした時に、魔方陣からリアス達が現れた。


「………ココ、地下のハズよね?」


リアスはいきなり疑問形で訊ねてくる。
俺は逃げようとするが、それを許す筈の無く、いつの間にか朱乃に肩を掴まれていた。


「あら、真ちゃん。ドコに行くのかしら?」
「えーっとぉ………イッセーの所に向かおうと………」
「真ちゃんが逃げずに私達と一緒に行ってくれて、かつこの現状を後で説明してくれたらいいわよ」
「出来れば離してくれるt………「真ちゃん?」………行きます」


朱乃が最近母さんに似てきた。
マズイ、勝てる気しねぇ。
まぁでも、朱乃の胸が腕に当たっているのは役得だし、いいかな。
上はどうなったかなぁ………。
~真紅狼side out~


~イッセーside~
どうしてだ?
どうして、アーシアが死ななくちゃならない?
彼女が何をやった?
彼女は何もしていないだろう?


「…………まったく化物ね! あの人間は…………あら、そんなところで懺悔でもしてるの?」
「………………………………」
「見なさい、この光を」


手をかざすと淡い緑の光がレイナーレの裂けた傷を治癒していた。


「この傷は先程の人間が付けた傷なのだけど…………元通りよ」
「…………返せよ」


俺はアーシアを一度見た後、おもいっきり叫んだ。


「アーシアを返せよォォォォォォォォォ!!!!」
『Dragon Booster!!』


そこから俺は狙いを定めて殴ろうとしたが、レイナーレは華麗に避けた。
その後、なんかしらとくっちゃべっていたが、その間に籠手から『Boost!!!』という声が三回聞こえた。
そして…………


ズシュッ………!


「がぁあああああああ!!」
「痛いでしょう? 悪魔にとって光の槍は猛毒。槍を引き抜いても体の中に入った光が浸透してアナタを殺すわ。…………まぁ、よく持ったわね」


くそ、めちゃくちゃ痛ぇよ。
でも、俺は決めたんだ!
だから、立ち上がれよ、俺の体!!
だが、俺の体は立ち上がらなかった。もしかしてこれはヤバイか………?


「……こういう時、神様に頼みたいが神様は願いを断ったから、魔王様に頼めばいいんだろうな………」
「アナタ、頭大丈夫?」
「なぁ、魔王様。目の前のクソ堕天使をブン殴るために一度だけ、一度だけ俺に力をください。立って、コイツをブッ飛ばせるほどの!!」
「遂に頭がおかしくなっちゃったのね、安心して今すぐ消してあげるわ!!」
「なぁ、俺の神器さんよ。コイツをブッ飛ばせるほどの力を溜めこんであるんだろう? なら、トドメとシャレこもうぜ」
『Explosion!!』


その一声だけ、凄く力強く感じた後、俺の体に変化が生じた。
力が………凄まじい力が体の底からわき上がってきた。
だが、直後分かった事があった。
これは、一発が限界だと言う事が分かった。
俺の魔力の波動に怯えて、レイナーレは逃げようとしたので、脚を掴んで逃がさない様にした後、顔面目掛けて渾身の一撃を繰り出した。


「ぶっ飛べ、クソ堕天使!!」
「おのれぇぇぇぇぇ、下級悪魔がぁぁぁぁぁ!!」
「おりゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ゴッ!!


レイナーレは教会の壁に激突し、そのまま勢い余って壁を突き破り外に吹き飛ばされた。
死んではいないが、おそらく起きあがってこないだろう。
一矢は報いたが、彼女は帰ってこない。
すぐに涙が溢れた。


「よぉ、イッセー」
「真紅狼か………部長達と一緒だったのか?」
「まぁな。一撃は………………叩きこめたようだな」
「さすが、私の下僕ね。勝つと信じてたわ」
「部長、俺……………」
「…………赤い龍。なるほど、これがイッセーが堕天使に勝てた最大の理由ね」


部長は一人で納得されていた。
というか、小猫ちゃんはドコに?


「部長、持ってきました」


小猫ちゃんはレイナーレをここまで引っ張って来たらしい。
“持ってきた”って…………


「朱乃、起こしてちょうだい」
「はい」


朱乃さんは、手を上にかざすと魔力で出来た水がレイナーレの顔にかかり、咽ながら目を覚ました。


「…………グレモリー家の娘か」
「グレモリー家次期当主のリアス・グレモリーよ。短い時間だけど、お見知り置きよ」
「…………眠い。帰っていいか? 明日の襲撃に備えたいんだが………」
「………真紅狼、何時も貴方何時に寝ているのよ?」
「23時には就寝してるよ。毎朝早くてな、久しぶりだよ、こんな時間まで起きてるのは」
「もう少し待ってちょうだい。すぐ終わるから。さて、堕天使レイナーレ。お仲間を待っていても来ないわよ? 私が消し飛ばしたから」
「嘘よ!」


すると、部長は手のひらから黒い羽根を数枚降らせる。
その羽根を見たレイナーレは表情を曇らせる。


「貴方が負けた要因は、この子の神器を間違えた事。―――――ブーステッド・ギアは貴方もご存じでしょう?」


その単語を聞いた瞬間、レイナーレは驚愕した後、こちらを見てくる。


「………ねぇ、真紅狼。貴方の神器ってイメージ元はなに?」
「………狼だが?」
「………狼の神器なんてあったかしら?」


そう言えば、真紅狼の神器の名前にも“狼”の名が入っていたな。


「まぁ、そのことは置いといて、消えてもらいましょうか」


部長は立ち上がる。
その瞬間を狙って、月明かりが入って来る壊れた壁の上にフリードが出現した。


「俺、参上!」
「わ、私を助けなさい!! 助ければ、褒美を…………!!」


必死にフリードに助けを求めるが、フリードはその願いをけっ飛ばし、こちらを見てきた。


「イッセーくん、キミは絶対に殺すから、よろしく♪ それと、真ちゃん。キミにフォーリンラブ、今度会ったら容赦なくぶち殺すから」
「上等だ。解体しつくしてやるよ、ド三流」
「それじゃ、皆、歯ぁ磨けよ。バーイ!」


軽口を叩きあってからフリードは再び消えた。
部下にも見捨てられたレイナーレの足掻きは惨めなもので、あまつさえ俺に“天野夕麻”の声で助けを乞うてきたのだ。


「……………グッバイ、俺の初恋。部長、頼みます」
「私の可愛い下僕に這い寄るな、消し飛べ」


消し飛んだ後、その空中に舞ったのは黒い羽根だった。
~イッセーside out~


その後、アーシアも蘇って………『これで終わりかな』と思ったのは間違いだった。 
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