八条学園怪異譚
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第六話 海軍軍人その七
「それぞれの学科にもだ」
「七不思議があるんですか」
「そしてそうした存在それぞれと交友がある」
日下部は真剣に話していく。
「この学園は果たしてどれだけ幽霊や妖怪がいるかというと」
「わからないですjか」
「学園全体で百はいるだろう」
「百って」
「この高等部にしても色々な学科があるな」
「はい、あります」
愛実もそれはよくわかる。彼女と聖花がいる商業科の他にも今いる水産科に普通科、工業科に看護科とそれぞれある。尚生徒が最も多いのは普通科である。
「その学科それぞれにですか」
「あるというかいる」
「ううん、じゃあ私達の商業科も」
「勿論ある」
日下部ははっきりと答えた。
「七不思議はな」
「それで水産科の七不思議ですか」
「そのうちの一つが私だ」
そのことをはっきりと認識している言葉だった。
「夜に校舎の中をは徘徊する海軍軍人だ」
「それが日下部さんですか」
「その通りだ。それでだが」
「それで?」
「まだ聞きたいことはあるだろうか」
日下部は腕を組んだまま愛実と聖花に問うた。
「話せることなら話そう」
「ううんと。何かある?」
「どうかしら」
愛実は日下部に言われて聖花と顔を見合わせた。そのうえで二人でこう話した。
「結局あれよね。ちょっとね」
「学園全体、高等部でどれだけの怪談があるのか」
「どんな怪談があるかね」
「ちょっと気になるよね」
そうした話をしてだった。二人は日下部に向き直ってこう尋ねた。
「具体的に何処にどういう怪談があるのか」
「そのことはわかりますか?」
「そのことを知りたいなって思いますけれど」
「よかったら」
「そうだな。それではな」
ここまで話してそして言うのだった。
商業科やこの水産科、そして学園全体にある怪談のことを話した。二人はその全てのメモを取ってから日下部に言った。
「有り難うございます。それにしてもですね」
「物凄く多いですね」
「こんなに怪談がある学校ってちょっと」
「他にないんじゃ」
「そうだな。ないだろうな」
実際にそうだろうと言う日下部だった。
「何しろ大きな学園だからな」
「大きいだけに怪談が多いんですね」
「そういうことなんですね」
「そうなのだ。幽霊だけでなくだ」
それだけでないことは何度も話される。
「妖怪もいる。本当に色々だ」
「みたいですね。結構学園の定番も多いですけれど」
「そうじゃなさそうなのもいますね」
「普通j科の動くマネキンとか」
「工業科の十二時の合わせ鏡とか」
「色々ありますね」
「オーソドックスなのも」
そういうものも確かに多かった。だがその他にも色々ありその中にはこうしたものもあったのである。
「何か。ガジュマルの木のキジムナーとか」
「変わったのもいますね」
「ガジュマルの木は知っているな」
「ええ、あの小川の脇の」
「あの木ですよね」
丁度二人がここに忍び込む時に通ったところだ。
「あそこの噂も本当だったんですか」
「出たんですか」
「気のいい連中だ」
日下部はこう二人に話した。
「よからぬ者達を学校に寄せ付けないしな」
「ううん、そうなんですか」
「噂通りなんですね」
「他には河童や雪女もいるがな」
そうした妖怪もいるというのだ。
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