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八条学園怪異譚

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第四話 ターニングポイントその四


 その2ちゃんねるのことを聞いてだ。愛実はこんなことも言った。
「あまりいいサイトじゃないの?ここは」
「あっ、ここはただ噂話ね。そういう話ばかりだから」
「人の話を書くのは駄目なのよ」
 それはだというのだ。
「怪談とかそういうのだけ書くの」
「そうしたサイトよ」
「うちの学校にも怪談とかあるのね」 
 学校では付きもののそうした噂話について書き込まれるサイトだというのだ。愛実はそう聞いて目をしばたかせてから言った。
「そうなのね」
「まあ。何処の学校にもあるけれどね」
「特にうちの学校大きいからね」
「七不思議どころじゃないわよ」
「幾つあるかわからない位よ」
「あれ?生物教室の人体模型が動くとか」
 学校の怪談の定番である。
「そういうの?」
「それもあるわよ」
「あと職員室の前の大鏡の前に十二時に立つと自分の死ぬ時の顔が出るとかね」
 これもまた噂話の定番だった。
「他にも一杯あるから」
「兵隊さんとか出たり」
「兵隊さんって」
 これは愛実には訳がわからなかった。何故学校に軍人が関係あるかだ。
 それがどうしてもわからずだ。こう言うのだった。
「どうして兵隊さんが出て来るの?学校なのに」
「戦争中この学校の一部が軍の施設になっていたらしいのよ」
「それでなのよ」
 そのせいだというのだ。
「それで。若い兵隊さんが事故で死んだとかで」
「それでその人の幽霊が出るらしいのよ」
「ううん、そうなの」 
 話を聞いてだ。愛実は事情はわかったがそれでもぴんとくるものがなくそれでクラスメイト達にこう言ったのだった。
「そんなことがあるの」
「そう。学校の真夜中に兵隊さんが出てね」
「校舎の中を歩き回るらしいわ」
「それってかなり怖くない?」
 愛実は顔を曇らせてクラスメイト達に述べる。
「真夜中に兵隊さんの亡霊って」
「噂だけれどね。あくまで」
「本当に出るかどうかはわからないわよ」
「そうなの。本当かしら」
 愛実はここでこう考えた。そしてこれが全てのはじまりだった。
 ここでだ。愛実はこう言ったのだった。半分自然と出た言葉だった。
「それじゃあ確かめてみようかしら」
「愛実ちゃんが?」
「実際に確かめてみるの?」
「幽霊とかそういうのってあまり信じていないけれど」
 怪訝な顔での言葉だった。
「それでも。本当にいるのならね」
「その目で確かめるのね」
「そうするのね」
「うん、そうするから」
 だからだというのだ。
「今日にでもね」
「あっ、一応気をつけてね」
「幽霊っていっても色々だから」
 クラスメイト達は愛実が実際にその目で兵隊の幽霊を確かめようと言ったところでだ。注意する顔にあって忠告した。
「悪霊とか怨霊とかいるじゃない」
「地縛霊とかね」
「地縛霊・・・・・・」
 この言葉は愛実も聞いていた。死んでも尚怨念だけが残りその場所に留まり祟りを為す霊のことである。 
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