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八条学園怪異譚

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第三話 聖花の人気その三


「そこで開くから」
「あそこお料理安いし美味しいし」
「そうなのよね。美味しいのよね」
「居酒屋もやってるからね」
 その店はビルに入っていてその上に居酒屋もあるのだ。その居酒屋は同じ経営者なのだ。家族で経営しているのだ。
「だから味もいいのよ」
「飲み放題だしね」
「一時間辺りの利用料金も安いから」
 いいこと尽くめの店であった。客にとっては。
「いいお店よね」
「かなりね。ただね」
「そうそう。お店の人がね」
 二人はその店の話題の中で少し苦笑いになった。そのうえで話すことは。
「横浜ファンだからね」
「チームの試合状況カウンターの後ろに実況で貼ってて」
「ベイスターズのグッズもあって」
 かなりの横浜ファンであるのだ。その店員は。
 それでだ。聖花は少し苦笑いになってこんなことを言った。
「もう凄いからね」
「あれで横浜がね。少しだけでいいから」
「強かったらいいのにね」
「あのお任せメニューはちょっとね」
「あれ頼んだことある?」
「ないわ。だって大抵地雷になるから」
 だから注文しないとだ。愛実は言う。
「あれはね」
「そうよね。ベイスターズが勝ったら凄いのが出て来るけれど」
「負けたらとんでもないのが出て来るからね」
 その店員の機嫌次第だというのだ。全ては。
「ビールにカレーとかね」
「カレーはいいけれど」
 それでもだとだ。聖花も言う。
「ビールとはね」
「お酒とカレーの組み合わせはね」
 それはだった。
「絶対に合わないわよね」
「どう考えてもね」
「他にはウォッカの時に野菜スティックとか」
 その組み合わせも横浜が負けた時には出るというのだ。
「どうしようもないのが出るからね」
「ベイスターズ勝つことって滅多にないし」
 最下位の常連だ。かつての阪神の様に。
「今年は遂に百敗かしら」
「可能性あるわよね」
「毎年戦力抜けてるし」
 巨人の強奪も関係ある。これがマスコミの実態であり戦後日本はマスコミの絶対の権力によって壟断されてきたのだ。
「今年もね」
「そうね。今年もね」
 こうした話もするのだった。
「最下位よね」
「そのお陰で阪神は最下位にはならないけれど」
 このことは確かだった。下がいるからだ。
「けれどね」
「お店のメニューにも関係するから」
 これが問題だった。この場合は。
「あの店員さん横浜好き過ぎるからね」
「それが影響するのがちょっとね」
「小柄だけれど美人さんで丁寧な応対もしてくれるけれど」
「それでもちょっとね」
「どうしたものかしら」
 二人は野球の話もした。そしてだった。
 そのスタープラチナに二人で向かい店の中に入った。店のエレベーターから出てそこにあるカウンターを見るとだ。そこのスコアボードでは。
 今日も負けていた。しかもだった。
 聖花はその点数を見てだ。愛実にこっそりと話した。
「また今日は特にね」
「酷いわよね」
「ちょっとね。十七対一って」
「ないわよね」
 二人で話す。横浜のあまりの不甲斐なさに。 
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