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八条学園怪異譚

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第三話 聖花の人気その一


                  第三話  聖花の人気
 入学してすぐにだ。かるた部の部活においてだ。
 先輩達が愛実に対してだ。こんなことを言ってきた。
「ねえ、森本さんって林田さんの幼馴染みよね」
「幼稚園からのお友達よね」
「はい、そうです」
 先輩達に問われるまますぐにだ。愛実は先輩達に答えた。
「今も同じクラスですけれど」
「そうよね。だったらね」
「ちょっとお願いできるかしら」
 今彼女達は部活の終わりに部室にいる。後片付けと掃除も終わって帰ろうというところでだ。愛実は先輩達に呼び止められたのだ。丁度聖花を追おうとしたところで。
「実はうちのクラスの男子でね」
「林田さんを見てね」
「聖花ちゃんを見てですか?」
「そうなの。それでなの」
「聖花ちゃんが気になってるのよ」
「告白ですか?」
 愛実はすぐにそう察して先輩達に言葉を返した。
「若しかして」
「あっ、そこまでいかないから」
「そういうのじゃないから」
 先輩達はそのことはすぐに否定した。そのうえで愛実に言うのだった。
「ただね。林田さんと会いたいって」
「そう言ってるのよ」
「そうなんですか」
「そいつ結構内気なのよ」
「男ならがつんといけって思うけれどね」
 先輩達は笑って話す。どうやらその男子生徒の先輩はこの先輩達と結構親しいらしいとだ、愛実は話を聞いていて内心思った。
「だからね」
「森本さんから林田さんに伝えてくれる?」
「会いたい人がいるってね」
「二人きりじゃないから」
「あっ、二人でお会いするんじゃないんですか」
「合コンよ、合コン」
「それしたいっていうの」
 先輩達は愛実に笑ってこう話す。
「そいつ美術部だからね」
「美術部とかるた部の合コンなの」
「それに林田さんもどうかってね」
「そういうことなのよ」
「合コンですか」
 ここまで聞いてだ。愛実も話の全貌を把握した。そしてだった。
「聖花ちゃんをそれに」
「そうよ。じゃあね」
「林田さんにお願いね」
「わかりました。伝えておきますね」
 愛実がこう答えるとだ。思い出した様にだ。
 先輩達は彼女にだ。こう言ったのだった。
「そうそう、森本さんも来る?」
「合コンにね」
「どうするの?一緒に来る?」
「そうする?」
「私もですか」
 思い出した様な誘いにだ。愛実はというと。
 残念に思いながらだ。こう答えたのだった。
「じゃあ」
「ええ、それでいいわよね」
「かるた部の新入生は全員誘おうとも思ってるから」
「向こうも新入生全部呼ぶかも知れないし」
「それでね」
 愛実もだというのだ。
「じゃあそれでいいわね」
「森本さんも一緒にね」
「わかりました」
 愛実は小さく頷いた。そうしてだ。
 次の日一緒に登校する聖花にこのことを話した。聖花はそれを聞いてすぐに明るい、朝日に負けないまでの明るさで言ったのだった。
「合コンってはじめてだけれど」
「行くの?どうするの?」
「何か面白そうね」
 これが聖花の返答だった。 
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