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八条学園怪異譚

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第十二話 首なし馬その四


 愛実は聖花の右隣に来てからカツカレー定食を受け取ってからこう彼女に言った。
「今日はどうしてうちに来たの?」
「うん、実はね」
 二人はいただきますをしてから話に入る。
「ちょっと面白いお話を聞いてね」
「面白い?」
「そう、正確には見たけれど」
 そうしたものだというのだ。
「ただ。今ここで携帯出すのはね」
「そうね。食べてるからね」
「詳しいお話は後にしていい?」
「まずはこれを食べてからね」
「そう、そうしようね」
「そうね。それじゃあ」
 愛実は聖花の言葉に笑顔で頷いた。そしてだった。
 今は二人で仲良くカツカレー定食を食べた。勿論サラダとスープも忘れない。それを全て食べてからだった。
 二人で愛実の部屋に入る、愛実はちゃぶ台を囲む聖花にまずはこう切り出した、お茶も出したがそれは玄米茶だ。
「それでお話って?」
「うん、あのこと」
「怪談のこと?」
「そうなの。うちの高校乗馬部もあるじゃない」
「あれ凄いわよね」 
 このことには愛実も最初聞いて実際に驚いた。そしてその目で見て余計に驚いたのである。
「まさかって思ったけれど」
「そうよね。農学科が大学からお馬さん借りてね」
「馬に乗れる高校ってないわよね」
「北海道の方の農業科はあるみたいだけれどね」
「それでもまさか本州であるなんて」
 愛実はその乗馬部のことを真剣な面持ちで話していく。
「凄いわよね」
「うん、滅多にないと思うわ」
「大学の農学部から借りてるけれど」
 これは八条大学乗馬部も同じだ。この大学の農学部は牧場まで持っていてそれがかなりの規模だからできているのだ。
 それで高等部にも乗馬部があり愛実も言うのだ。
「凄い高校よね」
「愛実ちゃんお馬さん好き?」
「馬刺し?」
 愛実は本気で聖花にこう返した。
「それ?」
「いや、そこで馬刺しはないんじゃ」
「けれど美味しいわよ」
「私も馬刺しは好きだけれどね」
「何故か広島で結構食べるのよね」
「そうそう、江田島でね」
 海軍ゆかりの島だがそこにある居酒屋では馬刺しがメニューにあることが多いのだ。
「そこで結構食べられるのよね」
「そうなのよね」
「ただ。馬刺しの話じゃないから」
 聖花はそこはしっかりと言った。
「というか愛実ちゃん乗馬しながら馬刺しのこと考えるの?」
「聖花ちゃん豚さん見てトンカツとか考えない?」
「そんなの考えないわよ」
「そう?私は考えるけれど」
 愛実はここでも真面目な顔で聖花に答える。カツカレーのカツはトンカツでそれをルー、御飯と食べながらそうしている。
「違うの?」
「違うでしょ」
 聖花もカツカレーのカツを食べながら真面目な顔で答える。
「やっぱり」
「そう?豚さんの何処をカツにするかとか生姜焼きにするかとか」
「食堂の食べ物なの」
「だって私のお家食堂だから」
 二人はその食堂で食べている。
「だからね」
「それでなの」
「自然にそう思うけれど」
「じゃあ鶏さんだと」
「親子丼とか唐揚げとか?」
「それになるのね」
「牛さんだと焼肉定食ね」
 どちらにしても食堂のメニューだった。 
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