八条学園怪異譚
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第十話 大学の博士その七
博士の席の周りに大勢出て来たがその彼等はというと。
「やあ、暫くだね」
「この前は楽しかったね」
「元気そうで何よりだよ」
「どう?学園生活楽しい?」
その工業科の屋上にいた面々だった。夜の十二時に宴会をしていた彼等は二人の姿を見つけて陽気に声をかけてきた。
「まさか今日ここで会うなんてね」
「ちょっと思わなかったね」
「どうして博士のところに来たの?」
「何かあったの?」
「うん、ちょっとね」
「博士に聞きたいことがあって来たけれど」
二人はその妖怪達に述べる。
「まさか皆いるなんて」
「思わなかったわ」
「ちょっと考えてね」
それでだというのだ。
「この学園の妖怪とか幽霊のことが気になって」
「色々聞きたいって思ってね」
「それで博士のところに来たんだけれど」
「皆いるなんて」
「僕達は博士の友達なんだ」
ここでこう二人に言ったのはから傘だった。
「それでよくここで遊んでるんだ」
「お菓子食べたり甘いジュースを飲んだりしてね」
「お酒を楽しむ時もあるよ」
「ここにはよくいるよ」
「ううん、博士って妖怪の人達とお友達だったの」
「これはちょっと」
二人はその妖怪達を見て少し考える顔で述べた。
「思わなかったけれど」
「考えてみれば同じ学園だからね」
高等部と大学の違いがあるが行き来出来ない距離ではない。だから考えてみればこれも有り得ることだった。
それで愛実と聖花は納得してこうお互いに話した。
「普通にあるわよね」
「それもね」
「それにしても博士って一体」
「どういう人なのかしら」
「妖怪と知り合ったのは縁じゃ」
その博士が二人に語る。
「妖怪や幽霊について調べているとじゃ」
「それで、ですか」
「この人達と知り合ったんですか」
「気付いたら周りにおった」
妖怪達が来ていたというのだ。
「いや、中々楽しくて面白い連中じゃよ」
「いい人達ですよね」
「そうですよね」
「そうじゃ。面白い連中じゃ」
博士も笑顔で博士に応える。
「わしもよく一緒に楽しんでおるぞ」
「ううん、何ていうか」
「凄い話なんですけれど」
「ほのぼのしてるっていうか」
「そうなんですけれど」
「日本の妖怪は色々おってな」
実際に日本の妖怪はかなりの種類がいる。今この研究室にいる妖怪達にしても様々な種類がいる。
「楽しい、気のいい妖怪達が多いのじゃ」
「それでなんですか」
「こうして楽しくお友達として交際しているんですね」
「ううん、何ていうか」
「妙に納得できるっていうか」
「日本の妖怪はそういうものじゃ」
博士はショートカットに眼鏡のやけに奇麗な女性から茶を受け取り口にする。二人はその美女を見て少し驚いた顔になって言った。
「えっ、凄い美人さんですけれど」
「何やってる人ですか?」
「まさか博士の秘書とか助手とか」
「そういう人ですか?」
見ればスタイルもかなりいい。ズボンとスーツだがそれが余計にスタイルのよさ、とりわけ脚の長さを見せている。
その美人を見てそれで言う二人だった。
「こんな美人さんが側にいるって」
「何か凄いですよ」
「ああ、この娘じゃが」
博士はその茶を差し出してきた美女に顔を向けてその上で二人に話した。
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