八条学園怪異譚
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第七話 魚の目その十一
「この学園の生徒達でだ」
「そうみたいだね。制服着てるしね」
「高校生かな、二人共」
「どっちの娘も可愛いね」
「この学園っていい娘多いね」
「それはそうとしてだ」
ここでまた言う日下部だった。キジムナー達に。
「君達にこの娘達を紹介したいが」
「うん、悪い娘達じゃないみたいだね」
「二人共いい目をしてるよね」
またガジュマルの木から声がしてきた。二人からは相手は見えないがその相手からは二人が見えるらしい。
「ただ可愛いだけじゃないね」
「いい娘だよね」
「うむ。いい娘達だ」
それはその通りだと日下部も答える。
「だから君達にも紹介するのだ」
「そうなんだ。じゃあさ」
「その娘達も僕達の友達になってくれるんだね」
「他の子達みたいにね」
「そうなってくれるんだね」
「?まさか」
愛実はキジムナー達の今の言葉からあることに気付いた。その気付いたことは何かというと。
「私達以外にもキジムナーさん達を知ってる人いるのかしら」
「そうみたいね」
愛実に聖花も応える。
「何かね」
「それって誰かしら」
「私達だけじゃないってしたら」
「博士とかね。大学の」
この博士という言葉で二人もすぐにわかった。それは誰かだ。
「あの博士に牧村さんね」
「八条大学の学生さんの」
「それに日下部さんにこの学園の皆」
「人間の知り合いもちゃんといるよ」
「そうだったの」
聖花は妖怪達の話を聞いて述べた。
「そういう意味でなの」
「そうだよ。幽霊とか生きてる人とか妖怪とかね」
「この学園で僕達を知ってる人って結構いるよ」
キジムナー達もこう聖花に答える。
「もっとも生きてる人で僕達の知り合いは少ないけれど」
「博士とか牧村さん位かな」
「高等部ではいないよね」
「そうそう」
「それでだが」
日下部はキジムナー達の話が落ち着いたと見てまた言ってきた。
「この娘達と話をしてみるか」
「もうしてるけれどね」
「お友達になるかどうかだよね」
「そういうことだよね」
「そうだ」
まさにその通りだというのだ。
「それはどうだろうか」
「うん、いいよ」
快諾の返事が最初にきた。
「お友達は多い方がいいしね」
「それじゃあ是非にね」
「お友達になってくれるかな」
「お願いします」
「こちらこそ」
「それじゃあね」
こうした話になるとすぐにだった。そのガジュマルの木から何かが次々と跳んで出て来た。それは丸く小さいシルエットだった。
ボール位の大きさで丸い毛玉の様な外見だった。そこに丸い目に小さな口と鼻、小さな手足が生えている。それがだった。
「この妖怪さん達がキジムナー」
「そうなのね」
愛実と聖花はその彼等を見て言う。
「何か可愛い外見だけれど」
「ボールみたいな」
「僕達はこんな外見でね」
「別の姿にもなれるんだよ」
「別の姿って?」
「どんな格好なの?」
二人は妖怪達の言葉に目をいばたかせながら問い返した。
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