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八条学園怪異譚

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第七話 魚の目その三


「カツとかコロッケとかフライとか」
「ここでもコロッケなのね」
「後はハンバーグとか生姜焼きとか」
「定食の定番ね」
「やっぱり定食って人気があるのね」
「コンスタントにね。バランスがいいから」
 御飯におかず、そこに付け合せのキャベツの千切りや漬物、そして味噌汁だ。その配置のバランスは確かにいい。
「値段もボリュームもお昼に手頃だし」
「というかお昼の為に考えられた感じよね」
「そうよね。確かに」
 言われて頷く愛実だった。
「それはね」
「そうよね。お昼はやっぱり」
「定食だけれど」
「パン屋でもね。お昼は」
「パン屋さんのお昼の定番っていうと」
「これといってないけれどアンパンとかジャムパンとか」 
 そうしたパン屋での定番の名前が出る。
「チョコロールとかがね」
「よく売れるのね」
「で、飲むものは牛乳か果物のジュース」
「その組み合わせいいわね」
 愛実は聖花からパン屋のお昼の組み合わせを聞いて言った。
「朝と変わらない感じだけれど」
「言ってしまえばそうだけれどね」
「それでもなのね」
「ええ。お昼はそんな感じなの」
「量は違うわよね」
「皆お昼の方によく買ってくれるわ」
 その辺りはそうなるというのだ。
「お昼が一番売れるわ。うちの学校の大学生の人達もよく来てくれるし」
「八条大学ね」
「一番人気がカツサンド」 
 それだとだ。聖花は笑顔で話す。
「それよ」
「カツサンドね」
「ハンバーグサンドとかも人気だけれどね」
「あとハムサンドよね」
「そうそう、それね」
 そちらが人気あるというのだ。
「そういうのが人気あるのよ」
「そうなのね。カツサンドが特になの」
「本当に今度一緒に作ってみよう」
 聖花はにこりと笑ってこう愛実に提案した。
「是非共ね」
「そうね。今度ね」
「あと日下部さんがお話してた」
「カレーは最近勉強してるけれど」
「カツカレーとかはどう?」
「ああ、あれね」
 愛実も聖花の言葉に目を動かした。この料理もまた食堂の定番の一つであるからだ。
「あれも人気あるのよね」
「カツにそれに」
「カレーだからね」
 人気メニューの組み合わせだからだ。カツとカレーの。
「コンスタントに売れるわよ」
「やっぱりそうなのね」
「ただね。お年寄りのお客さんがね」
「脂っこいとか?」
「違うの。カツカレーが出来た理由が好きじゃないっていうのよ」
「カツカレーが出来た理由って?」
「あれね。洋食じゃない」
 愛実は話を聞いて怪訝な顔になった聖花に話した。そのカツカレーが料理として誕生した話のことをだ。
「カツとカレーの」
「一緒になった理由?」
「巨人絡みなのよ」
「えっ、あそこ!?」
 愛実は巨人の話をするにあたって顔を曇らせたが話を聞く聖花はその顔を顰めさせる。表情は違うが嫌悪を見せていることは同じだ。
「あのチーム絡み!?」
「セカンドだった千葉茂がね」
「何か凄い昔ね」
 長嶋茂雄の前の背番号三だ。猛牛と言われ攻守に渡って活躍した。 
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