ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
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本編
プロローグ
思えば、何をやっても中途半端な人生だったと思う。
苦しさに痛む胸を押さえながら、ふと……そんな事を思った。
ただ漠然と分かる事は、自分の人生がもう終るという事だ。
今までの人生で、体験したことが頭の中で高速で再生される。何故かずっと昔に忘れてしまった事まで、鮮明に頭の中で流れていく。これが走馬灯って奴かな?等と思い笑ってしまった。
口数が少ないけど、俺を愛してくれた父と母。
子供の頃に、入り浸っていた近所の鍛冶屋。
時に厳しく、時に優しく接してくれた剣の師匠や兄弟子達。
時々、趣味の体験旅行に付き合ってくれた友人達。
趣味で執筆した小説を、ボロクソ言いながらも感想をくれた友人。
ゲームの事で、よく語り合った親友。
失業後も、よく連絡をくれた元同僚。
彼女は、……居た事ないです。(やめよう。涙が出て来る)
人見知りが激しく、友人こそ少なかったものの、中途半端なりに恵まれた人生だったと思う。
多分、心臓麻痺かな~。などと、まるで他人事のように思いながら倒れる。
意識が薄れていく…………
妙に眠い…………
それなのに孤独感だけがくっきりと大きく…………
これが…………
……死か。
ふと気付くと男は暗い場所にいた。暗いが全く何も見えないと言う程では無い。目の前には、大きな河のようなものが見える。その中に大きな門のようなものまで確認できた。幻想的なのに、どこか畏怖を感じる門だ。
「ここは……?」
見慣れない場所に、つい疑問が口から漏れ出る。
「ここは、冥き途」
「……っ!?」
答えてくれる相手が居るとは、微塵も思ってもみなかったので驚いてしまった。あわてて声がした方に振り向くと……。
「ひっ……!?」
男の口から情けない声が漏れ出て、へたり込んでしまった。だが、それも仕方がないだろう。目の前に化け物が居るのだから。化け物は頭が三つある巨大な犬だった。こいつがその気になれば、人間を楽にひと飲みに出来るだろう大きさがある。
本能的に逃げ出したいと思っていても、男は体がすくんでしまって動けない。
「……ケルちゃんが怖いの?」
明らかにパニックを起こしかけていたが、その一言でまるで水をかけられたように冷静になる。見ると化け物(たしか、ケルベロスだったか)に、金髪の少女が跨っていた。よく見るとケルベロスの目にも、理性の光がある。
(怖がるのは失礼だったか?)
「えっと……君は?」
「ん……ナベリウス」
冷静さを幾分取り戻したが、状況の方はサッパリつかめず漠然と問いかけてしまった。返ってきた答えは、おそらく名前だろう。
(ナベリウス? ……ソロモン72柱のか? って事は、魔神ですか? この少女が? いや、この少女(魔神?)がその気ならとっくに襲われてる。落ち着いて対処すれば大丈夫だ)
少女(魔神?)の答えに、せっかく取り戻した冷静さを再び手放しかけたが、男は自分に言い聞かせ持ち直す。
「見回り終わったわ」
そんな時、新しい声がその場に響いた。男が声の方を向くと、禍々しい槍がふよふよと浮遊しながら此方に飛んで来た。再び絶句している男を余所に、槍?とナベリウスが何か話している。よく見ると、槍を持った半透明な少女が見え隠れしていた。
(幽霊? この子は幽霊なのか?)
ナベリウスと幽霊が、「異常無し」等の話が終ると二人?が男の方を向いた。
「これは何?」
幽霊がナベリウスに問いかける。
「分からない」
「そう……、なら聞いてみた方が早い。あなたは何者ですか?」
幽霊が男に問いかける。男は本能的に“ここは素直に答えた方が良さそうな気がする”と感じた。そしてそれは正解と言える。ナベリウスはその場しのぎの嘘が通じる程甘くない。
「えっと、……多分死者だと思う。名前は……ってあれ? 思い出せない。他は、思い出せるのに……。なんで、名前だけが」
「そう、名前を失っているのね。でも、危険は……無さそうね」
自分の名前を思い出せず焦っている男に、幽霊少女が槍を消して近づく。男の警戒心を少しでも和らげるためだろう。そしてそのまま男の額に右手を当て、目を瞑り意識を集中した。
……そして、次の瞬間目を見開いた。
「おかしい」
「なにが?」
幽霊少女の言葉に、問い返したのは男ではなくナベリウスだった。
「肉体とのリンクが、完全に途絶えてしまっているから、死者なのは間違いない。でも、魂が僅かだけど欠けてる。本来ならそこから力が抜けて、消滅してしまうはずなのに。これで意識が有る上に、記憶も有るなんてありえない。……何か、強力な加護でも受けているのかしら」
「どう言う事だ? 幽霊さん。出来れば説明して欲しいんだが」
「ム……。私は、リタ。……リタ・セミフよ」
男が問い返すが、幽霊さん発言がお気に召さなかったようだ。少し不満そうな顔をしている。しかし名乗っていなかったので、ここは流してもらえる様だ。“失敗した”と内心焦っていた男にとって、ありがたい話である。
「あなたは、肉体との繋がりが完全に途絶えているから、死者なのは間違いないわ。でも、魂が欠けてしまっているのに魂が維持できている。それは本来ならあり得ない事。例えるなら……水で満たされたコップの底に穴を開けても、水がこぼれ落ちないようなもの。消滅しないのは、何かしらの加護や力を受けているからだと思うのだけど」
リタはそこまで説明すると、首をひねり黙ってしまった。どうやら、本当に分からないようだ。
「ありがとう。リタ……様?」
「普通にリタで良いわよ。敬称はいらないわ」
男がナベリウスを見ると、こちらも「いらない」と簡素に応えた。
「ありがとう。リタ。ナベリウス。……まあ、状況は何となく分かった。これから俺は如何すれば良いんだ?」
「本来ならこの門を通って、輪廻の輪に戻るの。その為には、今生の業を洗い流す必要が有る。でもその際に、業と一緒に加護や力も洗い流されてしまうから」
リタが難しい顔をしている。目線でナベリウスに助けを求めたようだが、ナベリウスも顔を横に振っている。どうやら男の存在は、この二人にとって相当な珍事らしい。
「えーと、要するに俺は消滅するしかないと……」
「そうは言ってないけど。……魂を一度分解して再構築でもしない限り、消滅は避けられない。ちなみに、私たちでは絶対に無理よ。私達よりずっと高位の存在でないと。それこそ、主神クラスでもなければ……」
見ず知らずの相手の為に、必死に手を考えてくれている二人に男は好感を持った。二人とも美人で可愛いし、男がそう感じるのも無理はないだろう。しかし、そんな二人を困らせているのが自分だと思うと、男は心苦しくなった。
「その主神クラスには、どこに行けば会えるのかな?」
男の質問に、二人はそろって目を逸らした。男は二人の態度から半ば予想をしていたので、それほど大きなショックは受けなかった。
「……あっ!」
その時ナベリウスが声をあげた。男とリタの視線がナベリウスに向かう。しかし、何か名案が浮かんだわけではないようだ。二人がナベリウスの視線を目で追うと、そこに薄らと光る玉のようなものが浮いていた。
「それ人の魂ね。ここで人の形がとれないのは、どうしてかしら?」
リタがそう呟きながら近づき、手をかざして目を瞑り意識を集中する。
「どうやら、貴方のお仲間の様よ」
「どう言う事だ?」
リタの呟きに、男は思わず聞き返した。
「この子は、肉体とのリンクがまだ切れていない。でも、この子も魂も貴方と同じように欠けてしまっている。消滅していないのは、貴方と同じ理由だと思う。それと人の形がとれないのは、生まれた直後にここに来てしまったから。纏うべき霊体の形を、認識出来ていない所為ね。恐らくだけど、産声もあげることが出来なかったのだと思う」
リタの語気が若干弱くなる。この子か両親か、もしくは両方に同情したのだろうか?
「そうか、俺のお仲間なんだな。魂ってのは、触っても大丈夫なのか?」
「……大丈夫」
答えたのはナベリウスだった。男は「ありがとう」と礼を言い、魂に近づき右手を伸ばす。軽い気持ちで、少し撫でてやるだけのつもりだった。
しかし、触れた瞬間にそれは起こった。その魂は男の右手の内部に侵入し、腕の中を通りそのまま心臓部分(男の霊体の核・魂が有る場所)へと進み、男の魂と子供の魂がぶつかった。その瞬間、男は人の姿を保てずに魂だけの姿になる。何が起こったか、男には全く理解できなかった。
「……融合?」
ナベリウスは呟き、近くで見ていたリタは絶句していた。だが男の方は、そんな事を気にする余裕は無い。魂に恐ろしい激痛が走ったからだ。それは例えるなら、頭を開かれ脳を捏ね回されているような感覚・激痛・悪寒が走る。また同時に、自分が自分ではなくなっていく感覚。これは、浸食されている?いや、逆に浸食しているのかもしれない。意識が混乱し、自分が何者かさえ分からなくなって行く。
「………………!?」
「………………!?」
どれだけ時間が経ったのか、男にはまるで分らなかった。何日? 何時間? 何分? 何秒? いや、ひょっとしたら一瞬の出来事だったのかもしれない。
声が……聞こえる。いや聞こえるのではない。声を感じるのだ。何となくだが、この声がリタとナベリウスの物だと男には分かった。どうやら二人は、男をかなり心配してくれている様だ。男は激痛も悪寒も引いたので、もう大丈夫だと伝える。それは声にはならなかったが、二人には十分に伝わった。リタは胸をなでおろし、ナベリウスは頷く。
「ナベリウス。さっきの融合って、如何言う事?」
リタがナベリウスに質問を投げかける。
「融合。二つの魂が一つになり補いあった」
ナベリウスの言葉を聞いたリタは、一つになった魂に手をかざした。そして目を瞑り意識を集中する。
「すごい!!魂の欠けが綺麗になくなってる。それに、……力強い魂。二人分だからかな? あの子の時に感じた、肉体へのラインもまだ生きてる。これは、奇跡と呼んで良いほど本当にすごい。こんな貴重な体験、セリカ様と旅をしていた時以来」
リタは彼女にしては珍しく、本当に嬉しそうだ。それはナベリウスも同様の様で、口元には少しだけ笑みが浮かんでいる。
「リタ。この魂の融合は、おそらく誰かによって仕組まれたもの。でも、本来なら消滅するはずだった魂が、再び生を受け輪廻の輪に還って逝く。これは私達にとって祝福すべき事」
ナベリウスも余程嬉しいのか、饒舌になっている。
その時、あたりを強く優しい光が包んだ。
「これは……大いなる意思」
「大いなる意思?」
ナベリウスの呟きに、リタが復唱で応える。
「ディル=リフィーナではない、どこかにいる神様」
ナベリウスが答える間にも、光は融合した魂に集まって行く。
どうやら魂を肉体へ転送するようだ。
「また、会いましょう。名も亡き誰か」
「じゃ…………」
そして光が消え去った。
「何かあれ、ちょっとだけセリカ様に似てたね」
「……うん」
その場には冥き途の管理者だけが残された。
「この滅びゆく世界に、運命を変える一つの因子たれ」
融合した魂は、確かにその言葉を聞いた。
冥き途にて、魂が転送される少し前に時間は戻る。
とある館の廊下で、黒髪の男アズロック・ユーシス・ド・ドリュアスは、気ばかりが焦っていた。
先ほどから扉の前を行ったり来たり。近くにある椅子に腰かけたかと思えば立ち上がり、また扉の前をウロウロする。時々トイレに行っては、すぐ帰ってくる。とにかく落ちつかなかった。普段の彼は冷静沈着で、部下の信頼も厚い良い男なのだが、残念ながら今の彼はただの挙動不審な男である。
「まだか……まだ産まれんのか!!」
彼の口から何度も発せられている言葉である。
「旦那様!! 落ち着いてください!! 旦那様も奥様も使用人達も、出来ることは全て行いました。後は奥様を信じて待ちましょう」
老執事が彼を落ち着かせようと声をかける。
「オーギュスト。分かっている!!……分かってはいるが!!」
アズロックは老執事に詰め寄りそうになったが、それが無意味で理不尽な行動である事に気付き止まった。
そしてアズロックは「解っている」と、繰り返し口にしながら椅子に座る。だが5分と持たずに、またウロウロし始める。老執事オーギュストは、ため息を吐きながらも強く言う事が出来ない。もちろん、主である事もあるが普段の彼ならば、言うべき所では確りと諫言を言うタイプの人間である。アズロックは普段はそんな老執事を深く信頼しているし、諫言を深く受け止める度量が有るのだが、今だけは空の彼方へ吹き飛んでしまっていた。このままでは我慢できずに、扉を開けて中に突入しかねない勢いだ。
これは妻の出産に対して、もう何もできない事への無力感が原因だろう。そこで老執事は、自らの主を落ち着かせる為、“出来る事”を用意する事にした。
「旦那様。始祖ブリミルに祈りを奉げてはいかがでしょう? 加護を頂けるかもしれません」
老執事は平民出の為、始祖ブリミルなど全く信仰してなかったが、この出産が無事に済むのなら、これからは熱心に信仰しても良いと本気で思っていた。ハッキリと言わせてもらえば、“溺れる者は藁をもつかむ”と言う奴だ。
それは主であるアズロックも同様である。ドリュアス夫妻は、共に親が大貴族の妾の子供だった。当然、領地や財産など分け与えられるはずもなく、苦しい生活を送ってきた。そんな生活をどうにかする為には、軍務につき手柄を立てるしか無かったのだ。
だが軍に入ってからは、幸運に恵まれていたと言えるだろう。上司(ヴァリエール公爵)に恵まれた事も大きかったが、何より妻のシルフィアに出会えた事が、何にも代えがたい幸運だった。二人は軍の任務で出会い、互いめずらしい黒髪であった事と境遇が似ていた事が幸いし、トントン拍子に話が進み結婚する事となった。
二人の実力は非常に高かった。アズロックは、メインが土のスクウェアでサブが水のライン。妻のシルフィアは、メインが風のスクウェアでサブが水のラインである。順調に手柄を立て、今では子爵の位と領地を手に入れている。だがここまで来るにも、決して平坦な道では無かった。貴族達の僻みや嫉妬が原因で、数々の嫌がらせを受けて来た。無茶な任務を押し付けられて、死にかけたことも一度や二度では無い。ロマリアの糞坊主共は、苦労して貯めた貯えを奪うだけでは飽き足らず、異端審問にかけられ処刑されそうになった事もある。ヴァリエール公爵が助けてくれなければ、今頃生きてはいなかっただろう。
表向きはともかく、ハッキリ言ってドリュアス夫妻は始祖ブリミルを全く信じていなかった。それでも弱っている時は、何かにすがりつきたいと思うのが人情と言う物である。
「シルフィアは本当に大丈夫か? ああ……始祖ブリミルよ。どうか我が最愛の妻をお守りください。そして生まれ来る我が子を、無事ハルケギニアにお導きください。お願いいたします。どうか……どうか……始祖ブリミルよ。今度こそ……今度こそ……お願いいたします」
アズロックはそう口にしながら、必死に始祖ブリミルに祈った。その顔は今にも泣き出しそうだった。そう、彼が必死になるのも理由があっての事だ。ドリュアス夫妻は、以前に一度出産を経験している。生まれて来たのは女の子だった。しかしその赤子は、唯の一度も泣く事は無かった。今から4年ほど前の話だ。
アズロックが始祖に祈りをささげ始めて、どれほどの時間が経っただろう。数時間経っただろうか?いや、ひょっとしたら数分しか経っていないのかもしれない。少なくともアズロックにとって、その時間は無限にも等しい永い永い時間だった。
突然妻が居る扉の向こうが騒がしくなった。だが……産声が聞こえない。考えまいとしても、4年前の悪夢が思い出される。もう……嫌な予感しかしない。
「いやあぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」
その時、妻の悲鳴が屋敷中に響いた。アズロックは、祈るような気持ちで扉を開け部屋に転がり込む。そこで見たのは生まれたばかりの赤ん坊を抱き、唯泣き叫ぶ血まみれの妻の姿だった。
(嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だぁ!!嘘だぁ!!嘘だぁーー!!!! また、またなのか? 我が子は、泣いてくれないのか? 笑ってくれないのか?)
目の前には我が子を抱き、唯泣き叫ぶ最愛の妻の姿。すぐに妻の元へ行き、泣かない赤ん坊ごと妻を抱き締める。
全てに裏切られたような気分だ。自分の可能な範囲で、出産に良いとされる秘薬を買い求めた。戦線では夫妻が抜けた穴を埋める為、上司や部下同僚達はかなりの無理をしてくれた。使用人達は最高の環境を整えてくれた。自分の周りにいる人間は、すべての者達が全力を尽くしてくれた。なのに何故だ。怒りの持って行き場が見つからない。周りの者達に当たる訳には行かない。始祖ブリミルに怨み言を言った所で、気が晴れる事は決して無い。まして妻や泣いてくれない我が子に当たる等、絶対にあってはならない事だ。
アズロックが気付くと、何時の間に夜の帳が下りたのか、窓の外に皮肉にも美しい星が爛々と輝いていた。その美しい姿は、まるで当てつけのようだった。アズロックの怒りは、全てがその星に向かった。
(我が子を、返せ!! 何故、私や妻ばかりこのような目に遇わねばならん!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せ!! 我が子を返せぇぇぇーーーーーー!!)
星を睨みつけ、心の中で只管に叫び続ける。そしてついに、その思いは口からも飛び出す事となる。
「我が子を返せぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
その時、星が一瞬だけ強く光った。この場にいた全員がそれに気付き窓の外を見る。だが、星は再び強く光る事は無かった。いや、それどころではない。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」
唯の一度も泣かないはずの赤子が泣いたのだから。
「あなた、この子が私達の子が泣いて……泣いてくれています」
妻の目に流れるのは、先ほどまでの絶望の涙から感動の涙へと変わっていた。
「星が……星が我が子を返してくれた」
夫の言葉に、妻は大きく頷く。
「あなた。この子は、男の子ですよ」
夫は妻の言葉に、嬉しそうに頷く。
「おぉ。そうだ。この子は星に助けられた。ならば、星にちなんだ名前にしなければならん」
「はい」
正直に言えば、名前など何十通りも考えていた。が、今この瞬間それら全てが、我が子に相応しくないと思えてくる。この星の奇跡の子には……。
「星に正義を、輝かしい契約を!!
私は、この子に名前をここに決めた。
この子の名は、ギルバート・アストレア・ド・ドリュアスだ」
こうして、運命を変える者が世界へと生まれおちた。
後書き
とりあえず引っ越し開始です。
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