俺の妹がこんなに可愛いわけがない~とある兄と弟の日常~
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第三話『俺の弟と妹がアキバに来るわけがない! 中編』
前書き
桐乃「この物語は、バカ兄貴の京介と雄兄こと雄夜の日常を描いたものです。過度な期待はしないでください。
そして、この物語はすべてフィクションで実在する団体名、施設名、その他諸々とは一切関係無いから注意すること。
最後に、小説を読むときは部屋を明るくしてPC画面又は携帯の画面からできるだけ離れて読むように、分かったわね。………てか。なんで女装なんかしてるわけ?」
雄夜「したくてしたわけじゃねぇよ、クリスに半ば強制的にさせられたんだよ」
桐乃「どうだか、結構ノリノリだったくせに」
雄夜「んなわけあるか!!あの時は、お前等にバレないようにしてただけだよ!!」
桐乃「ま、そんな変態兄貴達の活躍見てください」
雄夜「軽くスルーするなぁぁぁぁぁぁっ!!」
ここは、東京都にあるオタクの聖地、秋葉原。現在この町を二人の女の子が歩いていた。
………いや正確に言うならば一組の男女だが。
「いや~凄いねぇユーヤ。すれ違う人みんな振り返ってるよ」
この金髪のハーフの女性、柳瀬・クリス・麻希奈が少し後方をトボトボと歩いている俺に笑いかける。
「うるせえ。褒められても嬉しくねぇよ…」
そして、この頭にヘッドホンマイクをつけた黒髪を後ろでポニーテールにしている少しツリ目女性……いや男の娘は前回、メイビーで女装させられた俺こと高坂雄夜である。
なぜ、ヘッドホンマイクをしているのかというといくら女装して端からは女の子にし見えないといってもさすがに声で男とばれてしまうのというわけでボイスチェンジャーで声を換えるためである。ちなみにこれは、メイビーの店長夜空さんが造ったもので声色は某紅白出場声優の声になっている……らしい。
まあ、俺はその人がどんな女性なのか知らないが、声優業界ではかなり有名人だって言っていたな。
「ほらほら、ユーヤ。マイク元の位置に戻して、それにそんな口調だとすぐにばれちゃうよ。女の子、女の子♪」
「くっ、後で覚えとけよ…」
コホンと咳払いをして顎の下に下ろしていたマイクを口元に持っていき固定した。
そして、あー、あーと声を出しながらヘッドホンの右側についているダイアルを回して調整する。
「………と、こんな感じか?」
「う~ん、ちょっと高すぎるね。………コレぐらいかな」
クリスはヘッドホンのダイアルに手を伸ばしカチカチと微調節する。
「あー、あー………うん、確かにさっきより良くなった。そんで、オフ会の集合場所はこの辺りでいいのか?」
「うん。そのはずなんだけど……まだ時間あるし待ってみようか」
「そうだな…………ん?」
「どうしたの?ユーヤ」
「いや、今そこに桐乃がいたような……気のせいかな…?」
「誰かと見間違えたんじゃない?」
そうだと思うが…まあ、見られても俺だって解らないだろうなぁ。こんな格好だし……。
「第一桐乃ちゃんがこんな所に来るわけないでしょ。あの子、私みたいなオタクが一番嫌いだと思うし」
確かに、うちの妹さまはクラスの可愛い女子グループの中心にいてオタク達を罵っていたりしてそうだもんなぁ……そういえば、クリスと桐乃っていつ頃から遊ばなくなったんだっけ。昔は桐乃の方からクリスの後追っかけていて姉妹みたいだったのに、女ってのはよくわからん。
side 高坂京介
「この辺だよな……」
俺、高坂京介は桐乃のコミュニティのオフ会の会場である喫茶店を目指していた。
「ここか、カフェプリティーガーデン」
◇◇◇◇◇
「お帰りなさいませ!主人様!」
な、なんだここは!?入ってすぐにメイドさんがお出迎え!?もしかしてこれが噂のメイド喫茶ってやつなのか?てかここに俺一人で居なきゃいけねーのかよ!!
「ご主人様、お一人ですか?」
「あ、はい」
「それでは、こちらへどうぞ。お席にご案内します♪」
メイドさんの後についていき空いている席に案内される。
その間に店内を見渡した感想は、思っていたより普通だ。アンティーク調で雰囲気は悪くない。
「こちらメニューになります♪」
「あ、ども」
メイドさんに渡されたメニューに目を通して思ったことは前の発言を全速力で前言撤回したい。何だよっ!この訳のわからない名前のメニューは!!
「ご注文は、お決まりですか?」
「あ、じゃあ、この『いもうとの手作りカレー』をお願いします」
「は~い、かしこまりました。呼び方のオーダーとかありますか?」
「なんすか、それ?」
「私どもがご主人様のことをどう呼ぶのかを決めていただくものです。『ご主人様』『旦那様』『~くん』『~ちゃん』など各種取り揃えております」
「え~と……なんでもいいです…」
「それじゃあ、お兄ちゃんって呼ぶね♪お兄ちゃん♪」
正直どうでもいいが、なんでよりにもよってその呼び方なんだ。しかもこのメイド、明らかに俺より年上だろ。
「永遠の17歳ですが……なにか?」
「いえ何もっ!?」
このメイド、なんで俺の思ったことが分かったんだ!?
『お帰りなさいませ、お嬢様』
お、どうやら来たみたいだな。さてさて、どんな娘達がいるのかなっと……ふむふむ、地味めな垢抜けない娘達ばかりだな。約一名すごい格好の娘もいるけど、てか、桐乃のやつちゃんと来てんのか?
Side 高坂雄夜
「………はぁ~」
溜息を吐くオフ会が始まって、早数十分。会が進むにつれてそれぞれ気の合う娘たちで話に花が咲いていた。クリスもその輪の中にすぐにとけ込み俺をほったらかしにしている。
しかし、まさか桐乃と京介がいるとは思わなかった。まあ、桐乃が俺だと気が付いていないみたいだから大丈夫だとは思うけど…油断は禁物だな。
だが、妹の様子が気にならない兄はいない。特にすることもないので俺は、桐乃を見る。最初こそ他の娘たちが話しかけてきてくれていたのだが今はぼっちとなっている。
「たく、仕方ねぇな」
呟いてから、席を立ち桐乃の方に向かう。
「あの~確か、きりりんさん…でしたよね?」
「そ、そうですけどっ」
あくまでも他人として桐乃に話しかける。いきなり、話しかけたのに驚いたのか若干声緒が上擦っていた。
「な、なにかようですか?」
「用って程じゃないんですけど、私とお話しませんか?連れが他の子たちとばかり話していて暇なんですよ」
ニコッと笑顔を作る。正直、ばれるんじゃないかとヒヤヒヤしたがどうやら大丈夫そうだ。
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