ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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番外2 黒羽
「・・・良し。父さんと母さんはもう寝付いたみたいだな。・・・出ておいで、黒羽」
闇慈が使い魔『黒羽』を手にしたその夜、闇慈は黒羽の能力等を確認したいため両親が寝付いたのを確認するとベッドに腰を下ろし、黒羽を自分の部屋に呼び出した。
「ごめんね?こんな夜遅くに呼び出して」
闇慈は黒羽に謝ったが自分は気にしていないと言っているのか黒羽は一声鳴くと、闇慈の肩に乗り頬擦りしてきた。
「ありがとう。・・・さて黒羽に聞きたいことがあるんだけど・・・君の能力はあの時僕を守ってくれたみたいに、相手の攻撃を弾く事以外に何か出来る?」
闇慈は黒羽に問いかけたが・・・黒羽はカラス特有の鳴き声しか発することが出来ずに闇慈には分からずじまいだった。
「う~ん。伝えようとしていることは分かるんだけど・・・やっぱり分からないな・・・あっ!!そう言えば」
ここで闇慈はザトージの言葉を思い出した。
『姿を変えて人に会わせるのは構わねえ・・・』
「黒羽。君の今の姿の他に何かもう一つの姿はない?出来ればそっちで僕に話しかけてくれないかな?」
それを聞いた黒羽は闇慈の肩から降りると空いたスペースに移動した。そして黒羽の周りに黒い無数の光が集まっていき、それが黒羽を完全に包み込み、姿が見えなくなってしまった。
(どんな姿なんだろう?リアス先輩のコウモリのように人間になってくれると良いんだけどな)
闇慈は少し期待しながらその光景を見ていた。そして光が段々大きくなっていった。そして光が弾け飛んだ瞬間、闇慈の目はその姿に釘付けとなった。身長は闇慈より少し小さく160cm位か、黒髪で容姿も美しく歳はリアスと同じくらいで発育した形の良い乳房に黒い和服を着た女性が立っていた。
(これが・・・黒羽のもう一つの姿・・・)
「これでよろしいですか?主様」
その人の声も透き通っており美声を発して闇慈に問いかけた。
「えっと。本当に・・・黒羽・・・なの?」
闇慈は黒羽が女性でこんなに綺麗な人になるとは思ってもいなかったらしく少したじろいでいた。闇慈の問いかけに女性は軽く笑いながら闇慈に答えを返した。
「はい。今では貴方様に『黒羽』と言う名前を頂きました『八咫烏』です。今後どうぞお見知りおきを」
黒羽は正座を組むと礼儀正しく闇慈に挨拶を交わした。
「そんなに畏まらなくて良いよ?黒羽」
「そうはいきません。私は貴方様の使い魔。主には誠実に尽くす。それが私の心がけです」
(流石はアマテラス天照大神に遣えた伝説の烏。主を敬うその心は凄いね)
闇慈は黒羽に関心を抱きながら会話に戻った。
「分かった。黒羽がそこまで言うのならそのままで良いよ。でも『貴方様』って言うのはどうにかならない?僕はそんなに偉くないし・・・普通に名前で呼んでくれないかな?」
「分かりました。では今後は『闇慈様』とお呼びします」
「ありがとう、黒羽。じゃあ話に戻るけどさっきも聞いた通り、黒羽の能力は他にあるの?」
そう聞くと黒羽はゆっくりと立ち上がった。
(何をする気だろう?)
闇慈が疑問に思っていると黒羽の周りに黒い光が集まるとそのまま光と一緒に消えてしまった・・・
「き、消えた!?・・・気配も感じない。黒羽!?何処に居るの!?」
「うふふ。ここです。闇慈様」
「えっ!?」
黒羽の声が聞えると闇慈は背後から黒羽に抱きしめられた。その際に闇慈の背中に黒羽の胸が当たっていた・・・
「これが黒羽のもう一つの能力なの?」
「はい。私は自分自身の体を光子状態することが出来ます。そしてあの状態になった場合気配を他人から感じ取られることはありません」
「なるほど。索敵などには持って来いの能力だね。でも黒羽が見つけても僕が分からなかったら意味が無い・・・」
「その点は心配無用です。私は闇慈様の頭の中に呼びかけることが出来ます」
そう言うと黒羽は目を閉じ、何かを語りかけるように闇慈に呼びかけた。
(聞えますか?闇慈様)
(うん。良く聞える。黒羽は本当に良い力を持っているね)
(ありがとうございます)
頭の中の会話が終わると黒羽は再び目を開けた。因みに背中に抱きついたままだ・・・
「これが私の全ての能力です」
「良く分かったよ。それから・・・黒羽」
「何ですか?闇慈様」
「そろそろ離れてくれないかな?その・・・色々当たってるし」
闇慈は黒羽から胸を押し当てられ、心の中ではタジタジだった。しかし黒羽は離れずに闇慈に悪戯するように話しかけた。
「うふふ。どうしましょう?」
「なっ!?君は主に対して誠実ではなかったの!?」
「私はカラスですよ?悪戯もしてしまいます♪」
それを聞いた闇慈は黒羽の腕の中から素早くすり抜けると黒羽をベッドに押し倒し、その上から覆い被さった。身体能力は黒羽より死神の力を得た闇慈の方が上だった。
「あ、闇慈様?」
いきなりのことだったのか黒羽は何をされたのか分からなかった。そして自分の今の状況を確認した。
「さてと・・・主に逆らった罰を与えるよ?黒羽」
闇慈は笑っていたが・・・その奥からは怒りに似た何かがあった。
「あ・・・」
「どうしようかな?よし。君のその綺麗な体を悪戯してあげるね?・・・二度と逆らえないように・・・」
闇慈は右手を開いたり閉じたりして何をしようとしているのか黒羽に見せ付けた。
「お、お許し下さい!!闇慈様!!」
黒羽は怖くなったのか少し涙声になっていったが闇慈は気にせず続けた。
「ん~?最初に悪戯したのはだれだったかな?それじゃあ・・・いただきます」
「ひっ・・・」
闇慈は黒羽に向かってゆっくりと近づいた。黒羽は覚悟を決したのか目を閉じた。しかし何時になっても体を弄ばれる感覚に襲われることはなかった。
「・・・えっ」
「あはは。ゴメン!!嘘だよ。からかわれたからそのお返し。悪戯するつもりは毛頭ないよ?黒羽」
「・・・酷いです。いくらからかうといってもあんなことをしようとするなんて・・・」
黒羽は本当に怖かったのか両手で両目を隠し、嗚咽を出していた。これを見た闇慈は流石に罪悪感に襲われた。
(少しやり過ぎたかな?)
闇慈は黒羽から退き、腰を下ろすと、黒羽の頭を優しく撫でた。
「ゴメン、黒羽。あれは流石にやり過ぎだったね。黒羽のお願いを一つだけ叶えてあげるからそれで許してくれないかな?」
「・・・本当ですか?」
「うん」
「それなら・・・今日は闇慈様と添い寝させて下さい」
「そ、添い寝!?」
闇慈は意外な頼み事だったので少したじろいだ。
「それってからかい・・・なの?」
「からかいじゃありません!!」
「それで黒羽は許してくれるの?」
「はい」
闇慈は少し考えて了承した。
「分かった。今日だけだよ?」
闇慈は黒羽の隣に来るとベッドに寝そべり、毛布を自分と黒羽にかけた。
「おやすみ、黒羽」
「おやすみなさい、闇慈様」
闇慈は黒羽に背を向け意識を手放そうとしたが次の瞬間、黒羽が闇慈の背中に抱きついてきた。
(黒羽。また!?)
闇慈はゆっくりと黒羽と向き合ったが黒羽はスヤスヤと寝息を立てていた。
(自然と抱きついていたのか・・・ヤレヤレ)
「闇慈・・・様。私の・・・大切な・・・主様」
(夢の中でも僕の事をみているのかな?・・・今日は特別だよ?黒羽)
闇慈はそのまま黒羽の頭を優しく抱き締め、意識を手放した。
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