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髑髏天使

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第四十九話 停戦その一


                   髑髏天使
                第四十九話  停戦
「今はもうです」
「今は」
「どうだというのだ」
「貴方達と戦うつもりはありません」
 そうだというのだった。
「最早です」
「何故だ、それは」
「貴様等が戦わないというのか」
「はい、そうです」
 その通りだというのだった。
「今はです。停戦ということでしょうか」
「それを信じろというのか」
「少なくとも魔物は嘘を吐きません」
 老人が言うのはこのことだった。
「とりわけ魔神はです」
「誇り故にか」
「はい」
 老人の言葉は穏やかなものだった。
「信じられないのならそれで結構ですが」
「いや」
 ここでだった。牧村は言うのだった。
「確かに貴様等は戦いを嗜む」
「それが生きがいとなっています」
「しかしそれでもだな」
「おわかりにですね」
「それ以外のものは求めてこなかった」
「戦いが喜びですから」
「だからだな。嘘や謀略は」
 どうかというのはだ。老人から話してきた。
「私達の流儀ではありません」
「その通りだな。では貴様等の言葉はだ」
「信じて頂けますね」
「そうさせてもらう。それではだ」
 牧村はだ。あらためて言うのであった。
「話を聞かせてもらおう」
「そうだな」
 死神もだった。話すのだった。
「私もその話を聞かせてもらう」
「それではです」 
 こうしてだった。二人は老人の話を聞くのだった。するとだ。
 老人はだ。こう言うのだった。
「確かに私達は戦いを欲し」
「その貴様等と戦い倒すのが俺の役目だったな」
「はい、髑髏天使のです。ですが」
 しかしだと。老人は言葉を変えてきた。
「妖魔が出て来ましたね」
「まずはあの連中をか」
「彼等の相手をする必要が出て来ました」
「俺達と同じくか」
「その通りです。それにです」
「それに?」
「私達は長い間封じられてきました」
 その封じたのが他ならぬ髑髏天使だ。ただしそれは牧村とは違う遥か昔の髑髏天使である。その彼によってであるのだ。
「そしてこの時代に再び出ましたが」
「それでか」
「あるものを見ました」
 こう話す老人だった。
「戦いの他の楽しみをです」
「そうだな。それはわかる」
 死神も老人のその言葉に頷いた。
「よくな。この時代の世界はだ」
「はい、実に多くの楽しみがあります」
「食べ物だけではない」
 死神もだった。彼もそういったものを楽しんでいるのだった。
「その他のものもな」
「娯楽に満ちています。その中にいてです」
「様々な楽しみや喜びを知った」
「はい」
 また答えてみせる老人だった。 
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