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髑髏天使

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第四十八話 妖神その一


                   髑髏天使
                第四十八話  妖神
「酷いね」
「そうだな」
 子供が青年の言葉にうなずいていた。彼等は今ビルの屋上にいる。そこで下に拡がる昼の街を見下ろしながら話している。そこには動く車や人々が見える。それでだった。
 子供はまた言うのであった。
「あんな人間もいるんだね」
「この国の政治家か」
「そう、何とか長官っていう」
 その詳しい役職は知らないがであった。
「あいつの言葉を聞いてたらね」
「酷過ぎるな。あれはな」
「あれでも人間なのかな」
 子供は言いながら首を傾げさせるのだった。
「あそこまで下品な言葉を言えるなんて」
「おそらくはじゃ」
 今言ったのは老婆だった。
「あれは人ではない」
「じゃあ何なのかな」
「外道じゃ」
 それだというのだ。
「あれは外道じゃ」
「外道?」
「人でも妖怪でも魔物でもない」
 彼等でもないというのだ。
「そして無論妖魔でもない」
「それが外道なんだ」
「当然動物でもない。全てから逸脱した存在じゃ」
 そういう存在だというのだった。
「それが外道なのじゃ」
「何か知らないけれどとことん腐った奴等なんだね」
「うむ」
 妖魔は子供に対して頷いてみせた。
「それを外道という」
「姿形は人間のままでも?」
「大事なのは心じゃ」
 それだというのだ。これは老婆も言うことだった。
「わし等は元々妖怪じゃな」
「うん」
「しかし戦いを選んだことにより魔物となった」
「心が魔物のものになったからだよね」
「それで魔物となったからじゃ」
 これをだ。その外道についても当てはめて話すのだった。
「そういうことだからじゃ」
「それであいつも外道になるんだね」
「そういうことじゃ。そして」
「そして?」
「外道になればじゃ」
 今度はどうなるかというのだった。それは。
「一億回は生まれ変わっても人間にも動物にも妖怪にも魔物にもなれぬ」
「妖魔にも?」
「なれん」
 そうだというのである。
「なれるのはじゃ」
「何になれるのかな、それで」
「寄生虫や細菌といったものじゃ」
「全然よくないね、それって」
「それを一億回程繰り返すことになる」
「植物にもなれないんだ」
 子供は今度は植物はどうかと老婆に尋ねた。
「それにも」
「なれん。悪質な細菌や寄生虫ばかりじゃ」
「それを一億回はだね」
「そして最後は餓鬼になる」
 止めはそれであった。
「そして未来永劫苦しみ抜くことになるのじゃ」
「餓鬼ねえ」
「餓鬼の中でも最低の餓鬼じゃ」
 餓鬼といっても色々なのだ。糞尿を喰らう存在もいれば食べ物が喉を通らない存在もある。その種類や苦しみは様々なのである。 
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