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髑髏天使

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第四十七話 神々その七


「最も恐ろしい腐敗がはじまるというな」
「それはそのせいか」
「卑劣を極められるようになるからじゃよ」
「だからか」
「そういうことじゃ。卑劣になれるからじゃよ」
「そういえば魔物達はだ」
 話していて彼等のことを考えた。そして言う牧村だった。
「卑劣ではなかったな」
「誇りがあったからのう」
「そして妖魔達も」
「いや、あの者達はまた違うな」
「違うか」
「うむ、違う」
 また言う博士だった。
「あれは本能のみじゃな」
「本能か」
「高い知性はあるようじゃ」
「それがあってもか」
「本能があまりにも強い」
「本能がか」
「それがじゃ」
 こう牧村に話す博士だった。
「かなりのう」
「そしてそれでなのか」
「妖魔に魔物程知性は感じられないのじゃ」
「しかし知性はあるのか」
「それは間違いないな」 
 博士は考える顔になって牧村に述べた。
「だから考えることもできる」
「戦いにおいてもか」
「知性はあるな」
「そうだな。ある」
 牧村は強い言葉で頷いてみせた。実際にこのことはよく感じていた。何度も戦い倒していればだ。それでわかることであったのだ。
「だが確かにだ」
「本能はか」
「それがあまりにも強いのじゃ」
「本能は知性と対立するものか」
「決してそうではない」
 それは否定する博士だった。
「だがそれが強過ぎればじゃ」
「その場合は、か」
「それのみになってしまう」
 そうだというのである。
「そういうことじゃ」
「それでか」
「うむ、それでじゃ」
 また話す博士だった。
「それで妖魔から知性はそれ程感じられないのじゃ」
「そういうことだな」
「うむ、妖魔は決して愚かではない」
「それはわかっておくことだな」
「左様。敵はよく知ることじゃ」
 戦い方の話にもなった。それからだった。
 博士はだ。こうも言った。
「敵を知り」
「またそれか」
「そして己も知る」
 このことも話した。
「それでよいのじゃ」
「そうすれば百戦危うからずだな」
「そういうことじゃよ。何度も話しておるがな」
「向こうはどう考えているかだが」
「それか」
「妖魔は俺を調べているのか」
「いや、それはないな」
 博士はその可能性は否定した。
「聞いたところそれはないな」
「ないか」
「そうじゃ、ない」
 また言う博士だった。 
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